始マリノ一撃
観客が歓声を上げて見ている物は、
ある戦いをモニターに写したものであった。
それは何とも奇怪なる戦いであった。
小さな箱庭の様なフィールド。
その中には、巨大なビルが幾つも建っていた。
ビルの中に人はいない。
しかし、いきなり爆音が響き、一気に3つ程のビルが崩れ落ちた。
またも爆音。ビルが更に崩れる。
そんなビルの瓦礫には、2人の男が、睨み合っていた。
一方は全身がボロボロ。
一方は無傷、服にも汚れなど無い。
負傷している男に、観客が声援を送る。
『オラー!気張れやー! 』
男は、微笑を浮かべ、呟きながら剣を構える。
「……けっ、やれるもんならやってるさ。でもよ……こいつには勝てる気が全くしねぇ」
『彼』は、両手斧を持って、構える。
その顔には、一片の表情も感じられない。
『彼』は一言、発する。
「天命、吾に力を」
斧が光る。彼が斧を振り下ろすと、途端にビルが吹っ飛んだ。
負傷している男の目には、絶望の色しか無かった。
「お前は……一体何なんだよっ……! 」
走り出し、攻撃を加えようと試みる。
しかし。
さっきと同じ攻撃で男に攻撃を行い、男は回避出来ず、そのままぶった斬られる。
彼は無表情のまま、
「……足りないな」
と、そう呟いた。