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団子兄弟とオレ

本筋、しかし殆ど説明に終始してます

「ここには三つの世界がある。魔界、物質界、天界……そしてそれらが離れないようにつなぐ楔が世界樹ユルグシラドルだ」


 店を出て表を歩きながらデュランが説明する。

 オレは食いきれなかったポンデを鞄にしまいながら「ふーん」と適当に相槌を打つ。

 いや、食い過ぎてちょっと胃が苦しい。

 調子に乗って全種類頼むんじゃなかった。まぁ、でもポンデ嫌いにならないあたりオレ相当好きだよな。


「ユルグシラドルって……中央大陸セントラにあるアレ?」

「そうだな」

「じゃあ、魔界にもあれがあるんだ」

「あるぞ」

「ふーん……つまり、串に刺さった団子みたいな関係なのか」

「そうだな、三つ並んで団子、と言うような関係だな」


 醤油は塗らないで欲しいな。


「でもさ、何でわざわざ繋いでるのさ?」

「離れれば崩れるからな」


 あっさり世界崩壊ですか。


「物質界も天界もユルグシラドルを起点に構築するはずだったものだからな。もっとも」


 歩きながらニヤリ、と笑うデュラン。


「今でも各界のバランスを崩せばどうなるか保障の限りではないが」

「そんな簡単に崩れる訳?」

「いいや」


 何だよ、意味ありげに言うから一瞬ドキっとしたじゃねぇか。


「まぁ、もっとも俺ぐらいの存在が此方側にでも来ればあっさり崩れるが」

「それは自慢か」

「まぁな」

「てか、何でアンタが移動すると崩れる訳さ」

「俺の魔力が少々問題でな」


 苦笑するデュラン。


「魔力の定義は世界に干渉し、世界を書き変える為の根源の力だ。俺の持つその量は少々重いのでな」

「重い? 多いんじゃなくて?」

「重い事がこの場合問題でな。ブラックホールは分かるか」

「分かるよ」


 超重力空間だっけか。

 自己重力によって極限まで収縮した存在。光すらそれに引っ張られて抜け出せなくなるらしい。

 つってもまぁ、理論上の仮説だけどね。

 ゲームとかでは設定がかっこ良いからって理由でポンポン打ちまくってるけど、実際に本物が作れる奴は殆ど歴史上にも存在しないんだそうな。有名どころだと大魔女バーバラがこれの使い手だったとか。


「で、そのブラックホールがどうしたわけ?」

「俺の魔力が重いと言うのは似たような状況でな。その場に存在するだけで周囲の存在が歪む。引っ張られると言うべきか……」

「……ごめん、さっぱり分かんない」

「まぁ、本体は向こう側にあるからこうしている限りそうそう目に見える影響は出ないがな」


 苦笑するデュランは、そうだな、と顎に手を添える。


「例えば、バスの騒ぎを覚えているか?」

「あー、アンタがちょーもてもてだったあれか」

「あれも俺の魔力が原因でな」

「はい?」

「この目」


 あれから本人が買い直した百均の安っぽい白縁のサングラスを少しだけずらし、デュランは笑う。


人形オートマタとは言え若干ながら俺の力の影響をこれも受けている。主に目の色がそうだ」

「変えれば? ドドメ色とか ウン…ウコン色とか」

「今何か言おうとしただろう」

「気のせい」


 気のせいったら気のせい。うっかり言い間違えそうになったけど。


「まぁ、正直変えたいがこれはどうしようもなくてな……」

「あんたでも?」

「多分これはタグなのだろうがな……まぁ、取り合えず目を介して微量の力が流出してしまっている。それが人間に影響するとああなる」

「……美形補正?」

「いや、それは何かが違うと思うんだが……大体これを隠せば影響が消える時点でおかしいだろう」

「消える、ねぇ……」


 あんなに酷い状態じゃないけど、今でも完璧にあんたストーキングされてたり、あっちこっちから熱視線浴びてますけど。全然影響消えてねぇじゃん。

 ……もしかして気付いてないんだろうか。


「回路……パスが繋がっているから多少の流出は仕方ないんだがな」

「でもさぁ、デュランがこっちにきたら終わりじゃね?」

「ストッパーは持ってきている」

「ストッパー?」

「緊急避難装置、と言うべきか」


 デュランはコートの内側から何か取り出し、オレの手に乗せる。

 ん? これは……、


「万能包丁」

「目を洗って出直してこい」

「いや、ごめん冗談。ってかマジでナニコレ。黒い……ナイフ?」

神の心臓抉り(リディル)だ」


 デュランが白以外の持ち物もってるなんて珍しい。

 しかし、これ切れるのか?

 自分の掌に試しにちょっと当ててみる。チクッともしねぇし。なーんだ、全然利かないじゃん。


「俺に向けるなよ」

「え? 何で? ほれほれ」

「オイ……」

「うりうり」

「……さすがに俺でも怒るぞ?」

「いや、アンタが逃げるから面白くっ……あ」


 チャリーン。


「ゴメン、落とした」

「……」

「にぎゃー! もちあげるな! 揺らすな! ぎゃーすっ!」

「……」

「ぎゃー!!」




 下ろされた後、こっぴどく叱られたのは言うまでも無い。


 

【作者後記】

タンゴと言えば黒猫ですが何か。どうも、尋です。


ご来訪、誠にありがとうございます。

そしてご感想ありがとうございます。

拍手どうもです。

そして……こんなんですみませんorz


その内用語の説明なり人物紹介なりすべきでしょうかね……。

ご意見等あれば拍手でぽちっと呟いていただけるとありがたいです。

(無記名で出来るので言いやすいかな程度ですが)


作者拝

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