夏休みと問題児
大変お待たせしました。
では、どうぞ!
夏休みに入ってからすでに二週間、楓たちは忙しい日々を送っていた。
それというのも、夏休みに入ってすぐに正義たちのレベルアップのため、以前楓が行った無人島で一週間の修行を行ったからである。
そのあと、一週間は世話になった人へ海外へ引っ越すという内容で挨拶回りもしていた。
「さて、いよいよ挨拶回りも今日で最後だな」
「ああ、それじゃあ、行くか」
そういって楓たちは雪林流道場・・・・・・光政たちの所に足を進めた。
道場に入ると、そこにはたくさんの門下生たちが鍛錬をしていた。そして、その奥に光政たち三人の姿も見える。
「よぉ、おっちゃんたち。ちょっといいか?」
「なぁ、楓。最近俺たちの扱いが雑になってないか?」
「そうか?まぁ、そんなことはどうでもいいだろ」
「どうでもいいって・・・・・・」
光政が呆れたような顔をしているがそんなことには楓は取り合わない。
「三人ともちょっと付き合ってくれ」
そういって楓たちは、地下修練場に歩いていく。
光政たちは楓の雰囲気が変わったことを感じて、表情を引き締めて楓の後に黙ってついていく。
「それで、一体何のようなんだ?」
地下修練場についた後、光政は楓たちにそう問いかけた。
「ああ、夏休みの終わりに行くことにした」
「・・・・・・なっ!?それは、本当か!?」
楓の言葉を聞いて、光政はもちろん武尊や静香も驚いているようだ。
それもそのはずで、光政たちは楓たちの異世界転移の方法の確立の進み具合など、全く聞いていなかったため、少なくともあと一年はかかあるものだと思っていたからだ。
「夏休み前には異世界に行く手段を編み出したんだが、そのあと正義たちに修行つけたり、世話になった人達に引っ越すって言いに行ったりな」
「・・・・・・そうか。急な話だがお前らのこれまでの苦労を考えれば仕方がないか」
「そうじゃのう。実際、楓たちの苦労は儂らには量り知れん」
「正義くんたちにはもう言ったの?」
「いや、近いうちに伝えようと思ってる」
「そう、それならいいんだけど・・・・・・」
「それにしても、ただの悪ガキにしか思ってなかったこいつらが異世界にねぇ・・・・・・」
「そういや、初めてここに来たのは小学校卒業してすぐだったっけ」
「あんときは、中学にも入ってないガキが何言ってるんだって思ったものだ」
「それが、蓋を開けてみれば門下生全員でようやく取り押さえられるほどの実力の持ち主だったんだからね」
「全く、初めて会った時から規格外な奴らじゃったわい」
『はっはっはっは!』
楓たちはしばらく昔話に花を咲かせて、最後に少し師範たち自分たちの実力を見てもらうことになった。
模擬戦形式でやることになり、蓮と薫、椿と葵、凪と雫、桜と茜の試合が終わった。ちなみに、試合が終わるごとに時空間魔法で地下修練場を元に戻している。
「んじゃあ、最後は俺だな」
「でも、相手はどうするんだ?」
「そりゃもちろん、全員で」
『・・・・・・は?』
「いや、『・・・・・・は?』じゃねぇよ。おっさんたちも桜たちも全員で来いよ。俺の実力知りたいだろ?」
「・・・・・・確かに、・・・・・・楓と闘ったこと、無い」
「そういえば、私も無いわね」
そうして確認した結果、桜たちの誰も楓と戦ったことが無いのである。
光政たちは修練ということで戦ったことはあるもののあくまで格闘術だけである。それももう何年も前のことである。
「さてと、やるか」
そういった楓の姿が消えた。気付いた時にはすでに椿が吹っ飛んでいた。それと同時に葵に裏拳を放つ。
だが、桜たちも何もしなかったわけじゃない。椿は吹き飛ばされながらも体制を整えて着地し、葵も裏拳の力を身体方を使ってできるだけ流す。
蓮と桜は楓に反撃しようと身を乗り出し、他は全員楓と距離を取っていた。
「なめんな!我流『天突き』」
「行くよ!水風流、技ノ一『風弾』!」
だが楓はそんな二人の動きを分かっていたのかのように攻撃を躱し二人の懐に入る。
「甘い!我流『魂威・二撃』!」
「ぐはっ!!」
「うっ!!」
楓の両腕から放たれた攻撃で蓮と桜は床に崩れ落ちる。
「まず、二人」
「くっ、嘘だろあの二人が!?」
「確か二人とも風月くんたちの中でも戦闘が得意な二人だったはずですが・・・・・・」
楓が一瞬で蓮と桜を倒したことに光政と静香が驚きの声を上げる。
「流派を考えたのも俺たちの戦い方を考えたのも全部楓だからね。敵に回したら絶対に勝てないっていえる自信があるよ」
「「「それを早く言え(言ってください)!!」」」
椿の言葉に光政たちの突っ込みが飛ぶ。
「さて、この後予定もあるしパッパと終わらせるか。水風流、技ノ七『風纏』」
楓は体に風を纏わせて突進の体制を取る。
「・・・・・・させない。・・・・・・草天流、二ノ型『草蔓』」
「くそっ!こうなりゃヤケだ!雪林流、秘技『華限水斬』!」
だが、そうはさせまいと雫が楓の動きを止めようとし、光政がその隙を狙って楓に切りかかる。
「・・・・・・かかったな」
もう少しで、光政の木刀が楓に届くというところで楓の姿がまるで靄のように消える。
「・・・・・・えっ?・・・・・・きゃあ!?」
「なに!?・・・・・・ぐあっ!!」
「「きゃあああ!?」」
「っく!?」
「「いやぁああ!!」」
「ぅきゃっ!!」
「ぐわぁああ!?」
その直後、背後からの攻撃を九人が襲い、全員がわずか一撃で倒されてしまった。
「幻影流、一ノ型『陽炎』、九ノ型『影狼』・・・・・・ま、こんなもんか」
道場で光政たちに挨拶をすませた楓たちは、最後の目的地に来ていた。
「いやぁ~、ここに来るのも久しぶりだな~」
「つーか、楓。さっきのは何だよ?幻影流とか聞いたことないんだけど」
「私も見たことないな~」
「他にもまだまだあるぞ?みんなに教えたのはそれぞれに合ってるって言うだけで他にも流派はいろいろ考えてあるからな」
「それを先に言って欲しいです」
茜の言葉に楓以外のみんなが揃って頷く。
「まぁ、おいおいな。それより、早く行こうぜ」
「そうだね、久しぶりの我が家だしね!」
「・・・・・・院長、・・・・・・元気かな」
楓たちは今、小学校まで楓達が住んでいた孤児院に来ていた。
ひとしきり、孤児院を眺めて意を決して楓たちは孤児院の中へ入って行った。
孤児院の中は楓たちの記憶通りとても騒がしかった。夕食の時間帯でもあったからか子供たちが夕飯を取り合う声が聞こえてくる。
「・・・・・・変わらないな」
「・・・・・・そうね」
蓮と薫が感慨深そうに呟いた。他の五人も同じように感じたようで、懐かしそうに微笑んでいる。だが、そんな七人とは全く違う反応をした二人がいた。
「「ただいまー!!」」
言わずもがな、楓と桜である。
「「「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」」」
これには、さすがに蓮たちも絶句した。確かにここは、楓たちが育った場所であり楓たちの家だが、すでに楓たちが家を出てから三年以上も経っているのである。
普通なら、昔と何の違いもなくただいま、とは言えない。
「・・・・・・はいは~い」
蓮たちが絶句している間にも状況は進んでいく。
子供たちのいる方から、三十代後半くらいの女性が出てきた。
「い、院長・・・・・・ただいま」
その女性こそ楓たちの育ての親である星空孤児院・院長高橋瞳だった。
「っ、・・・・・・おかえりなさい」
瞳はそういった蓮たちと未だに平常運転な楓と桜たちを見て、少し目を見開いて驚いたあと、穏やかな笑顔を浮かべてそう言った。
瞳と数年ぶりの再会を果たした楓たちは孤児院の子供たちと食卓を囲んでいた。
「・・・・・・少し人が増えた?」
瞳の作った食事を堪能した蓮たちは、食後のコーヒーを飲みながら院長と小さかった頃の話をしていた。話が一区切りついたところで雫が院長に質問した。
「そうね。あなたたちがここを出てから三人ほど子供たちが増えたわ。それに、最近は近所の人が手伝いに来てくれるのよ」
「・・・・・・そうなんだ」
「手伝いが増えるのはいい事なんだろうけど、人が増えるのはいい事なのか悪いことなのか・・・・・・」
「確かに椿の言う通りね。でも、その子供たちが誰にも引き取られなかったときのことを考えれば、今の状況はきっといい事なんだと思うわ」
椿は瞳の言葉に苦笑いをしながらもそれもそうだと納得する。少しの間沈黙が流れたが、蓮たちはその沈黙を心地よさそうに噛みしめていた。
「院長、俺もコーヒー飲みたい」
「みんなだけずるい!私も院長が淹れたコーヒー飲みたい!」
「はいはい、今淹れるわ。・・・・・・ふふっ、楓と桜は変わらないわね」
そう言って瞳は再び台所に歩いていった。
「んで、ちゃんと置いてきたのか?」
「ああ。あそこには院長しか行かないだろうから、子供たちにもばれる心配はないだろう」
「一応、私たちも会社にここの資金援助するよう言ってきたけど・・・・・・」
「ああ、俺たちの後釜はともかく、それ以降はいつ資金援助をやめるかは分かんないからな。俺たちの貯蓄はここに置いていこう。カードとか暗証番号とかを書いた紙は手紙に入れておいたから問題ない」
楓たちがここに来た理由は二つあった。一つは異世界にくことの報告。二つ目は、自分たちがいなくなることで、今まで一カ月ごとに送っていたお金が無くなってしまうため、自分たちのお金をこの孤児院に寄付するためだ。
「んじゃあ、あとは異世界に行くことの報告、っていうかお別れのあいさつだけだな」
蓮がそう言って少ししたあと、二つのコーヒーカップを持った瞳が台所から戻ってきた。
「は~い。楓と桜のコーヒーね」
「おっ、サンキュー」
「ありがとう」
楓と桜がさっそく一口飲み、一息ついた。
「「はぁ~」」
「ふふっ、それで今日は何の用で来たの?」
『・・・・・・・・・・・・』
思いもしなかった瞳の言葉に楓以外の全員が反応できなかった。
「ん?ああ、この前いってた異世界に行くって話、準備が整ったからそろそろ行く。んで、今日はお別れを言いに帰ってきた」
「・・・・・・そう。寂しくなるわね。次に帰ってきたら、お土産話を聞かせてね」
「い、院長?えーと、私たち帰ってこないんだけど・・・・・・」
「ああ、まかせておけ。何年後になるかわからないけど、絶対にビックリするような話を聞かせてやるからさ」
「ちょっと、楓!?」
葵と薫の精子の声を無視して楓と話を続ける。慌てる桜たちだったが、そこで瞳が立ち上がる。
「ふふっ、楓は合格だね。でも、桜たちは不合格」
そういって、瞳は隣に座っている茜を抱きしめる。
「えっ!?ひ、瞳姉さん!?」
いきなり抱きしめられて動揺する茜とその光景を見ているみんなに瞳は優しげな声で言う。
「ここは、みんなの家なんだよ。どんなに遠くに行ったってみんなが帰ってくる場所はこのお家なんだよ?だから、もう帰ってこない、なんて言わないで・・・・・・」
瞳の言葉を聞いて何も言えなくなってしまう桜たち。だが、そんな桜たちに呑気な声で楓が言う。
「なんで、みんなそんな悲しそうな顔してんだ?すぐには帰る気はないが、たまにはこの世界にも帰ってくるぞ?」
『・・・・・・は?』
「いや、だって別にあの魔法陣一方通行じゃないだろ。ここの使ってない倉庫にも、もう魔法陣描いてきたし、いつでも帰ってこれるぞ?」
『・・・・・・あっ!』
楓の言葉でようやく理解する桜たち。確かに楓たちは異世界に行くが、それでこちらの世界にいる知り合いに一生会えなくなるわけで無いのだ。
異世界に位召喚されるならまだしも、自分たちで異世界に行くのだから帰ってこれないという心配もない。
「・・・・・・はぁ。お前らは今まで何を見てたんだよ」
「うふふっ♪まぁ、いいじゃない、楓。・・・・・・みんなも絶対に帰ってきてね」
『りょーかい!』
「うふふ~約束よ~」
そのあと少し瞳と談笑してから楓たちは孤児院から出ていった。
次の目的地は―――学校だ。
学校にやってきた楓たちは、真っ先にオカルト研の部室へと向かう。
することはいたって簡単で、ごちゃごちゃとたくさんのものが並べられている部室の整理だ。
「というわけで、片付け終わり!」
といってもアイテムボックスにしまうだけなので一瞬で終わるのだが・・・・・・。
やることがなくなった楓たちは、いつも通り部活動をしながら、時間を潰していく。
「そういや、みんな。寄せ書きは書いたか?」
「「「書いたよ」」」
「もちろん書いたよ」
「とっくの前に書いた」
「書いたわ」
「・・・・・・もち」
「書きました」
「なら、いいんだ」
「それにしても、もうそろそろこの世界ともお別れだな」
『そうだな(ね)~』
蓮の言葉に全員が同意する。というより流してる。
「流すなよ!」
「あっ、そういや、楓。この前頼まれた人が来ない場所と日本(仮)地図の詳細版ができたから渡すよ」
「おっ、椿サンキュー!じゃあ、ちょっと見てみるか。椿、説明頼む」
「まかせて!ええっと、とりあえず、俺達が転移する場所だけど大体静岡県くらいのところだね。詳しく言うと富士山の麓にある樹海。あっちの日本の魔獣でいうところの平均より少し上ぐらいの魔獣からかなり高ランクの魔獣まで生息してる。だから、深部には人は近づかないみたいだ
それで、あっちの日本の町だけど、大都市は大体こっちの日本と同じく街が存在してるね。規模は異なるけどね。その他の都市部だけど、ほとんどが誰も住んでなくてところどころに町か村があるくらい。
一応、東京駅近辺、皇居を中心とした街が首都のようで一番人口が多かった。その他にも大阪、名古屋、札幌、京都、神戸、福岡にも、大きな町は存在している。逆に、沖縄や九州の一部や東北、北海道の東側にはほとんど人が住んでなく、逆に高ランクの魔獣がうじゃうじゃいる。
だから、大きな町がある所や未開地のところには要石を送ってるよ」
「ん、りょーかい。念のために他に人が近づかないところを教えてくれ。あと、高ランクの魔物の生息地も」
「わかった。さっきも言ったように沖縄や北海道の東側には、人は住んでないよ。ほとんどが高ランクの魔獣だ。ただ、一部幻獣や聖獣、神獣みたいな存在もいるみたいだ。
大体幻獣なんかが住んでいるところには人が住んでないね。住めないと言った方が正しいのかもしれないけど。そして、基本的に大きな町の近くに幻獣や神獣は住んでないみたいだ。
例外もあるみたいだけどね。聖獣――霊力を持った獣――だけは町からそれほど遠くない位置に住んでるみたいだ。まぁ、そうはいっても極少数なんだけどね。
幻獣とかの魔獣以外の生物の住んでいるところを詳しく上げると、北海道の北部と東部、沖縄の西表島、東北の白神山地、九州の桜島近辺、四国の剣山、鳥取の砂丘、京都の嵐山、中部の日本アルプス近辺、栃木の日光、それと俺達が転移する予定の富士の樹海の十個だね」
「なるほどな。こっちでいうところの世界自然遺産、自然にあふれた場所に幻獣なんかは住んでるのか」
楓が椿の説明を聞いて納得したように頷く。他の七人も地図を見ながら椿の言った場所に印などをつけている。
「それにしてもなんでそんなことを聞くの?必要なことだとは思うけど、今じゃなくてもいいんじゃない?向こうに行ってからでも」
「まぁ、そうなんだけど。意思疎通できる幻獣なんかの高位な存在に、向こうの世界がどんな世界なのか聞こうと思ってな」
「それなら、向こうに行ってからの役割分担を決めない?」
薫と楓の話を聞いてるうちに思いついたらしく、桜が皆に提案する。
「・・・・・・ん、名案」
「そうだな。そうした方が向こうに行った後にスムーズに動けるか。みんなも特に問題ないか?」
楓の問いかけに全員が頷く。全員同意するらしい。
「んじゃ、役割分担を決めますか」
そういった楓に、椿が手を上げる。
「俺は今までと同じように情報収集をするよ」
「私も手伝うよ、椿」
「ありがとう、葵」
どうやら、情報収集は椿と葵の二人で決まりのようだ。
「んじゃあ、俺は戦闘を担当するか」
「まぁ、蓮はその辺りが妥当じゃないかしら?」
「おい、薫。それはどういう意味だ?」
「さぁ、どういう意味かしらね。私は蓮のサポートをしようかしら」
蓮と薫の言葉により、二人は戦闘班ということになった。
「私はみんなの手伝いをしようかな?」
「・・・・・・私もそうする」
「凪姉さん、雫姉さん。私も手伝います」
「ありがとう、茜ちゃん」
「・・・・・・ん、ありがと」
凪や雫、茜も滞りなく決まったようだ。残りは楓と桜の二人だけになった。
「うーん、となると私は料理とかそっち系かな。楓ちゃんが喫茶店やるって言ってるし、料理が中心になるかな」
「そうだな。俺と桜は生産班ってところだな。料理は桜に任せるとして、武器なんかは俺がやるか。薬なんかは俺と桜で手分けしてやるとするか」
「そうだね。あっ、楓ちゃん、素材調達はどうするの?」
「基本は蓮と薫。あと凪たちのうちの誰か一人かが手伝えば大丈夫だと思うぞ。手が空いてなければ、俺たちが行ってもいいしな」
「それなら、基本全員での方がいいんじゃない?その方が時間も短縮できるし、何があるのかみんなが把握しておいた方がいいと思うし」
「それも、そうだな。じゃあ、その方向で。予定があれば、そっちを優先させるって感じでいいな?」
「それでいいと思うよ」
楓が適当に案を出すが、だったらいっそみんなでやろうという桜の案に楓も了承した。みんなも意見はないらしい。
「まぁ、みんなで冒険者登録もするし、依頼こなしながら素材も確保するってことでいいんじゃねぇか?」
「・・・・・・そもそも、その世界に冒険者っているの?」
「「「「「「「「・・・・・・あっ」」」」」」」」
蓮の言葉に雫がそもそも冒険者がいるのかを疑問に出すが、誰もそのことには気づいていなかったらしい。変なところで抜けている楓たちである。
「ま、まぁ、魔獣もいるくらいだし、冒険者じゃなくても似た職業くらいあるんじゃないか?」
「たぶん、あると思うよ。地図作りのとき、人が魔獣を狩ってたから、少なくとも魔獣を相手にする職種は存在すると思うよ」
蓮のあまり根拠のない言葉に椿がしっかり根拠に基づいた補足をし、楓たちはそろって安堵した。
「ふぅ、あとはなんか話しあうことはあるか?」
「いや、もうないと思うよ」
「なら、今日は解散だな。転移の日に忘れ物が無いようにな」
『りょーかい』
「んじゃ、帰るか」
そういって、楓たちはオカルト研の部室を後にした。
異世界転移の日まであと少しまで迫っていた。
楓「次回はいよいよ俺達が異世界に!?」
雫「・・・・・・なんと、蓮が置いてきぼりに」
蓮「不吉な予告するな!」
作者(以下『壮』)「・・・・・・」
壮「・・・・・・っ!?あとがきが乗っ取られた!?」
桜「作者と登場人物の夢のコラボだね!」
壮「なぜこのタイミングで!?」
蓮「それはお前が一番よく知ってるだろ」
壮「単なる気まぐれだ!」
感想・アドバイスお待ちしております。




