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僕に書く目標をくれた偉人 東野圭吾さんへの追悼文

作者: 中将
掲載日:2026/07/27

 ※作品のネタバレを含みますのでその点をご承知ください。


 まず東野圭吾さんのご冥福をお祈りするとともに、偉大な作品を数多く輩出してくれて心からお礼を申し上げたいですね。


 どこにでも代表作として書いてある『容疑者Ⅹの献身(2005文藝春秋)』や『ナミヤ雑貨店の奇蹟(2012角川書店)』『ガレリオシリーズ』『マスカレードシリーズ(集英社)』については言うまでもなく、きっと皆さんもご存じな方も多いでしょうし、大体論評されていることの域を大きく出る感想を僕は持ち合わせていません。


 全作読んだわけでは無いですけど、発表作品の半数以上は読んだファンの1人として「それら以外」についての名作を語っていこうと思います。



◇作品の「絶対的ブランド性」



 初めて東野さんの作品を手にした日からある意味、”虜”になった感じでしたね。

 何が凄かったのかと言えば、平易な表現が多い中で徐々に作品の中に引き込まれるその「中毒性」とも言えることでしたね。


 それは人間の心理推移を事細かに描写していることから次第にその世界に溶け込んでいくようなそんな感覚がありました。


 後は、各登場人物がキャラクターの生き方としての徹底性とそれぞれの生きていると思える何気ない表現、それらが引き込ませる力を持っているのだと思いました。


 また伏線に破綻が少なく、論理的構成も卓越しているために「ストーリーの構成」と「人間の感情」を上手く混在させた作家さんと言えるのです。


 そのために、世間的にはあまり有名でない作品だったとしても「ハズレタイトル無し」と断言して良いと言うのが僕の感覚としてはありました。


 『殺人の門(2003角川書店)』なんて極端な話、口が上手い腐れ縁の友達に殺意を抱き、殺すまでを描いているだけなのに、「こんなにも人生背景や殺意に至るまでが深堀を出来るのかよ……」って最初読んだ時には感嘆しましたからね。

 この作品読んだ時以来、単に殺人事件の報道があっても「いったいこの人はどんな人生を歩んできたんだろうな……」とか思う時がありますからね(笑)。


 また、理系のエンジニア出身だったことから社会的に取り上げられている科学的なことに関しても非常に敏感で例えば『魔女と過ごした七日間(2023KADOKAWA)』ではギフテッドやDNAによるモダージュ捜査、遺伝子を勝手に警察が採取しているかもしれない問題についてなど、様々な問題を取り上げていました。

 

 

◇忘れられない作品



 東野圭吾さんには「感動型」と「読後感が悪い型」の2パターンに分かれている気がします。

 

 感動型で代表作以外で真っ先に出てきたのが『時生(2002講談社)』で彼女のヒモである情けない主人公の拓実が未来の子供である時生に助けられる話です。

 時生は遺伝子の病気で短い人生ながらも、父親を救うというある種の宿命じみたものを背負ったある種の無くてはならない絶対的なピースだったのでしょうね。

 最後の「花屋敷で待っているぞ!」というのがグルグルと時生の中では周ってまた救いに行くのか……と思うと胸が熱くなった作品でした。


 読後感が悪い作品として印象深いのが『ダイイング・アイ(2004光文社)』です。これは半ばホラーに近いと言えます。交通事故で死ぬ直前の一人の女性の執念が連続的な殺人やマネキンを大量に作らせるなど「狂気」の連鎖を走らせていくそんな作品でした。

 ある意味雨の自動車運転は注意しよう……と思える交通安全啓発本なのかな? とも思いました。


 短編は個人的には誰の作品であったとしてもあまり好みでは無いのでそこまで読んでいないのですがダントツで印象に残っているのは『天使の耳(1992実業之日本社)』で、車同士の衝突事故で果たしてどちらの車が信号無視をしていたのだろうか? と言う話で、これは天使と言うより悪魔じゃないの……? と思わせるような巧妙かつ衝撃的な結末でした。

 


◇これからも永遠の尊敬であり目標

  


 こんな素晴らしい作品がもう新作がこれ以上出てこないかと思うと悲しみでいっぱいなのですが、悲しみと同時に感謝の気持ちでいっぱいです。


 それは僕が文章を書いて公表しようと思ったのも東野さんの影響が非常に大きいからです。


 同じように書くことは出来ないでしょうけど、いつか東野さんのように人の心情の機微を繊細に表現することが出来る作家になれるようにこれからもやっていければと思います。


 本当に今までありがとうございました。安らかにお眠りください。


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