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衝撃事実とオレ

実は前話とこの話と書きなおしてます。UP前にですが。

おかげで連日更新の記録が途切れました。

ストックが切れたのでまた暫く更新速度が落ちます。

 引き続きデュランの部屋からお送りしております。

 どうも、現場のナカバです。

 ただいまオレの目の前には反省中ということで正坐させられてるデュランが居ます。

 あ、してるんじゃねぇよ? オレがさせてんの。

 まぁさっきまで死にかけてた奴に正坐させるってどうよ? っつー意見もあるだろうけど、別に土下座させてる訳じゃないし、座ってる場所だってベッドの上のままだしさ。

 ま、セーフかな。

 オレだってそこまで酷い人間じゃねぇもんよ。

 でも反省を態度で示すってのは大事だと思うんだ。うん。


 ……ま、デュランの顔はさっぱり反省しているようには見えませんが。


 てかさぁ、さっきから何でお前そんなに和みまくってるんですか。

 反省しろよ。

 それと、孫を見守るじいちゃんというか、雛を見守る母鳥っていうか、何と言うか鳥肌ものの視線でじーっとオレを観察するのは止めてもらえませんかね。飯が不味くなるから。

 オレは胡坐をかいたまま、軽くイラッとしながらうさリンゴをシャクッとかじる。

 

 あ、ちなみにうさリンゴは現在三個目です。

 最初、食べる時に頭から食うか、ケツから食うかで迷ったんで、取り合えず、頭、ケツ、頭って一匹ずつ交互に食べる事で決着しました。今頭の番ね。

 タイヤキなら確実に頭から食うんだけどなぁ……オレ、一番好きなの最後に取っとく派なんだよね。

 タイヤキの尻尾旨くね?

 ……あんまりセントラじゃポピュラーじゃないか、タイヤキ。

 間違ってもタイヤだと思わないように。

 かの名曲「泳げたタイヤくん」でもない。もぐもぐ。


「ナカバ」

「何さ」

「旨いか」

「いや旨いけど……」

「そうか」


 オレが食べ終わったタイミングを見計らって、丁度良い時にデュランが次のをオレの掌に追加した。

 何と言うナイスタイミング。

 実にさりげなく、実にスムーズで、邪魔にもならず、とってもベストな感じだった。

 お前もう、自分で執事になっちゃえよ。 


「えーと……あのさー、デュラン」

「どうした」

「食事中にじーっと見られると食べにくいんですけど。てかお前さっきから何やってんの?」

「お前の動作状態の再確認と、餌付けだ」

「ていっ」


 餌付けとかふざけたことをぬかしやがったので、正面から胸をけっとばしてやりました。

 そのまま抵抗せずにすたーん、と仰向けに倒れるデュラン。

 正座のまま上体倒しとはなかなか高度な技を……。

 しかもしっかりうさリンゴはキープしてやがるし。無駄に器用な奴め。

 こいつならブリッジしたまま階段を高速で降りるとかも出来そうだ。

 いや、物凄く見たくないけどさ……。


 とりあえず折角蹴り倒せたので、オレはついでによいしょっとデュランの腰の上に座ってみる。


「……ナカバ」

「何さ」

「退いてくれないと起きあがれないのだが」

「ふーん」


 いや、その為に乗っかってますからね。

 ちょっと困った風のデュランの顔を見下ろしてオレがニヤッとすると、デュランは諦めたのか溜息を吐いてそれ以上どかそうとかはしなかった。

 ふふん。オレの勝ちー。


「あまり俺の体に接触するな。検査したとは言え、見落とした因子が無いとは限らないのだぞ」

「何だ、まだ具合悪いのか?」

「今の所はその兆候は見られないが……好き好んで危ない真似をする事は無いだろう」


 まぁな。

 剣士危うきに近寄らにゅと言う奴だ。


「噛んだな」

「うっさい! モノローグにまでつっこむな!」

「口が動いていたぞ。それと剣士ではない」

「え、違うの?」

「違うな」


 ……ってそれで終わりかい。ちゃんと正解言えよ、気になるじゃないか。


 ま、しかし。


 オレはデュランの顔をじーっと見下ろす……や、さっきの見られたことの仕返しじゃねぇよ?

 たださ、ちゃんと元気になったぽいなーと。

 さっきまで死にかけてたわりに、今のデュランは普通すぎてちょっと拍子抜けと言うか。

 元気ないよりは良いんだけどさ。

 調子狂うもん。


「ほんとにもう大丈夫なのか?」


 訊ねたオレに、デュランがほんのり苦笑する。


「信じろ、とは言わんが……もう無いようにする」

「当たり前だろ」


 自己管理しっかりしろよ。

 思わず半眼になったオレを見上げてデュランがやっぱり苦笑する。


「本来そうそうある話ではないのだがな。すまなかった」

「しっかりしてください」

「あぁ……お前を二度と同じ目には合わせない」


 いや、まず自分が二度と同じ目に合わないようにしろよ。分かってるか?

 じとーっと睨んでいると、デュランがまた少しだけ笑った。

 いや笑ってる場合じゃねぇからな?

 反省しろってオレは言ってるんですからね?


「やはり、怒れないのだな」

「はぁ? 充分ムカッとしてますけど。お前さぁ、もう結構実年齢はジジイレベルの癖に自己管理なってねぇってどういうこと?」

「……それを言われるとなかなか耳が痛いのだが。しかし、偶に休憩はしているぞ」

「いやそういうレベルの話じゃねぇし」


 休憩しないで働いたらそりゃあ心臓の二つや三つ止まりますけどさ。


「……ナカバ」

「何さ」

「すまない」

「いやだから、もうそれ聞き飽きたんですけれど」

「……」


 何でそんな微妙な目でオレを見るんですか。

 デュランは暫く何かオレを観察しながら考えているようだったが、ややあって少し迷った様子で口を開いた。


「ナカバ」

「はいよ」

「知らない方が良い事もあるのだが、お前には怒る権利がある。お前達が何であろうとも」

「……え? 今オレ現在進行形で馬鹿にされてる?」

「あぁ、いや……今のは無しにしよう」


 今のはナシー、セーフ。ってお前は五歳児ですか。

 オレがなまぬるーい目で見てる間もデュランは何か考えてるっぽかったが、しばらくしてぱたりと目を閉じた。

 あれ、寝たのか?


「さっきの説明で良いのか」

「あ、起きてたのか。で、えーとさっきの説明って情報がどうの、って奴? うーん、まぁまだちょっと納得してねぇけどな。良いよ別に。お前も話し難い内容なんだろ?」

「……お前を見ているとつくづく自分のずるさを思い知らされる」


 溜息を吐くデュラン。

 それってオレのせいなのか?


「先程の検査スキャンの時に」


 デュランがうっすらと目を開けて呟く。


「俺はお前の支配権を奪っている。まぁ、一時的にだがな」

「?」

「普段のお前ならばあの状態で、動くな、喋るな、目を見ろと言われても抵抗しただろう」

「……そう言えば、そうかも」


 あの時は特に何の疑問も覚えなかったけど……そう言えば何でオレ、大人しくしてたんだ?

 こいつに攻撃する絶好のチャンスだったのに。


「そうして支配された事にすら気付けない、まるで己が望んだかのように従わせる……最低の術を、お前にかけた」


 そう呟くデュランの顔は、微笑の底に隠しきれない嫌悪の色が滲んでいて……そのせいで、何と無くオレは怒りそびれてしまった。

 いや、うん、そんなことされるのは当然嫌なんだけど、目の前で自分より怒ってる奴を見ると冷めちゃう見たいな感じでさ。

 代わりに浮かんだのは疑問。


「何で?」

「……説明して、お前に同意を取る余裕が無かった」


 迷った間にお前に壊れてしまったらと、そればかりが恐ろしくて。

 囁くようにそんな事を言われ、オレは戸惑う。


「それって」


 それって、つまり、




「……もしかして死にかけてたのってオレかあぁっ?!」





 オレの叫びに合わせて勢いよくドアが開いた。

 

【作者後記】

死にかけてたのは実はナカバの方でした。

一人称の愉しいところですね。

視点や解釈が一人のフィルターを通しているので、必ずしもその内容は正確では無いのです。


ところでこんな魔王様は好きですか?うざってー、と思われそうな気がするのですが。反応がこわい。


さて、今晩は。尋でございます。

通って下さっている皆様ありがとうございます。

初めておいでの方は初めまして。生きの良い変な一般人と、変な魔王と、その他が居るこんな場所へようこそ。

暫く更新がまた緩やかになるかと思いますが、もしお気に召したならばまたのご来訪お待ちしております。


また、いつかお会いできることを願って。


作者拝


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