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閃光火花とオレ

 コンパートメントのドアの外で爆発が起きた。

 音がものすごいうっさいけど、オレ自身思ったより冷静だったのは多分魔界あっちでさらに凄いストーカー放火魔見てきたおかげだろう。

 や、そんな事で度胸ついてもちっともさっぱりうれしかねぇけどさ。

 ごわーん、と部屋が揺れてちょっと食べにくい。


「デュラン、うっさい」

「俺に言うな。今は音響遮断をかけるだけの余裕はこの体には無い。遠隔射撃か……考えたな」

「考えた? 何が? 遠くからだと何か良い事あんの?」

「俺の姿を見ると暗示が解けるからだ」

「あー、アンタの姿って悪夢に出そうだもんね」


 見たら一生忘れられなくなりそう。

 目をうがい薬でごしごし洗いたくなりそう。てかなったし。

 今のデュランは色気が本体より減ってて、デュランの二割引きみたいな状態だけどそれでも相当酷いもんよ。

 トラウマもんの美貌ですよ。


「って、ん? 暗示ってどういう事?」

「洗脳と言い変えればいいか?」

「や、どっちもびみょー」

「まったくだ」


 カシャンとデジャンジャーに銃弾を装填してデュランがクスと笑う。

 前から思ってたけどこいつ、こう言う場面で妙に楽しそうに笑うよなぁ。いや、普段から楽しそうに頭足りん感じのへらへらした笑い方してるんだけどさ。

 何かこう……うーん、上手く言えない。

 普段がフフ、みたいな含み笑いなんだけどこう言う時はニヤリってな悪い感じのスマイルになる。

 オラわくわくしてっぞ! みたいな悪ガキの笑み。

 デュランってこんな顔して、落ちついたような雰囲気出しておきながら実際かなり好戦的だよな。

 魔族だからなんだろうか。


「しかし、出てこないなら引き摺りだすまでだ」


 おお、魔王モードに。


「コーヒー好きの五歳児くせに。婦女誘拐犯のくせに。欠食児童の癖に。身分詐称の年齢詐欺の癖に」

「……ナカバ、小声で背中に向かって悪口を言うのは止めろ。集中が乱れる」


 言いながらデュランは扉を開けて無造作に通路に出て、そこに転がってる何かを拾い上げる。

 おーい、三秒ルールはそれには適用されんぞ多分。


「ふむ……安い手だ。悪くは無いが」

「何それ。安いの?」

「値段も手段もな。これは轢弾……魔力を充填して目標に向かって射出する。既に中身が出切って今は空だ」


 ほら、と投げられた物をキャッチ……出来なかった。


「……」

「うっさい黙れ」

「何も言って無いだろう」

「目が語る。目が煩い。黙ってろ」

「はいはい」

「ハイは三回」

「はいはいはい」


 良し。

 オレは満足して落っこちたレキダンとやらを拾い上げる。うわー、重い。良くこんなのポンポン撃てるな。

 考えてたらパシュという気の抜けたサイダーみたいな音の後に、デュランの居る通路を暴風が駆け抜け、遅れてドォンと二回目の揺れが来た。


「今度は何?」

「飛んできた奴を撃ち落とした」


 乱れて目にかかった髪を手で払いつつ、デュランが何か非常識な事を言った。

 今の奴の後ろに立っちゃいけない気がする。


「向こうの射撃の正確性が上がったな」

「へー」

「分かって言ってるか?」

「や、全然」

「正確性を上げた先に何があると思う」

「すあおきすあ?」

「暗号遊びをしろと何時言った……良いか、奴らの狙いはここだ。多分あと二発も撃てばここに命中させられるようになるな」

「ピンチじゃん」

「そう言う事だ」


 そう言う事だ、って……お前落ちついてる場合かよ。


「問題無い」


 ガシャン、とデデンジャーを構えるデュラン。

 パシュッとさっきの音。

 デュランの体が宙を舞うようにしてコンパートメントの中に戻り、ピシャリとドアを閉じる。

 次の瞬間、ドアにつけられたガラス窓の向こうを轟音を伴った真っ白な閃光が埋め尽くした。

 うわー、まぶしー。


「……何今の。目ぇチカチカすんだけど」

「まともに見たのか? 仕方のない奴だな……」

「そう言うのは先に言え」


 うがー、目がー、目がー。

 某大佐の気分をリアルで味わってたら、デュランが目の上から手を当ててきた。

 お、つめてー。


「で、今の何さ……」

「無力化した」

「はい?」

「あの手の魔力の注入が必要な物は作業途中でその器となる物を完全に破壊すると、方向を失った術者の魔力が暴走して一気に流れ出す」


 オレの瞼の上に手を乗せたままだったけど、デュランが小さく笑ったのが何と無く分かった。


「結果として大半の魔力を外に放出した術者は無力化される」

「へー、何か複雑っぽい」

「少しでも術者と器の間に回路が繋がっているのならばこの程度簡単な事だ」

「そりゃ普通簡単で済む話かぁ?」


 一瞬自分のセリフかと思ったが、オレここまで柄悪くないと少し遅れて気がつく。

 オレはもうちょっとお上品だ。

 デュランの手が瞼の上から離れたんで、オレは声のした方向を振り返る。


「ちーっす」


 何か、湧いて出てきてた。

 

【作者後記】

戦闘書くのは好きですが、好きなのと上手なのとは全く話が別です。

どうも、下手の横好きの集合体の尋です。


ご来訪ありがとうございます。

拍手ありがとうございます。

うっかり来ちゃった方、次のうっかり期待しています(待て)。


あとまだ出さにゃならん奴らが三人いて、気分でまた増やす事もしそうな気がするのですが取り敢えず一人追加です。

まだ続きます。


作者拝

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