ライノールが王太子になれない理由
「は?」
ポカンと呆けるライノールには「立場上王太子になれない」という言葉が理解出来ない。3人王子がいるとはいえ自分は第一王子、順番からいって王太子に一番近いと思っていたのだ。
「まさか・・・・・・知らない?」
「そうみたいじゃの。この国では正妃から生まれた王子と王女のみ王位継承権を持っておる。そして側妃が親の王子と王女には始めから継承権は無いのじゃ。これは王子教育の始めに習う事なのじゃが・・・・・・真面目に取り組んでいなかったのだろうのう」
扇を扇ぎながら呆れ顔をする王妃にライノールは何も言えない。第一王子だから何もしなくても王太子になるものだと思っていたから、講義をよくサボっていたのだ。反論すらできない。
「えぇ~そんなの聞いてない~」
「そなたも側妃教育を疎かにしておったの。これは側妃教育でも始めに習う事じゃ。・・・・・・ほんに似たもの親子よのう」
文句を言う側妃にバカにした眼差しを向けバッサリと切る。そしてお前が甘やかすからだと言わんばかりの鋭い目つきで国王を睨むと、それを受け震えながらも頬を染めうっとりと王妃を見つめる国王。
(・・・・・・この国は王妃で保っているのかもしれない)
どれだけ調教すればああなるのだろうと、公爵の国王に対する忠誠心が少し下がったようだ。
「しかし分かったであろう、王位継承権第一位はルクレ、二位は第三王子のジェンダ、三位は第一王女のシェリル、四位は第三王女のミーチェじゃ。よって今回ルクレが王太子になったのは正当じゃ」
「そんな・・・・・・」
子供に言って聞かせるように言われ、やっと自分が王太子になれないのが分かったようで項垂れる。その隣でやっと猿ぐつわを外されたマリアは理解が追いつかないのか王妃とライノールを交互に見ている。
「えっ?ライは王太子になれないの?なんで?側妃様の子だとなれないなんて酷くない?差別だわ!」
マリアが王妃に向かって言う物言いにイリスリアはひゅっと息を飲む。
一国の王妃に対して男爵令嬢ごときがやっていい言動ではない。この場でキツく捕らえられて然るべき事態である。現に部屋にいた護衛騎士がさっと動こうとしているのを、王妃に手で制されている状態だ。
「それは王妃は後ろ盾と優秀さを求められるが、側妃は貴族であればそれを求められない。愛妾など平民でもなれるからの。わらわの家は公爵家、側妃であるティファス殿は子爵家。次期国王の後ろ盾として良いのはどちらか・・・・・・成績がみっともない令嬢でも分かるであろう?」
後ろ盾を強調しているが、側妃はバカでもなれると言葉の裏の意味を理解できたであろうか。ちらりとライノール達を見るが、3人共気づいていないようだ。




