ライノールの選択肢
王妃様のお話によると卒業パーティーの夜、ライノール様とマリア様は軟禁されている部屋から抜け出したそうですが速攻確保され、逃げられないように簀巻きにされベッドの柱に朝まで縛られたそうです。余程抵抗したのでしょうね、でなければそんな措置はとられないはずです。
そして王妃様の宣言通り荷物と一緒に男爵家に連れて行かれたそうですが、納得いかなかったのか王宮に直談判をしに戻ったらしいのです。
ただその道順が不味かった。
正門や裏門には衛兵が立っており、門前払いをされるのは日を見るより明らかだった為、隠し通路を使って外からライノール様の部屋に来たそうなのです。この隠し通路は王族の部屋に必ずある通路で、敵が攻めて来たり火事などの災厄の時に緊急で使用するもので王族以外に秘匿され、知られる事は城を落とされると同義。即座に全員牢に入れられたそうです。
「この件でズッコ男爵家は取り潰しが決定、ライノールとマリア、元男爵夫妻は処刑される事になった」
ライノール様が平民になり男爵家に婿養子として入り、わたくしに慰謝料を支払う裁定から一気に厳しい処罰になりました。これはライノール様が城の隠し通路を外に漏らす可能性があるという事でしょう。
「男爵夫妻まで処刑なのですか?」
隠し通路をライノール様だけではなくマリア様も使用しただろうというのは想像できますが、男爵夫妻は何かしたのでしょうか。
「それはね、ライノールと一緒にマリアと男爵夫妻も一緒に隠し通路を使用したんだよ。本来なら男爵家には処罰を求めていないから申し入れて普通に夫妻は登城出来たんだけどね。ライノールとマリア嬢の話に動揺したのかな」
どうやら男爵夫妻は事態に動揺してライノール様に言われるがまま付いて行き、隠し通路を使用してしまったという事らしいです。とんだとばっちりで処刑されてしまうなんて少しだけ同情します。
しかしライノール様が隠し通路の存在を知っていたのは意外でした。王子教育を疎かにしていたあの方なら知らないと思っていたのですが、もしかしたら幼い頃ヤンチャだったライノール様は、よく王宮探検をしてらしたのでそこで偶々発見したのかもしれないですね。
既に毒盃を賜ったそうなので深く聞く事はいたしません。
ただライノール様が隠し通路を使わなければ苦しいながらもささやかな幸せを見つけ過ごせたはず。いえ、内々に婚約破棄をしたなら、それとも婚約者のわたくしを大切にしマリア様の誘惑に乗らなかったら、そもそもルクレ様との婚約の時にわたくしを婚約者にすると言い出さなかったら・・・・・・選択肢を間違えなければライノール様にも相応の幸せな人生を歩めたのではないのでしょうか。
いいえ、今さらそんな事を考えても仕方ないですね。




