泉涼祭と問題児 こぼれ話
三日連続投稿です!
今回は番外編のような扱いになります。
それでわ、どうぞ!
~その頃お化け屋敷では~
case1 ある怖がりな男性の場合
「なぁ、お化け屋敷だってよ。入ってみようぜ」
「はぁ?嫌だよ。なんで野郎二人でそんなトコ入んなきゃいけないんだよ!」
ま、全くふざけるな。何が悲しくてこんなトコに・・・・・・。
「そんなこと言って怖いんだろ?お前こういうの苦手だもんな?」
「んなわけねぇし!いいよ、入ってやるよ!」
ああ、言っちまった。どうしよう、いや、大丈夫だ!所詮、高校生が考えたお化け屋敷だ。大したことないはず・・・・・・。
俺は、自分に言い聞かせながら受付に向かった。
「・・・・・・いらっしゃいませ」
もうヤダ帰りたい・・・・・・。なんで受付が落ち武者の格好してるんだよ!まだお化け屋敷じゃねぇだろ!ここ廊下だよ!?
「入ってみてもいいか?」
つーか、なんでお前は平気なんだよ!めちゃくちゃリアルだろ、この落ち武者!
「はい。ですが、このお化け屋敷は男性は一人ずつお願いしています」
「へ、へぇ、なんで?」
「えーと、部長がリア充のためになんかお化け屋敷を使わせない!と言い張りまして・・・・・・」
(部長ぉぉおおおおおお!!)
何してくれちゃってんの?いや、確かにその気持ちには同意だけど、それとこれとは違うだろうが!マジふざけんな部長!
・・・・・・こうなったら、パッパと終わらせてすぐに違うところに行こう。
「そ、そうか。なら、俺が先に行こう」
「へぇ、お前がこの手のジャンルに積極的になるとはな。明日は雨でも降るのかねぇ?」
「うるせぇ。・・・・・・それじゃあ、行ってくる」
そういって、俺は中に入る。中は結構広く、ちょっとした迷路のようになっていた。
「うおっ!・・・・・・って何だ鏡か」
角を曲がったところでいきなり人の姿が見えたと思ったら、鏡に映った自分の姿だった。全く誰だよこんなの作ったやつ。
ひとまず、息を整えて再び鏡を見る。
「へ?・・・・・・う、うわぁああああ!!」
鏡には俺の顔とその後ろに青白い顔をした女が立っていた。
俺は、悲鳴を上げながらもすぐに後ろを振り返る。しかし、そこには誰もいなかった。再び鏡を見るが自分以外誰も映っていない。
「な、なんなんだよここは・・・・・・」
高校生が考えたお化け屋敷なんだよな、ここ。ちょっと凝りすぎだろ・・・・・・。
俺はそれからもたびたび悲鳴を上げながら、出口と書いてあるドアにたどり着いた。
「うわぁ、絶対なんかあるだろ、これ」
そう言いながらも、恐る恐るドアを開けるとなぜか少し先にもう一つのドアがあった。たぶん、あのドアが本当の出口だろう。その証拠に、ドアの隙間から若干光が漏れている。
「つーか、あのドアは何だったんだよ」
そう呟きながらドアを振り返ると後ろから声が聞こえた。
「・・・・・・また来てね」
「うおわぁああああああ!?」
叫びながら、思わず振り返るが後ろには本当の出口があるだけで誰もいない。
「本当になんなんだよここは・・・・・・」
そういいながら、本当の出口のドアを開いて、ようやく外に出ることができた。
・・・・・・それにしても、本当に高校生が作ったんだよな?ちょっと怖すぎるぞ。そして、微妙にまた入ってみたくなるのが腹立たしい。
「よう。随分叫んでたじゃないか」
「うるせぇ、お前も入ってみればわかる。半端じゃないぞ、ここ」
「よし!それじゃあ次は俺の番だな」
「それでは、逝ってらっしゃいませ」
おぉ!?いたのか落ち武者!つーか、なんか字が違くねぇか!?
・・・・・・まぁいいか、ここであいつの悲鳴を聞いているとするか。
case2 ある強気な男性の場合
全く、あいつは怖がり過ぎなんだよ。高々高校生が作ったお化け屋敷だぞ?お遊びみたいなもんじゃねぇか。
そう思いながら、俺は入り口のドアを開く。
「ってどんだけ広いんだよ、このお化け屋敷は」
俺の少し先には再びドアがあった。
どうやら、この先にもドアがあってその繰り返しで出口に向かうようだ。
「なるほどな。うん、よく考えてるじゃねぇか」
限りある空間をうまく使い、尚且つ扉を作り先が見えないようにする、という作りに思わず感心してしまい、少しの期待感を込めて先へと進む。
「・・・・・・がっかりだ」
現在、俺は出口と書かれたドアの前に立っていた。
作りが良かった分、期待をしていたが内容はたまに壁が鳴ったり、人のうめき声がする程度。
所詮は高校生が作ったものか・・・・・・。期待するだけ損した。
そう思いながら、ドアを開ける。
「・・・・・・・・・・・・は?」
そして、景色が一変した。
「なっ、なんだここは!?」
そこは、明らかに墓地だった。意味がわからない、さっきまでお化け屋敷の出口にいたはず。その出口を出たんだからあいつがいる学校の廊下に出るはずだ!
俺は冷静にどうしてこんな状況になったのかを考える。だが、いくら考えても全く理解ができない。
そして、周りの状況がこれ以上考えることを許さなかった。
「・・・・・・ひっ、・・・・・・う、嘘だ!こんなこと・・・・・・」
俺の気付かないうちに地面から、血だらけの死体が起き上っていた。なかには、腐りきってほとんどが骨でできている奴もいる。
そいつらは、今も次々と地面から這い出てきて俺の下へ一歩また一歩と歩いてくる。
俺はとっさに入ってきたドアへと向かう。だが、そこにはドアなど最初から存在しなかったの如く消え失せていた。そして、最悪なことに後ろからもゾンビどもが群がってきた。
「くそっ、なんでこんなことに・・・・・・。や、やめろ!来るな!来るなぁああああああ!!」
俺はとっさに両腕で顔を覆う。だが、一向にゾンビたちに襲われることはなかった。不思議に思い周りを見渡してみるとそこは、暗幕で部屋の窓を覆った薄暗い部屋だった。
少し先には出口と書かれたドアがあり、そこからはかすかに光が漏れている。
ふと、後ろを振り返ると同じく出口と書かれたドアが全開になっていた。
「・・・・・・また来てね」
「うぉおおおおお!?」
耳元で声が聞こえ、すぐさま振り返るが後ろには誰もいなかった。
俺は狐につままれたような気分になりながら、少し呼吸を整えて緊張しながら出口を開いた。
このあと、俺があいつに散々からかわれたのは言うまでもないだろう。
ただ、あいつに聞いたところ最後にそんな仕掛けはなかったといっていた。
そのあと、校内をいくつか回り最終日にまたお化け屋敷に入ってみたが、そこは前には行った時とは全く違い迷路のような作りになっていて、最後のドアも特に異常はなかった。ただし、普通にメチャクチャ怖かった。
そのあとで、聞いたことだが俺のように墓地に跳ばされる人や処刑場なんかに跳ばされる人も数人いたらしい。
そして、最終日の部活部門の投票にはあいつも俺ももちろん『オカルト研究部』と書いた。
つーか、本当にあれ高校生が考えたのかよ・・・・・・。
とある日の放課後
「なぁ、楓。そういや、お化け屋敷んときなんか仕掛けしてたみたいだけど、結局どういう仕掛けなんだ?」
聞いたのは蓮だったが、他のみんなの興味津々だった。それもそのはずで、オカルト研が最優秀賞を獲得したのは楓の仕掛け以外に考えられないからだ。
「ん~?あぁ、あれは、入り口と出口前のドアに情報共有の魔法かけて、入り口で恐怖心が少なかった人が違うルート通るようにした」
「違うルート?」
楓の答えに違和感を覚えた凪が楓に聞き返す。
「そ。俺が時空間魔法で作った空間で超つまらないルート」
「それって具体的にどんななの?」
「お化け屋敷自体の作りは一流なのに脅かし方が小学生レベル」
「うわぁ・・・・・・それは、冷めるわぁ」
「でも、それじゃ逆に人来ないんじゃない?」
桜たちが楓の言ったことを想像して楓に同意していたところに椿が待ったをかける。それを聞いてそう言われればそうかと桜たちも持ち直す。
「言ったはずだぞ『最後に怖がらせよう』ってな」
「・・・・・・つまり?」
「出口の前の扉に転移魔法かけて俺の造った空間の墓地・処刑場・洋館にそれぞれ跳ばした。そのあと、出口を消して地面やらドアの向こうに隠れさせたゾンビや幽霊の式神の大群が押し寄せる仕様。んで、式神が対象に触る直前で元々のお化け屋敷に戻すという方式だ」
「なるほど。それで、オカルト研は呪われてる、なんて噂が広がってるわけだ」
実は今回のお化け屋敷で恐怖体験した人が、噂?を流しオカルト研究部の部室は呪われている、とかオカルト研は悪魔に憑りつかれている、などの噂が広がっていた。
「それで、普通のお化け屋敷はどんな仕様なの?楓ちゃん」
「あぁ、簡単に言うと人の不安を煽るお化け屋敷にした」
「不安を煽る・・・・・・?」
楓の言葉に雫が疑問を返す。他のみんなもわかってないようだ。
「あぁ、鏡に映った自分以外の人、一人しかいないのに耳元から聞こえてくる声、実体のない物に人は不安になるものだ。そして、不安を解消するにはもう一度確かめるしかない」
「なるほど。それで、お化け屋敷に人を集めたのね」
薫が納得して頷いた。それを聞いて楓は補足説明する。
「あぁ。それに、不安を解決する手段の一つとして人に話すって言うのも考えられるからいい宣伝になるかなと思って」
「そのおかげで、生徒会は噂の対処で大忙しだけどな」
「はっはっはっは!」
「笑い事じゃねぇよ!!」
「楓ちゃん?ちょっとお話しようか?」
「ハイ。リョウカイシマシタ」
桜の満面の笑顔に壊れたロボットのように首を振る楓。
今日もオカルト研の面々は平常運転で過ごしていた。
ようやく泉涼祭が終わりました!
思っていたより長くなってしまい申し訳ありません。
次回更新は少し間が空くと思います。
評価、感想・アドバイスなどがありましたら
よろしくお願いします。




