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チート問題児の異世界旅行  作者: 早見壮
第零章:そうだ異世界に行こう
16/26

エピローグ

 ようやく光が収まってきたので、ゆっくりと目を開ける。そこに、飛び込んできたのは圧倒的なまでの大自然だった。


「うん、つーか森だな」


 とりあえず、転移は成功したようだ。空気中に含まれる魔力や霊力といった様々な力を感じながらひとまずほっとする。

 だが、問題がないわけではない。むしろ、かなり問題となる出来事がすでに起こっていた。


「それで、……みんなはどこ行った?」


 そう、ここには俺ひとりしかいなかったのである。というより、ここはどこだ?転移される場所って街に近い草原じゃなかったっけ?

 俺森にいるんですけど?割とジブリ映画に出てきそうな大森林なんですけど?


「とりあえず、身を隠そう」


 この世界には魔獣やら霊獣やら地球には存在しなかったヤバい存在がいるのだ。よくわからん場所でぼーっと突っ立っているわけにはいかない。

 ちなみに、どうやって知ったかというとこの世界を感知した後、要石(かなめいし)というものを作り、それをこの世界に送ってソナー代わりにして色々調べたのである。


 あたりを警戒しながら少し散策したところで人が四人ぐらい座れる大きな木の洞があったのでその中に入る。


「ふぅ~、一息ついたところだし桜たちに連絡してみるか」


 一応、こういう時のことも考えて、霊術を使った電話のような術を作っていたのである。霊心話ってところか?


『はい、っということで楓さんだよ?』


『ということってなんだよ、いきなりすぎるわ!』


『もしもし~、楓ちゃん?桜だよ~』


『普通に返してる!?』


 まったく、こんなときでも蓮はうるさいな。


『まったく、こんなときでも蓮はうるさいな』


『おい、心の中で言ったつもりかもしれないが、聞こえてるからな?』


『わざとだ』


『喧嘩売ってんのか!?』


『はいはい、その辺で黙ろうね、蓮。話進まないから』


 普段俺ばかり目立っているけど、椿も何気にひどいよな。


『とりあえず、みんなバラバラってことでいいのかな?』


『私のところには他に誰もいないけど』


『私のところにもです』


 ふむ、葵も凪も茜もひとりだけか。あとは……、


『うん?薫と雫はどうした?』


 そうだ、蓮の言った通り薫と雫からの連絡がまだない。無事ではあるだろうが、なにかあった可能性が高い。


『なにかあったのかな?気になるね』


『椿、それはちょっと不謹慎じゃないかな?』


『知りたがりも大概にしておけよ』


『いやいや、普通に心配しているだけだって』


『本当かしら?』


『おっ、遅かったな、薫』


『結局、なにがあったんですか?』


 なにかあったのは確定なのか?まぁ、それしか考えられないけどな。


『大したことじゃないわ。転移した場所に魔獣がいて戦闘になっただけよ』


 それは大したことあるんじゃないか?


『大したことあるだろ!』


 ふむ、蓮が突っ込んだということは大したことあるということだな。


『まぁ、大丈夫だろうとは思っていたけど、無事でよかったよ』


『角のついたウサギだったんだけれど、あんまり強くなくてよかったわ』


 ほう。差し詰めホーンラビットといったところか。


『あとは雫だけだな』


『……ごめん。おまたせ』


 と言ってる間に雫が霊心話に加わってきた。


『気にするな。こんな事態だし、予想外のことがあっても仕方ないさ』


『んで、結局何があったんだよ?』


 蓮の言う通り、そこが気になるところだ。俺たちも他人事じゃすまないかもしれないからな。


『……転移した先が湖らしきものの中だった。……わりと焦った』


『『『『『『『『あ~』』』』』』』』


 なるほど。その可能性を考えてなかったな。










『それで、結局なにがあってこうなったんだ?』


『わからん。こうして、霊心話がつながるってことは同じ世界には転移しているわけだし。魔法陣に問題はないと思うが』


『ということは、そもそも何か見落としていたか―――』


『連結していた異能術式陣のほうに問題があったかだね』


 俺たちが転移に使った魔法陣は、異世界に転移するための異世界転移魔法陣を基盤としてそれを補佐する形で各異能力を必要とする異能術式陣が周りを囲むように展開している。


 転移自体は魔法陣のみでもできるが、転移先が地面の中になったり、星の外になったり、ほかのみんなと離れたり、ひとりだけ過去に転移したりと予想がつかないことになるのでそれをほかの異能でカバーするのだ。

 今回は転移自体はできたので異世界転移魔法陣が問題ではないとなったわけだ。


『とりあえず、転移した時のことをおさらいしてみるか』


『そうだね。順を追って考えていこう』


『あっ、ちょうちょ~』


『『『『『『『『……』』』』』』』』


 まぁ、いいか。


『まず、最初に屋上に魔法陣を描いたんだったか。これは飛ばしてもいいよな?この時点で間違っていたら、どうしようもないし』


『そうだね。そのあとで、第一層神術陣を発動させたんだよね?』


『ええ、間違いなく発動していたし空間連結、空間固定も完了していたわ』


 薫がそういうなら間違いないな。なら、神術陣には問題なかったか。


『わぁ~、真っ赤な猪だ~。今日は猪鍋だね!』


 ……。それ、明らかに魔獣だよね。いや、それは今は置いておこう。


『次は第二層仙術陣だけど』


『……それも、問題ない。全員同じ時間に転移しているし』


 雫の言う通り、これに関しては疑う余地はないな。


『なら、第三層霊術陣だね』


『えっと、各地点の要石の座標を固定させたんだよね?』


『ああ、それをしないと転移場所を指定できないからな』


 ふむ、これも違うか。あとは、基盤の転移魔法陣を抜いてふたつか。


『えっと、次は第四層呪術陣だけど』


『これは要石と魔法陣を連動させるための異能陣なんですよね?』


『そうだ。霊術陣で絞った転移場所を確定させる術式だな』


『でも、各地点の要石と連動させちゃったら、転移場所は絞れないんじゃないかな?』


『『『『『『『『!?』』』』』』』』


 おぉっ!?それもそうだな。というか、話聞いてたのか、桜。真っ赤な猪は狩れたのか?


『なるほどね。それで、みんなバラバラに転移しちゃったってわけだね』


『そういえば、確かにここらへんから要石の力を感じるよ』


 ふむ、俺のところにも近くに一個あるな。


『決まりだな。各地点の要石と連動していたせいでその要石があるところにランダムで転移されたと考えていいだろう』


『それで楓、このあとどうするの?』


『予定では、村やらで情報収集しながら一番近い町に向かうんだったよな?』


『基本的には蓮の言った予定通りでいいんじゃないかな?』


『……そうだね。問題はどこに合流するかだけど』


 確かにそこが問題だな。合流自体はできるだろうが、みんなのいる位置がな。最悪、この星の反対側にいる可能性もあるし。すぐに合流はできないだろう。


『あの、楓兄さん』


『茜か。どうした?』


『はい。えっと、もともとの予定なんですけど、最終的な拠点はどこだったんですか?』


『そうだなぁ。決定ってわけじゃないけど事前に要石で感知したとき、日本に酷似した国があっただろ?そこの首都?王都?を拠点にしようかと考えてた』


 もしくは、ヨーロッパ方面のどこかの国の王都か。やはり、首都やら王都のほうが治安がいいだろうからな。国のトップにとって国の中枢部分の治安が悪いなんてどう考えてもマイナスにしかならない。


『なら、そこで合流でいいんじゃないですか?すぐにとはいかないと思いますが、ある程度期間を決めておけば、合流しやすいと思いますが』


『そうね。それまでに各自情報収集しておけば合流した時に多角的な情報が入っていいんじゃないかしら』


『椿、確かこの世界、じゃなかった。この星の大きさって地球の五倍くらいだったよな?』


『うん、それで合ってるよ。あと、大陸やある程度の島の位置とかは地球とほぼ同じ。だから、単純計算で日本(仮)もむこうの五倍広いってことになるね』


『そうか。葵、むこうで地球一周するときにかかる時間はどのくらいだ?』


『う~ん、年中無休で歩いて一年ちょっとかな。距離だけを考えてだからいろいろ加味したら二年近くかかるかも』


 その五倍ってことは十年か。ちょいと長いな。


『そうか。まぁ、実際には最大でもこの星の半分歩けばいいわけだが、それでも五年はかかるか』


『ねぇねぇ、楓ちゃん。あんまり難しく考える必要はないんじゃない?とりあえずの目安だけ決めて置けば何とかなると思うよ』


『まぁ、移動するのが俺たちだからな。一般人ならまだしも空飛べたりジェット機並みの速さで動けるんだから間に合わせようと思ったら間に合わせられるさ』


『……おー、蓮が珍しくいいこと言った』


『珍しくは余計だろっ!』


『そうか、そうだな。じゃあ、五年……いや三年後にしゃb『言わせねぇよ!?』――ごほんっ。じゃあ、三年後に日本(仮)の東京に集合で』


『『『『『『『『りょーかい』』』』』』』』


『……蓮、何気に短くなってることには突っ込まないんだ』


『忘れてた!?』


『はいっ!じゃあ、各自状況確認に移るよ』


 蓮のことなど気にしている暇はない。まだまだ、話し合うことはたくさんあるんだ。明らかに地球にいたころよりも強化されてる身体能力とか異能力のこととかな!











 それからしばらくの間、様々なことを話し合った。途中で蓮と葵が魔獣に襲われたりしたが、気にせず話し合いを続けた。


『とりあえず、今までの話し合いをざっくりとまとめると、身体能力や異能力が強化されてるのは地球よりも空気中を漂っている魔力や霊力――つまり異能力が濃いからっていうことでいいね?』


『うん。地球と比べてどの程度濃いか。そして、どの程度能力が強化されているかは要検証ってことで』


『そうだな。あとは各自合流までに能力の強化を地球と違ってこの世界には魔獣やらなんやらがいるし人間にも要注意だ』


『盗賊なんかもいるだろうしね』


 まぁ、魔獣は要注意だな。それに、いくら盗賊といっても人が殺せるかどうか。いつかはやらなきゃいかないが、これは言わなくてもいいか。椿や薫あたりは合流前に経験してきそうだけどな。意外と桜も。もちろん俺も合流前に経験しておこうと思っている。


『まぁ、人は後回しでも構わない。今俺たちがいる場所は人里離れた場所だ。今の俺たちがかなわない魔獣もいるだろうし、能力強化は最優先事項で』


 結局、誰も本来転移する予定の場所に転移してなかったみたいだし。近くに人の気配が全くないのだから、人よりも魔獣優先だ。


『『『『『『『りょーかい』』』』』』』


『あっ、そういえば、さっき猪仕留めたときに――レベルが上がりました――って聞こえたんだけど。これって何かな?』


『『『『『『『『……はっ?』』』』』』』』


 いや、えっ?この世界ってそういう世界なの?


『……なんだそのゲームみたいな設定』


 おおっ、蓮のツッコミに力がない。許容範囲を超えたか。それでもツッコミはする、さすが蓮だな!


『この世界ってレベルとかあるんだ』


『そういえば、蓮と葵と薫はそんなことなかったの?三人とも魔獣倒してたよね?』


 確かに、椿が言った通り三人とも倒してたな。あんまり気にしてなかったから忘れてたわ。


『ないな』


『なかったよ』


『ないわね』


『ふむ。となると、魔獣を倒しても必ず上がるわけじゃないと』


『何か条件があるのかな?一撃じゃないとダメとか自分より強くないとダメとか』


『……単純に経験値が足りないとか?桜は猪だし』


 あ~、ありそう。


『まったく、せめてステータスみたいのが見えてればなぁ~』


『楓、気持ちはわかるけど、それじゃあ完全にゲームだよ』


『だよなぁ~。地道に探っていくしk――フォン――……えっ?』


 こ、これって、アレだよな?この半透明な板は……。


『どうした?楓んとこにも魔獣が出たか』


『い、いや、魔獣は出なかったがステータスは出た』


『『『『『『『『……えっ?』』』』』』』』






 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 名前 風月楓

 性別 男(?)

 年齢 16歳

 種族 龍族

 Lv 5


 HP 50000

 MP 150000


 STR 6000

 VIT 5500

 DEX 8500

 AGI 12500

 INT 9000

 LUK 4500



 〈スキル〉

 銃術Lv9・全状態異常耐性Lv11・成長Lv4・適応Lv15・威圧Lv13・解体Lv4・気配感知Lv18・気配遮断Lv16・危険感知Lv16・索敵Lv7・直感Lv31・手加減Lv6・千里眼Lv4・念話Lv1


 〈レアスキル〉

 武人Lv21・生産職人Lv12・解析Lv21・超隠蔽Lv2・再生Lv4・予知Lv12・心眼Lv5・超感覚Lv24


 〈異能スキル〉

 異能力感知Lv17(魔Lv34・呪Lv18・霊Lv26・妖Lv33・仙Lv21・竜Lv1・鬼Lv1・龍Lv1)・異能力操作Lv14(魔Lv28・呪Lv13・霊Lv24・妖Lv25・仙Lv16・竜Lv1・鬼Lv1・龍Lv1)・異能力遮断Lv11(魔Lv22・呪Lv10・霊Lv18・妖Lv20・仙Lv13・竜Lv1・鬼Lv1・龍Lv1)


 〈特異能スキル〉

 龍眼Lv1・神眼Lv1・妖眼Lv1・妖化Lv1・仙眼Lv1・竜眼Lv1・鬼眼Lv1・魔眼Lv1・魔法Lv5


 〈固有スキル〉

 想造Lv1・創世Lv1・時空操作Lv3・運命操作Lv3・虚無操作Lv1・眷族化Lv1・眷族支配Lv1・眷族召喚Lv1・全知全能(限定)・不老不死(限定)・龍化・龍召喚・龍真王ノ風格・龍真王ノ断罪


 〈称号〉

 龍真王・傍若無人・問題児・無自覚な努力家・神を超えし者・龍を創りし者・龍の頂点に立ちし者・全異能を所持する者・限界を超えし者・世界を創りし者・異世界から来た者


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆







 色々ツッコミたいことはあるが、とりあえず桜たちに俺のステータスを説明する。


『……とまぁ、こんな感じ』


『こんな感じって、お前いつ人間辞めたんだよ?』


『さぁ?』


『あと全知全能とか不老不死とか神超えてたり世界創ってたり、ツッコミどころが多すぎるわ!自重しろ!』


『それを俺に言われてもな』


『……そして、何気に男(?)』


『それなぁ!?』


『わぁ!反応が早いね』


『楓、気にしてたもんね』


 ただでさえ、買い物行ったりすると女に間違えられたりするのにステータスにまで間違えられるのかよ!?

 個人的にそれが一番ダメージ大きいんですけど!俺男だから!(?)はいらないから!


『とりあえず、みんなもステータス見てくれ。そのあとは、霊心話切って各自行動開始で』


『『『『『『『『りょーかい』』』』』』』』


『なにかあったら、また連絡入れてくれ』


『あっ、楓ちゃん』


『どうした、桜』


『私のスキルにも念話ってあったんだけど』


『俺もあったな』


『俺も』


『私もあったわ』


『私もだね』


『あっ、私もだ』


『……以下同文』


『私もありましたよ』


 ふむ、全員持ってるのか。


『それで、桜。それがどうかしたのか?』


『うん。折角だから次からは念話で連絡とってみないかなって思って』


『……確かに。霊心話だと異能力を使うから』


『そうだな。それじゃあ、次からは念話で連絡を取り合ってみよう。みんなもそろそろ拠点っぽい所を作らなきゃいけないだろうし。念話の使い勝手もその時で』


『『『『『『『『りょーかい』』』』』』』』


『んじゃ、切るぞ』


 ……ふぅ。さて、俺も拠点探しに行くかな。水場に近い開けた場所があればいいが。最悪作るか。


「今日の飯は持ってきておいた食材を使うとして、明日からは魔獣の調査とかやることが色々とあるな』


 早いとこ拠点作って、今日は早めに寝よう。結界を張れば安全に眠れるしな。ステータスの件も確かめないと。


「……はぁ。それにしても、(?)。(?)かぁ~」


 なんだかいろいろなことがあったけど、それが一番ショックだったな。

 そう思いながら俺は、周囲を警戒しつつ拠点を探すため移動を始めた。


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