概念殺しとオレ
引き続き説明パート
「良いか、ナカバ」
「はい」
「それはオモチャでは無い」
「はい」
「分かったか?」
「分かったからそろそろ正坐止めて良い?」
ざらざらタイルの上で正坐って軽く拷問だろ。
「……反省は?」
にっこり。
「いや、だって……」
「……」
にっっっこり。
「……スミマセンデシタ」
そんなこんながあったり無かったりしたりして。
「で、このリディルって何なんだよ」
柄から刃まで黒一色。装飾もなにも無い。どこから柄で何処から刃か良く分からん。つばも無い。片刃のナイフ。
んー、何だっけ。アダチ? って誰だ。 ワダチ、マブダチ、スダチ……今ー巣立ちの日ー。
「あ、思い出した。小太刀だ」
「リディルは俺の為の武器の……まぁ、簡易版コピーだ」
「何で白くないの?」
「元の武器が黒いからな……これはお前達のような存在には基本的に殆ど害は無い」
「ちょっとはあるんだ」
「まぁ、これで叩けば痛いだろうな」
かたいもんね。
「で、それが何でデュランに向けちゃいけないのさ」
「言っただろう。神の心臓抉りという名前だと。或いは……そうだな、概念殺しと言うべきか。存在という情報そのものを世界から削除する」
「んー? ちょっとまって。頭ん中整理する」
「どうぞ」
歩きながらオレは唸る。
前見てねぇで歩くのは本当は危ねぇんだけど、デュランの後ろくっついてればま、平気だろうし。
んー、しかし、概念殺しっつわれてもなぁ。
リムりんやヴィーたんみたいにオレは戦闘の訓練とか教育は受けてねぇから、完全に自分で読んだりした知識とか、ゲームの話から考えるしかないんだが。
概念殺し。
存在しているという事象自体を世界から削除する。
でも、それなら何でデュランには影響して、オレは平気なんだろう。
神の心臓抉り。
デュランは神だって事か?
顔を上げて前を歩くデュランを見る。
……。
「疫病神」
「呼んだか?」
「……イイエ」
キラキラした笑顔がマジで怖いです先生。いや先生って誰だ。
「まぁ、種を明かせばそれは俺が作っている。あくまでレプリカだ」
「ふむ?」
「つまり、殺傷対象を絞る事も出来る訳だ。お前に害が無いのはそのせいだ。一定条件以下の者には一切、物理的なもの以上の影響を及ぼさないように作ってある。
逆に今の俺のような存在には致命傷になる。例えば中央十騎士、双神子、阿修羅王、それから……」
「あー!!」
「いきなりど……」
げしいっ!
「おしっ!」
決まった。いぇい。
「な、に、が」
「にぎゃー! 高いー!!」
「良し、なんだ? 人を後ろから蹴飛ばすとは」
オレを頭上に吊り上げて、デュランが唇の端を歪める。
グラサンの奥の目が物凄い勢いで恐ろしいです。
「何が不満だ。俺がわざわざ説明してやったと言うのに」
「それ!」
「……何?」
「オレが考えてたのにあっさりばらしやがってーっ! どうぞとか言ったじゃんか嘘吐き。変態。犯罪者。痴漢」
「……」
オレの襟首掴んでプラーンとぶら下げたまま、デュランは「ふむ」と顎に手を添え、
「あぁ、そう言えばそうだったな」
「……てめぇ、コロス。むしろ泣かす」
「ふむ。意気込みとその度胸は買おう。だが……」
ぶらーんぶらーん。ぐるーん。正真正銘、宙返りー……って。
「ひぎゃー!!」
「もう少し自分の状況を正しく理解するところから始めるべきだったな、ナカバ」
魔王なんか嫌いだー!!
【作者後記】
ナカバを(文字通り)吊るし上げてるデュランは多分満面の笑みを浮かべていると思います。
今晩は、尋です。
お気に入り登録66件目ありがとうございます。
拍手で反応してくださってる方ありがとうございます。
取り敢えず読んでみたそこの貴方の優しさに感謝します……良かったらまた来てください(ぁ。
こそこそ仕込みをしつつまだまだ続きます。
作者拝