浅葱二号とオレ
リクエストありがとうございます。
今回は切れ目上少し短めで。
ゴールデンウィーク三日目。
八時丁度のアサギ二号でオレは旅立ちます。って事で。
「デュランおはよー」
「おはようございます、デュランさん」
「おはようございます」
「おはよう……。で、ナカバ」
「何」
「増えてないか?」
「増えてるけど」
それが何か。
何か文句あんのかよ。
やる気か?
そんな思いを込めて見上げると、デュランは「ふぅ」と悩ましげな溜息を吐いて、
「やはり昨日コーヒーがかかったから分裂したのだな。まぁ、取り合えず深夜過ぎに食事を与えない項目だけは守るとしよう」
「や、オレあんなにちっさくねぇし」
誰がクリムゾンですか。
「それは色だ」
「あれ?」
って今、思考が筒抜けだった気がするんだが。まさかまた読まれてるんだろうか。
「ま、ある程度想像がつくのでな……本当に間違えたのか」
「うっさい」
「デュランさん、急に押しかける形となった事、お詫びします」
旅行鞄を持ったヴィーたんが頭を下げる。その隣で同じようにリムりんも。
うん、何か昨日報告がてら電話したら、何故か朝には一緒に来ることになったんだよね、二人とも。
南行きの予定はキャンセルしたらしい。
「増えるならもう少し早く言って貰いたいものだな」
「や、オレも今朝になって初めて知ったしなぁ……」
オレの言葉にデュランは溜息を吐くデュラン。
それにリムりんが申し訳なさそうに身を縮める。
「席は自分達で用意するし、デュランさんに迷惑は……」
「近くでなければ意味が無いだろう?」
仕方ない。
リムりん達を見返ることもしないで、デュランは携帯(やっぱり白だった)を取り出してコードを指に繋ぐ。
「……あぁ、俺だ。すまんな、寝ていたか」
誰かといきなり通話中状態ですか。
ま、アンタがマイペースなのは知ってるから良いけどさ。
「具合はどうだ?……そうか。しかしあまり無理をするなよ。……あぁ、そうだ。しかし少し変更が入った。……いや、違う。そう心配するな」
「ねぇ、ナカちゃん。誰と話してるのかな?」
「さぁ?」
デュランの行動は疑問を抱くだけムダだし。
あいつの知り合いなんて想像つくはずが無い。魔王の知り合いなんてシューベル○ぐらいしか思いつかん。
パパ、魔王が来るよ。
どうでも良いけど、デュラン随分親しげな感じで喋ってるけど……セシェン君相手の会話、つまり魔王ばーじょんな口調とか雰囲気じゃない。これは、長さん相手の感じだ。
誰だろう?
「……そうだ。すまんな……あぁ、ゆっくり休め」
蕩けるような極上の笑みを浮かべて通話を切り、デュランは「さてと」と此方に顔を向ける。
「行くぞ」
「は?」
「まったく……」
「あ、おいデュラン、コーヒー馬鹿、変態、痴漢、待てってば」
あ、Uターンして戻ってきた。
「誰が痴漢だって?」
「……え? いやノリ?」
「……。さて、行くぞ」
「ぎゃー」
襟首掴まれてズルズルズルーっと引きずられる。
相変わらずオレの意志は無視ですか。
そうですか。
扱いこんなですか。
あ、でもこれ楽ちんだ。しかも結構楽しい。しかも自分で歩くより速そうだ。
よしよし、苦しゅうない。存分にひっぱって連れてゆくが良い。
「ナカちゃん!」
「やっほー」
あれ、何かリムりんに手振ったら変な顔をされてしまった。
交替したかったんだろうか。
いや、オレは良いけどリムりんにこれは拙いだろ。
うん。
「出発まで時間が無い。来るなら早く来る事だ」
「だってさー。こいつ幼子だろうが老人だろうが、自分の邪魔になるなら本気で置き去りにする奴だから急いだ方が良いと思うよ」
「……何の根拠があってその表現になるのかな?」
「ぎゃあああっ! スピードアップすなっ!」
リムりんとヴィーたんはオレとデュランのやりとりを見て無言で顔を見合わせ、それから荷物を抱えて走り出した。
うん、ごめんね引率者がこんな奴で。
【作者後記】
狩人の名曲(デビュー曲)をこれを読んでる人の内どれだけが知っているのか不安です。
どうも、古い時代を生きる尋です。
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明日いっぱいまでお待ちしておりますので、メール、拍手、ご感想、活動報告への一言などどこからでも結構ですのでもしあれば仰って下さい。
なお、拍手でも三人娘(娘ですよ、一応)がリクエスト企画の宣伝をやってますので、良かったら見てみてください。
作者拝