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馬耳東風とオレ

 そもそも腹黒いとは何か。

 説明しよう。デュランだ、以上。

 ……や、ちょっと違うかな。アイツあれで意外と純情なところありそうだもんな。

 どっちかっていうと意外とあのワンコ執事の方が腹黒かったりするんじゃないだろうか?

 見た目爽やか系で腹グロで執事とか、テンプレ満載のベタな感じが逆に新鮮で受けるんじゃないかと思うんだけど。


「おい、現実逃避してんじゃねぇよ」


 チッ。


「今舌打ちしなかったか?」

「いえ、別に……」


 まぁ、ちょっと不本意な称号をもらったので軽く現実逃避してました。

 てか、オレが腹黒かったら世の中の人の半分以上が爪先まで真っ黒だと思うんですけどどうでしょう。

 や、純情というつもりもないですけどね。


「ただちょっと、純心な子供を捕まえて酷い汚名を着せるとか人間的に終わってるなとか、そんな人に支えられなきゃならない先行きのどす黒い鉛色の未来に思いをはせてただけです」

「……腹黒いってのは撤回してやるよ。お前ただ性格が悪いんだな」

「そうでしょうか」

「はっ、ま、どーでもいいけどさぁ」


 お前のことがオレはどうでも良いですけどね。

 オレはちょっとずつ距離を取りなが……って何か近寄って来たぁっ!


「何で逃げるんだよ」

「はぁ、美形って嫌いなんです。きらきらしてて」

「……何だそれ」


 いや、そういう疑問を浮かべながら近寄らないで下さいってば。

 しょうがないんで花壇の中に乗りこんで逃げようとして見せたら、やっとこさで向こうが止まった。

 意外と有効だな、花質。


「踏むな。踏んだら殺す」


 諸刃の剣だった。


 いや、でも踏みこまなくても殺すとか言わないし、予告してる辺りまだマシなのかもしれないって何だこの水準低すぎる話。

 てか日常のいたる所にデッドオアアライブが無造作に転がりすぎだって話でして。

 何だろう……こんなモブに生死をかけたイベントとか大盤振る舞いしなくてもいいと思うんだ。

 そう言うのはデュランに回して下さい。


「ま、でもあのうっとうしいクソじじいを追っ払ったのは評価してやるけどよ」

「本気で仲悪いな貴様ら……」

「べっつにー」


 「天使もどきの見た目」プラス「チンピラ臭のする仕草」でボー何とかが言う。

 まぁ、どっかの女神もどきの見た目に無駄色気満載の仕草の人よりマシだと思って我慢しよう。


「ただ、あっちが一方的に俺のこと嫌いなんだよ。あのクソ爺の唯一のお株を俺が奪ったからなひがんでんだろ。ったく、うざいジジイ早く死ねっての」

「はぁ……」

「聞いてる?」


 聞いてますけどさっぱり分かりません。

 そう言う顔をすると、ボーなんとかは呆れたのか青い垂れ目をぱちぱちさせた。

 それは自分の目が大きいという自慢ですか、絞めて良いですか?

 や、無理だけど。


「いや、言ったと思いますけど偉い人に興味無いんで言われてもさっぱりピンと来ませんから」

「はぁ? あんた馬鹿じゃないの?」

「馬鹿ですけど何か」

「……一般人はこれだから嫌なんだ。開き直れば済むと思っているし」


 いや、オレを一般人の基準に当てはめるのはどうかと……民間人としてもイレギュラーですし。

 まぁそこはフォローしても無駄だろうからオレはつつましく沈黙を守る。

 オレって控え目な性格だからな。


「あの爺、言って無かったか? 最年少がどうだとか」

「最年少……」


 どうだっけか……うーん……。


「いや、聞きながしてたんでさっぱり記憶にないです」


 正直にそう答えたら、ボーなんとかは垂れ目を大きく見開いて、次の瞬間笑いだした。


「お前、さっきの全部聞きながしてたのか! あっはは! 傑作だな! えぇ、おい。第四位も舐められたもんじゃねぇか、ざまあみやがれ!」


 うん、発言がとっても残念ですね。

 で、


「あのクソ爺の言葉、聞き流してたのか」

「はぁ、さっきそう言った気がしますけど……」

「ふーん、お前クソ度胸あるじゃねぇか」

「や、別にそう言う訳じゃあ……」

「じゃあどう言う訳だよ」


 何か絡んでこられたんですけどー。うっとうしいんですけどー。

 てかまた距離詰めてきてるし!


「待て」

「待てって、言われて止まると思う?」


 うわ……あの手の顔に見覚えがある。いじめっ子の顔だ。

 人が嫌がるところを見て、きらきら輝くタイプの人種、こうですね、分かりません。

 オレはわざわざ喜ばせる義理もないので、表情を消して傍の花壇をビシッと指す。



「それ以上近寄ったらそこの花壇に全身ダイブした上に、芝生ごろごろを再現してやる」

「……」


 よし、やっと止まった。


「で?」

「へ?」

「どう言う訳だよ。聞きながしてた理由」


 こだわるなぁ……。

 どうでも良いじゃんと思いつつ、オレは取り合えず正直に話す。


「あの人、オレが聞く事なんて最初から期待しちゃなかったでしょうから。無駄な労力を省いただけです」

「……。へぇ」


 何かニヤァって感じの嫌な笑い方された。


「どうしてそう思わけ?」

「や、みてれば分かりますから」


 あのすがすがしいまでの権力志向というか、特権階級っぷり。分からない方がどうかしてねぇ?

 デュランに対する態度も思いっきりそれだ。

 「彼も特別な選ばれた存在だ」とか、「特別だと知ってたらもっと対応違ったのに」「今まで惜しいことをしていた」的な発言とか。

 はいはい、つまり自分()特別な選ばれただと思ってるんですね。

 はいはい、つまり今まで特別じゃないと思ってたデュランはスルーしてたんですね。

 特別と分かったら態度がガラッと変わるんですね。

 ま、中央十騎士なんていう特殊な立場を目指して成功した人だし、そういう権力志向が無いはずがないんだけどさ。

 そういう人間が一般人の取るに足らない小僧のオレに期待することなんて何かあるか?

 せいぜいカベに話すよりちとマシかな、程度の期待しかしてないだろう。

 そんな相手の話を真摯に聞いてやれるほどオレ人間出来てねぇし。

 つまり壁に徹してました、まる。

 終わり。


 というようなことを穏便に、かいつまんで話すと何故かまた大笑いされました。

 えー?


「お前、結構イイ性格してるな」


 誉められた気がしません。

 いや、まぁ別にあの人カチンとはくるけどダンディなのは認めてますよ。

 基本的には年上は年上ってだけで敬意を払う理由になるし。ただ年上だって以外の部分に敬意を払う要素が皆無な相手が居るだけで。


 そんなことをうだうだ考えてたら、「おいガキ」とボーイソプラノの柄の悪い声がかかった。


「良いぜ、案内してやるから感謝しな」


 いや、あんたらそれが仕事のはずだからね?


 

【作者後記】

何であとがきを書くんでしょう。

多分そこに書き込み欄があるからですね。山に登るのといっしょです。


などと絶対間違っていることをふと考えてましたが、今晩は尋でございます。

いつもお世話になっております或いは初めまして。

暑いですねぇ。

本当に暑いですねぇ。

いやまったくもって暑いですねぇ。

他に言う事が思いつかないぐらいに暑いですねぇ……。

何がしたいんだか段々分からなくなってきますね……いや、もう筋道は随分前に決まっているので大丈夫です。多分。

さて、回り道が長くなるのもあまり宜しくないでしょうから次の次辺りで少し動きをつけます。

宜しければまたお越しくださいませ。


作者拝




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