プロローグ
二本目です。
西暦二〇〇〇年 世界各地でゲリラ的に異世界と繋がる空間が発生。
二〇一〇年 突如、異世界へ繋がる空間がすべて閉じられる。
二〇一三年 世界各地で魔獣や亜人が生まれる。
二〇一五年 異能の力に目覚める者が生まれる。また、新生児のほとんどが魔力を持って生まれるようになる。
同年 魔獣による被害で人口が三分の一まで激減する。
二〇二〇年 ステータス、スキルというものが発見される。
二〇二四年 世界中の各都市で魔獣対策のため防壁が造られる。また、周辺住民を防壁の中へ避難させる。
同年 国際連合で正式に異能の力が認められる。
二〇三〇年 国際連合が『世界異能機関』を設立。また、異能の力を持つ者を異能師と命名する。
同年 日本国が強力な魔獣により滅亡の危機を迎える。
二〇三二年 異能師の集団が魔獣を討伐し、天皇が各都市に結界を作り日本は滅亡を免れる。
二〇三五年 日本国が王制になり日本神国となる。天皇が初代国王になる。
二〇四〇年 有力な異能師や一般人が集まり日本神国で初の冒険者ギルドができる。
同年 魔獣の襲撃により中国の九割が滅び、かろうじて無事だった土地に元皇国ができる。
二〇四一年 アジア諸国が壊滅し、魔獣が蔓延り内陸部の一部が砂漠化、大半が密林化する。
二〇四四年 世界各国の大半が王制になる。
同年 日本で神獣、獣神が目撃される。
二〇四五年 世界各国で冒険者ギルドができ、ギルドに所属するものが冒険者と呼ばれる。
同年 世界の水準が中世ヨーロッパ時代まで下がるが、一部分では今まで以上に文明が進歩しはじめる。
二〇四七年 イギリスに冒険者ギルド本部ができ、全ての冒険者ギルドが統制される。
二〇四八年 日本神国が獣神・玄武、朱雀、白虎、青龍、麒麟の庇護下に入る。
同年 世界各国で神獣、獣神が確認され、人の守護する神獣や獣神を聖獣と名付けられる。
同年 日本神国が聖獣に守護された一族を四獣神家と呼び、王族を四獣神王家とした。
二〇五〇年 国際連合が異能師や魔獣に神話級、SSS級、SS級、S級、AA級、A級、B級、C級、D級、E級、F級のランクを付ける。また、国際連合により、日本神国が『S級魔獣生息国』に分類される。
同年 日本神国が魔獣に対抗するため、『異能庁』を設立。
二〇六五年 各国が『対魔獣組織』を設立。
二〇七〇年 日本神国政府が国立異能大学を東京都に設立。
同年 国立異能大学付属第一高校を東京都に設立。
二〇七五年 各国が異能師を育てる教育機関を設立。
同年 日本神国が鹿児島、青森に付属第二、第三高校を設立。
・・・・・・そして現在、西暦二一二〇年。
風月楓は、自分の冒険者パーティー『桜楓の双龍』のホームの屋根の上で昼寝をしていた。柔らかな木洩れ日と夏の温かい乾いた風が頬を撫でる。
楓の蒼髪蒼眼で中世的な顔立ちはそこだけ映画や物語のワンシーンのように切り取られて見たもの全員が思わず溜息を吐きだしたくなるような超絶イケメンである。
「・・・・・・にゃはは~・・・もう、食べられない・・・・・・ぐぅ」
彼の性格を除けば・・・・・・。
そこに、彼のパーティーメンバーである女性が声をかける。
水星桜、銀髪碧眼に十人がその姿を見れば十人全員が数十分間呆けて動けなくなるであろう顔立ちに、触れれば壊れてしまいそうな華奢な体つきをした女性である。
「楓ちゃ~ん、そろそろ会議始まるよー」
「ん・・・ふぁあ・・・・・・わかった、今行く」
どうやら、随分と寝ていたらしい。今日は新しい依頼の会議があると蓮が言っていた。
俺たちが住んでいるのは伝統的な日本家屋が主体の屋敷だ。その大きさを視野に入れなければという条件は付くが。横幅一キロ、奥行二キロの敷地面積を誇り、そのほとんどが庭や池などであるが、軽く百人以上は暮らせるような二階建ての屋敷が存在している。
ちょっと、設計間違ったかなと思うが住めば都というように大した不便はない。
桜のあとを追いこの屋敷の離れへと向かう。というか、俺が行くまで待っててくれればいいのに。
この離れは本当の意味で離れであり、俺たちの住んでいる屋敷からは約五キロほど離れており、屋敷の一角である転移の間から転移魔術で離れに行けるようになっている。
そして、この離れは住んでいる屋敷とは違い西洋風になっている。いや、どちらかといえば近代的なつくりになっている。
なぜわざわざ遠い位置にはなれを作ったかといえば、俺たちにもそれなりの事情があるというほかない。ただ、慣れてしまえば住み心地の良いもので、俺は慣れた手つきで離れに転移しパーティーメンバーのいる居間へと足を向けた。あ、ちなみに、この西洋風の離れは土足厳禁である。
居間には、すでに俺以外のパーティーメンバーが揃っていた。ちなみに全員俺から見ても美男美女である。ちょうど円になるように配置されている椅子に座るとメンバーのみんなが一斉に口を開いた。
「遅いぞ。リーダーなんだから遅れるなよ」
「まぁまぁ、蓮。いつものことだろ?」
なあ、椿。それはあんまりにもあんまりじゃないだろうか。
「そうよ、楓が時間ぴったりに来るわけないじゃない」
「薫姉さんの言うとおりです。兄さんに期待する方が間違ってると思います」
「茜ちゃん、蓮もわかってて言ってるんだよ」
お前らな、言いたい放題過ぎるだろう。それと、葵も意外とひどいな。
「いや、蓮はたぶんわかってない」
「あの、雫さん?いつもながら俺の心が折れそうな発言はやめてくれない!?」
「異世界に来ても全くぶれないよねぇ~」
「凪ちゃん、それはみんな同じだと思うよー」
「「「「「「「「確かに・・・・・・」」」」」」」」
桜の言葉に俺も含めた八人全員が納得する。この世界に来た当初から、いろいろなことに巻き込まれたり、巻き込んだりしたが結局俺たちのやりたいようにやってマイペースに突き進んできたのだ。
今までのことを思い出しながら、俺は誰に言うでもなく言葉をこぼす。
「あれから、三年か・・・・・・」
~三年前~
「なぁ、桜。楓どこにいるか知らないか?」
「へ?う~ん、屋上じゃないかな?ほら、今日天気いいし」
「またか、あいつは・・・・・・。悪いけど呼んで来てもらえるか?俺は先に部室に行ってるから」
「わかった。じゃあ、部室でね」
「ああ。悪いな」
「気にしないで。いつものことだもん」
ここは、私立泉涼高校。泉涼高校は、中高一貫校である。
楓達は、幼馴染み九人でこの高校に通っている。楓たちは微妙に歳が違い、楓、火山蓮、天川葵、音影雫、葉闇凪が高校一年で桜、花空薫、雪波椿が高校二年、そして春咲茜が中学三年である。
全員が黒髪黒眼の美系で特に蓮と桜は生徒会役員でもあり、学校の注目の的であるが九人の性格が災いして『残念な九美系』と呼ばれている。九人は、全員孤児で同じ孤児院で育った仲だ。
楓たちは、この高校でオカルト研究部に所属している。レベルの高い進学校であるため他にこの部活に入っている生徒はいない。
そもそも、楓たちが作り上げた部活だ。九人がこの部活を作ったのは訳がある。
楓達九人は得体のしれない力を持って生まれた。やがて、時が経ちその力の一部を使えるようになると漫画やアニメに出てくるような魔術が使えたのだ。楓たちは、自分たちの力を研究し、他にも霊術や妖術、結界術、鬼術などといった力も使えるようになった。
中学を卒業するころには、大抵の力を使うことができるようになった。だがこのころから楓達は自分たちの力がこの世界に見合ったものか考え始める。
みんなが真剣に考えている中、その考えを打ち払ったのは楓だった。
「そうだ、異世界に行こう!」
「「「「「「「「・・・・・・は?」」」」」」」」
「一度行ってみたかったんだよねぇ~。桜もそう思わない?」
「たしかに思ったことはあるけど。・・・・・・できるの?」
「ん~、自分の力を感じてみてできないとは思えないんだけど。みんなは?」
桜たちはしばし考え、自分たちの力とこの世界の理の持つ強制力を比較して答える。
「「「「「「「「・・・・・・できると思う」」」」」」」」
こうして、異世界に行く手段を見つけるためオカルト研究部を作ったのである。
話の大筋はできていますが、細かい設定は決まってませんので
作者にもこの後どうなっていくかは分かりません。