はいはいマンモス校バージョン2! ~体操着のハーフパンツ好きな人用~
あなたが好きになってくれそうな女子を描けていると願って……、別仕様です。
あなたは男子高校生で、今は体育館にいる。どうしているのかと言えば、ここで学校行事がおこなわれているからだ。
あなたの通うこの高校は、1000人以上が在籍する、いわゆるマンモス校であった。だから、体育館の中にいる生徒数も必然的に多くなる。
年に一度、開催される『恋愛の場』は、学年問わずに恋愛を成就させたい生徒が参加する。
高校二年のあなたは去年も参加したが、その時は好きな人を見つけられなかった。今年こそは……という意気込みで、ここに来た。
あなたは体育館内を迅速に移動する。
今年は運が良かったらしい。開催してから割と早い段階で、自分の好みに合致した子を発見することが出来た。
周囲を見回す、弱気な表情の女子。
髪は黒く、後ろで長い一本の三つ編みにして、薄い青のリボンで留めている。
顔は、あなたが合格を出すぐらい、かわいい感じ。
体型は痩せていて、胸部は紺色ブレザーの制服の上からでも分かるぐらいの大きさ。問題ない。
どちらかと言えば、地味な印象。けれど、この点も好ましい。
白いブラウスにつけたリボンが青なので、一年生だろうか。制服はきっちりと着ている。
そして、これが特に重要だ。――スカートの丈が、膝を隠すほどに長い。もし、丈の長さが膝上だったとしたら、あなたはこの女子を選ぼうとは思わなかっただろう。
あなたは意を決して、彼女に声を掛ける。
「それ、見せてもらっていい?」
それとは、参加する生徒が持っている本日専用の紙だ。これには、“はい”か“いいえ”で答えられる質問を書くことになっている。
「はい……」
彼女は小声で同意し、用紙をあなたに示す。
『私を守ってくれますか?』
何から守るのかは、あなたにも分からない。けれども、あなたには彼女の騎士にだってなる心構えも出来ている。
「はい」
あなたがしっかりと応じると、彼女はほっとしたような顔になった。
今度は、あなたが用紙を見せる番だ。
『ハーパン見せてくれますか?』
これを読んだ彼女は、明らかに答えづらそうな様子を見せた。
「……いいえ」
長い沈黙の後に、彼女は答えた。
彼女は用紙を確実に見て、理解した上で、拒否している。双方が“はい”ではなく、片方または両方が“いいえ”だった場合、恋愛関係の成立はしない。
しかも、彼女には恐らく、変なやつだと思われてしまっただろう。とても気まずい。
「やっぱりダメか……」
つい、あなたはつぶやいた。
用紙の内容を書き直してはいけないという、一応の決まりもあるので、あなたは彼女を諦めるしかなかった。
「嫌な思いさせちゃってごめん」
「……こちらこそ、すみません。今日は下にハーフパンツを穿いていなくて……」
「え?」
あなたにとって驚くべき行動が、目の前でおこなわれた。彼女が膝上まで、紺色チェック柄のスカートをめくり上げたのだ。
確かに、ハーフパンツに覆われていない、生の太ももしかなかった。
そこは問題ではない。
彼女が、穿いていないから“いいえ”と答えたことが、あなたにとって朗報だった。あなたは挽回の機会を得たのである。
「今じゃなくていい。今度見せてくれるなら今じゃなくていい」
焦って二度も言ってしまった。
「……それなら、……はい」
逆転の“はい”が来て、あなたは喜びを抑えられなかった。この成功を確実なものにするため、彼女に手を差し出した。
彼女は頬を赤くしながらも、あなたの手を取ってくれる。
あなたは彼女と手を繋いだまま、体育館の外まで歩く。これで、彼女との恋愛関係は成立となる。
人混みから離れた辺りで立ち止まり、あなたは後輩女子を見た。
「これからも、よろしくお願いします」
両手を正面で重ねた格好で彼女は言い、深くお辞儀する。誠実な動作をはっきりと視認して、あなたは良い子を見つけることが出来たのだと、改めて実感した。
■
あなたは放課後になるのが待ち遠しかった。
昨日、体育館で見ることが出来なかったものを、彼女が今日は着用して来ると約束し、放課後に見せてくれるらしい。
あなたは昨日のことを、思い出す。
体育館を出て少し経った後、彼女の守ってくれますか、という質問について、あなたは詳細を聞いたのだった。
彼女は中学時代にいじめを受けていたようで、高校ではそうなってほしくないから、守ってくれるような彼氏が欲しかったらしい。なお、現時点では、いじめられているということないみたいで、あなたは安心した。
放課後になり、あなたは彼女と待ち合わせた場所に行く。生徒が多いため、他に生徒が来ないような場所を見つけるのもひと苦労だった。
黒い三つ編みを背中に垂らす、後輩女子。彼女だけが、そこでじっと待っていた。
「昨日は穿いていなくて、すみませんでした。では、存分に見て下さい……」
大胆にスカートが持ち上げられた。太ももや下着を隠す紺色のハーフパンツが、白いブラウスに上部を隠されながらも、大部分が見えている。
あなたは彼女のハーフパンツだけでなく、彼女の顔も視界に入れる。少し赤くなった表情も、かわいらしく思える。
時間の許す限り、あなたは素晴らしい芸術を堪能した。その間ずっと、彼女はたくし上げ姿を保ってくれていた。
「……ありがとう。そろそろ戻していいよ」
「はい」
彼女はスカートから手を放し、軽く整えた。
「すごく良かった。ホントにありがとう」
「どういたしまして。……恥ずかしいですが、……さんのためなら、いつでもお見せするので、その時はお申しつけ下さい……」
あなたの名前を読んだ部分が特に小さくて聞こえづらかったが、彼女は恥ずかしさを堪えて、伝えてくれた。
もう一回見せてと言おうかと迷ったものの、楽しみはまた次の機会にしようと、あなたは踏みとどまった。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか」
「はい……」
返答した後の彼女の動作に、あなたはあまりにも昂った。
まるでお嬢様のような上品な手つきでスカートを持ち上げ、紺色ハーフパンツの裾だけをあなたに見せた。足を前後に合わせて、少し膝を曲げていた。
いわゆる、『カーテシー』という姿を、あなたは目の当たりにしている。
もう一回見せてほしいとは言っていないのに、彼女から自発的に見せてくれた。
この美しいお辞儀の格好をしてくれた彼女に報いるため、あなたは彼女をずっと守ってあげたい。そう思うのだった。
(グッドエンド)
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