敵性対象とオレ
PV25、000突破しました。ありがとうございます
お礼といっちゃあなんですが、読みたい知りたいリクエストを水曜まで募集してます。
宜しければどうぞ。
オレの皿もからっぽになって、お代わりしたスープもすっからかんになったところでデュランが冷蔵庫から何か出してきた。
聞いてみたら戸棚になったほうじ茶を拝借して、ブラ……、
「ブラジャーだっけ?」
「ブラマンジェ」
「そうそう、それ。で、これプリンと何が違うんだ?」
「……まぁ、材料がまず違うな」
へー。ま、良いや。せっかくなんで貰っとく事にした。
「そう言えばさぁ、デュランは何で中央入れんだっけ? あそこって許可制だろ基本」
例外はDDD本社の勤務員か、最高裁判所の職員、中央十騎士、研究機関の職員、他一部の特級階権……特権階級の奴らだけ。あとは観光客が審査を受けて年間二百人だけ受け入れられる。
オレなんかはそもそも対象外だから保護監督者抜きじゃ絶対に入れない。
デュランも普通なら入れないはずなんだけどな……戸籍無いだろうし、じゃあ「魔王です」とか言ったら絶対に入れないだろうし。そもそもアサギの予約出来るはずがねぇし。
「一番手っ取り早い方法をとったのでな。基本あそこには好きに出入りできる」
「手っ取り早い……」
デュランがニヤッと悪役スマイルを浮かべる。
あー、はいはい。偽造か。成程ね。
「さっすが人類の敵」
「誉めるな」
誉めてねぇよ。
「まぁ、俺のレベルになると人類の敵程度の枠では収まらんがな」
「ふむ? じゃあ何さ」
「世界の敵だ」
何そのマイスタージンガーを口笛で吹いてる人に殺されそうな設定。
ん? でも偽造って事は犯罪だよな。バレたらオレまでやばいんじゃねぇの?
……ま、いっか。その時はデュランを差し出してオレは許して貰う事にしよう。オレは一般人だし? デュランならとっつかまっても某怪盗の孫みたいにあっさり脱獄できるだろうし。
じゃあなー、とっつぁーんってなもんですよ。
「世界の敵ねぇ……あんたって魔王の仕事さぼりまくってんな事してんのかよ」
「いや、してない」
「ヲイ」
話が違うじゃねぇかよ。どう言う事だ説明して見やがれこの野郎。
食卓越しに奴の胸倉をひっつかみ、ついでに殆ど手つかずのデザートの皿を反対の手で取る。
そのオレにデュランはクスッと笑って、
「甘いな」
「このムースが?」
「ブラマンジェ……欲しいならやるぞ」
「あ、どうも」
やりぃ。
「で?」
「ん?」
「甘いとかどうとか」
「ん? 砂糖は足してるが甘くないか?」
「お茶の良い香りするし、さっぱり甘さで旨いよ」
「そうか、良かった」
……うわー、間近で見ちゃった。アンタの笑顔程甘ったるいもんは無いですよ。
口ん中にかき氷シロップと蜂蜜と水飴と砂糖とありったけ詰め込んだみたいな甘ったるさですよ。
ぺっぺっ。
「顔が悪いな」
「うっさい」
「失礼、顔が面白いな」
「だ、ま、れ」
笑顔でギリギリギリー、と奴の両耳を掴んで引っ張っておいた。
「ボケにボケで返してんじゃねぇ……きりきり白状しやがれ。ページ数が限られてんだよ」
「そう怒るな」
「むぐっ」
スプーンで口にブラマンドをつっこまれてオレは強制的に黙らされる。
「まぁ、俺の場合は何をしなくても敵たりえるのでな。何もする必要が無い」
「ふーん」
口に咥えさせられたスプーンをぴこぴこ上下させつつオレは何と無く相槌を打つ。
「まぁ、何をしなくても俺の在り様は変わらんからな。やりたくない事はしないと決めている」
「お前どんだけわがままなんですか」
「おや、知らなかったのか?」
「……知ってるけどさ」
「別段お前の希望もある程度は考慮してやっても良いぞ。感謝しろよ」
偉そうだな、オイ。
んーでもまぁ、希望聞いてくれるっつーんなら取り合えずめいっぱい注文だしとくか。
「じゃあさ、オレ行きたい場所あるんだけどさ……」
切り出したオレに、デュランは至極楽しそうに、愉快そうに、そしてむかつくほどに綺麗に笑った。
【作者後記】
デザートまで作っちゃうデュランですが、あくまで執事……ではなく魔王で世界の敵です。
今晩は、尋です。
ご来訪ありがとうございます。皆様に心からの感謝を。
拍手と活動報告では既に告知済みだったのですが、現在25,000突破(予定)記念として皆様よりリクエストをお待ちしております。
「こんな話が読みたい」「誰々が主役な話が良い」「この設定もっと詳しく」等、何でも結構です、
リクエスト方法は拍手でも感想でもメール活動報告へでも何でも結構です。
無論、匿名でも問題ありません。
お名前を出される場合は、作成の際「○○様よりリクエスト」と書いて拙い場合は一言添えて下さい。
なお、まずないとは思いますが……リクエスト数が多い場合は投票等で絞る場合もありますのでご了承ください。
では、どうぞ良い夜を。
作者拝