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特急
仕事に行くだけなのに遅刻をしそうだから特急に乗りました。500円の課金をして通勤ラッシュから解放されます。まだお隣さんはいません。私は次で降りるのでお隣さんは私のお仕事カバンと私のズボンと靴を大いに濡らすビニール傘という事になります。まだ雨が止みそうにない窓の外に顔を近づけ、特急を待っている間に売店で買った割高のチョコレート(それも普段は決して口にしないような甘くてとろけるホワイトチョコレート)の小さな粒を紅も差していない口に投げました。その頃にはいつも乗っている電車を追い抜き、私は慌てて鏡とリップを散らかっている荷物の中から引っ張り出します。ああ、時間が足りない。もう中国語のアナウンスが聞こえる。おでこにニキビを見つけた。