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行動予定とオレ

 やっとこさで朝飯が届けられた。

 スコーン、トースト、クロワッサン、ポリッジ、目玉焼き、ふわっふわのオムレツ、ベーコンエッグ、スクランブルエッグ、ポーチドエッグ、豚腎臓のマスタード炒め、茹でたソーセージ、厚切りベーコン、燻製のたら牡蠣かき、トマト、マッシュルーム、チーズ三種類、乾燥プラムの蜜煮、ラズベリー、桃、グレープフルーツ、メロン、他マーマレード等のジャム。

 おー、選びたい放題だ。

 取り合えずオレはカリッカリのサックサク、ふんわり小麦の香りの薄切りトーストを取って、バターをたっぷり塗って、上にポーチドエッグをちょこんと落した。

 うまうま。

 お醤油欲しいな……ま、無いだろうけど。


「それで、どこ行く?」


 行儀悪いとは分かってるけど、ついでに食卓に地図を広げて作戦会議中である。

 つっても中央セントラルの内部情報についちゃものすっごい規制が敷かれてて、今見てる観光マップだって殆どの部分が白紙状態なんだけどさ。

 白い部分の真ん中に「研究学区」だとか「観測所」とか書いてあるだけ。

 ま、興味無いからどうでも良いですけど。


「DDD、ここにもあるのよね……」


 地図上の空白地域の中でも結構広い部類に入る地点を指さしてリムりんが呟く。


「あー、だね。何? 興味あるの?」

「うーん、ちょっとだけ」

「推薦枠ですからね……私達は」


 ヴィーたんがオレの皿にベーコンを乗せてくれながら言う。


「そっか。ある意味ライバルだもんね」

「本当は一企業と国家が並立するのは変なんだけどね……」


 オムレツをスプーンで切って上品に食べながら、リムりんが悩ましげな溜息を吐く。

 うーん、そういうもんなんだろうか。

 まぁ、自分の国内に一大武装勢力が居るってのは気分良くないのかもしれんけど、実際DDDを使って国家間で抗争もどきをしてるのも事実なんだし……うーん、良く分からん。

 リムりんもヴィーたんも、将来的には国家登録の武装官になるんだろうから意識するのはまぁ分かるんだけど。

 ……。

 オレみたいな奴が気軽に「大変だね」とか言って良い話じゃないんだけど。

 でも、やっぱり楽じゃあ無いよな、うん。


「ヴィーたんは何か行きたいとこある?」

「そうですね……」


 ん?


「買い物したい?」


 ヴィーたんの視線の先にあるのはDDD傍のいわゆる商業区画だった。

 まぁ、殆ど外界から隔絶……とまでは言わんけど結構な入場制限が敷かれてるセントラルの中で、一番開放的な区画がここだ。

 ま、DDDのおひざ元ってな場所なんで、武器とか防具とかそういう軍事目的の店だとか病院だとかそういう治療系だとか、冷静に考えてみるとなかなかぶっそうなカテゴリーにカテゴライズされる店が多いんだけどさ。

 ちなみに、それらに混ざって何故だか知らんけど高級ブティックだとか、五つ星レストランだとかまで出店してるらしい。

 DDDの給料ってそんなに良いんだろうか?

 てか、普通にボーリングとかするんだろうか。

 オレは大手複合エンターテイメント店の名前が入ってるのを見つけてそう思う。


「新しい武器を」


 さすが刃物好き。


「じゃ、オレも一緒に行く」


 告げたオレにヴィーたんはちょっと驚いた顔をして、「では一緒に行きましょう」と微笑んだ。


「リムりんはどうする?」

「……そうね」


 首を傾げて、リムりんは意味ありげな視線をオレの隣に向ける。

 その方向には某コーヒー中毒者しかおりませんが。

 例によって奴は飲み物でコーヒーを選んで、アーモンドビスケットをつまみにぼーっと外を眺めながらコーヒーを飲んでいる。

 てか、昨日と言い今と言い、普通に食事してんなら向こうでセシェン君の料理も食べてあげなよ。

 言っちゃなんだけど、この料理よりセシェン君お手製の朝食の方が美味しかったんだよ?


「デュランさん」

「ん?」

「少し向こうに着いたら付き合ってもらえますか?」


 にっこりと天使のような微笑みを浮かべるリムりん。

 おおっ! これは噂に聞く告白というやつか!

 うわー、しかも目の前、リムりんだし。すげー。

 ……ま、成立しそうなら全力で阻止しますが。


「ん? そうだな、別段今日は急ぐ用事も無いし構わんぞ」


 こら何冷静に対応してるんだデュラン。喜べよ。

 美少女に告白されたんだから、普通光栄ですって言う場面だろ。これ。

 でも言ったら全力で阻止しますが。

 お前にリムりんは渡さん。


「まぁ」


 カップを置いて、デュランはふっと口元を緩める。


「先にやるべき事を片付けてから、そのお誘いは受けるとしよう」

「先にやるべき事って……デザート?」

「ふふ、それも良いがな」


 違うらしい。

 何だろ?

 そう思った所でドォンと列車が横に揺れた。うおっとぉ!

 ササッとバランスを取るヴィーたんとリムりん。さすがプロ。

 ま、インドアごろごろ派のオレにゃそんな芸当は無理な訳で、あやうく座席から水平方向に飛びそうになったが、デュランが無造作にオレの襟を掴んで引っ張り戻す。ぐえぇ。

 あ、オレのウィンナーが床に紐なしバンジーをっっ! 楽しみにとっといたのに!


「来たぞ」


 何が?


「敵ね」


 はいっ?


  

【作者後記】

英国風朝食のつもりです。

話を書くにあたって、ちまちま調べ事をするのが好きです。

ただし調べた事の大半が生かされません……うん、分かってる。力不足。


今晩は、現在ターシャ・テューダーについて調べている尋です。

ご来訪ありがとうございます。

いつもご愛顧ありがとうございます。

拍手どうもです。

リクエストありがとうございました。

募集期間も終わったので、一両日中には拍手内容を変更しようと思っております。

意外と三日経つのも早いものですなぁ。




……とか言いつつ現在がまだ月曜日なのは秘密です。


まだ続きますので、宜しければお付き合いくださいませ。


作者拝


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