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かみさまの吹かせる風  作者: 灰色
プロローグ
1/2

まだまだプロローグ段階です。

この話はプロローグは一話のみにしました


もう一つのがプロローグ長すぎるというわけでもありますが。

…今日もまた、人々は忙しく働く。

“クルマ”に乗り込んで移動する人。しかっめっつらして歩く人。

高く高く空へと生えた四角い箱(“ビル”とかいうらしい)にたくさん作られた窓を覗き込めば、怒鳴り散らす人、首をすくめてぺこぺこ頭を下げる人、座ったまま機械に向かって何かを打ち込み続けている人でいっぱいだ。

一体何が楽しくて、そんなことをしているのだろう?


聞いてみたいけれど、私の声は誰にも届かない。


昔は私を視ることのできる人もたくさんいたんだけれど、今ではほとんど姿を消してしまった。

視ることのできる人を探しに、田舎町にでも行ってみようか?

昔の、まだビルなんて少ないころに行ったときには、そこにもそんな存在いなかった。

今の時代ともなれば、さっき見た人たちのように働いている人しかいないんじゃないか?


そうは思うけれど、今日は何だか気が向いた。試しに行ってみようかしら?この風景にもいい加減見飽きたし。

ふわりと、ワンピースのすそと長い髪を揺らして、私は翔ける。

ビルやらなにやらの建物をつなぐ黒い線の上を、一陣の風として翔けていく。

地面を歩く人は皆、「風が強いな」くらいにしか思わないんだろう。私のような者たちのことなんて、みんな忘れてしまった人間たちは!


腹が立ってきたものだから、半ばヤケになって翔けていると、いつの間にか開けたいかにも田舎といった感じの土地に辿りついていた。

思いっきり翔けたら、なかなか無いくらいに疲れてしまった。この分じゃ、ずいぶん遠くまで来たんじゃないだろうか?

一変した風景。鮮やかな緑に染まり始めた、春の山の上空に私はいた。

そっと山肌に降り立ち、適当な太さの枝を探す。ちょっと休まないと、飛べなくなってしまうから。ちょっと反省。無茶な飛び方をするのはやめよう。


しばらくたって、いい場所を見つけた。もうくたくただ。ずいぶん山の上のほうまで来てしまった。

これだけの太さの枝なら、落っこちないで眠れそう。

どうせ見ている人などいないし、と目標の枝の少し上の枝に向かって跳んで、両手でぶら下がる。

そこから目標の枝に向かって…


…え?


目標の枝には、青年が寝転がっていた。先客だったようだ。驚いたのはそこじゃない。

彼の視線は、私の顔…私が彼に向ける視線と、ぴったり一致していた。


「…お前、誰?」


「いっ、いやぁ、私は、そのっ」

柄にも無いくらい焦る。焦りすぎて、私は自分の状況を忘れてしまっていた。

つまり、まだ枝をつかんで身体を支えていた手を、離してしまったわけで。


「ひゃあっ」

「あ、おい大丈夫か!?」


彼がまだ何か言うのが聞こえたけれど、私は疲れもあってか、意識を保っていられなかった…

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