二人一組とオレ
引き続きご飯タイム。
食事中は会話禁止、なんて家もあるらしいがウチはそう言う方針では無かった。
お残し厳禁、背中を背もたれに着けない、肘を食卓に着けない、音を立てて食べない、箸はちゃんと持つ。
大方こんな感じで、普通に食事マナーを守ってれば問題ない。
ま、やったら即座に怒鳴られるし、箸の持ち方が悪いだので叩かれたりもしたし、椅子から蹴落とされもしたけど、せいぜいそんな程度で喋る分には構わない家だった。ま、その辺わりとゆるーい家だったんだわな。
なんで、食事中でもデュランとは何となくおしゃべりをする感じになった。
「今日は少々意外だったな」
「いや、むしろそれオレの台詞だし」
意外で済む話じゃねぇけどな。
「で、何が意外だって?」
「いや……お前でも何か熱心になる事があるのだな、と」
そりゃオレだってありますよ。てかオレを何だと思ってんだろコイツ。
「だって中央だぜ? 四陸一群の文字通り中心だぜ?」
「四陸一群……あぁ、成程。そのように覚えるのか」
「おう。えーっと、北大陸、東大陸、南諸島群、西大陸。あと中央大陸。あってる?」
「あっているな」
「北大陸のレト山脈以北以外は全部セントラの永久時計のエネルギーで動いてるってんだから凄い話だよな」
つってもレト山脈以北ってのは基本的に人が住んでいないって事になってるし、北限結界でエネルギーを送ろうとしても無理なんだけどさ。
「永久時計……」
「あ、そっか。デュランは知らんわな。……オレも良く知らねぇんだけどさ。えーっと、エネルギー発生機関で、あ、そうだ! すっげー美人の神子さんが管理してる」
「お前……美人は嫌いじゃなかったのか?」
「美形の男は死ねばいいと思う。むしろ滅べばいいと思う。呪われろ」
「……」
「デュラン、呪われてくんない?」
「お前な……大体、あの神子達は別に女ではないぞ」
「うぇっ?! マジで?」
出回ってる情報だと美女だって噂だったのにしょっくだー!!
「……オレの楽しみが」
「意外とその手の情報は出回っていないのだな……まぁ、それも仕方ないか」
「てか何でデュラン知ってるのさ」
「古い知り合いだからな……まぁ、個々への面識は無いんだが」
あんたどんだけ顔広いんだ。
てか、良いのか? 魔族の王と、人間の守護者の神子様が知り合いでさ。何? 運命の敵同士?
「そっかー、神子様男なのか……」
「いや、別にそうも言っていないのだが」
「はい?」
「そもそもお前の認識はどうなっているんだ?」
「え? えーっと……何か体が弱くて、美人で、朝は起きられない低血圧で、一人称があてくし?」
「……」
違うらしい。
「まったく……情報統制が妙な方向に向かっているようだな」
「あ、えーっとでもほら、別にその辺は雑誌とかの情報だし。教科書レベルなら人類の守護者にして聖剣の担い手、えーっと、後は永久時計の管理者の双神子……ってな話だから」
この前テストでやったばっかです。点数? なにそれ美味しいの?
「てか、何で双の字がつくんだろ?」
「それは二人いるからに決まってるだろう」
「えぇっ?!」
マジデスカ?
「美女のダブルセット!!」
「女ではないがな」
……そうでした。
「でも男じゃねぇんだよな。ならいいや。左右に侍らせたらハーレムっぽくなりそうだし」
「……時々お前の趣味を疑うのだが、まさかそういうのが好きなのか?」
「や、別に」
女の子は可愛いとは思うし、見てたら「かわいいなー、きれいだなー」と和むけど。
それは多分美術品とか、可愛いグッズとか、小動物を見てる気持ちに近い気もするし。
「てか、男でも女でも無いってどういう事? 二人とも?」
「あぁ、二人ともそうだな……そもそもあの双子は二つ揃って一人前、一人で二人、二人で一人だからな」
「あー、二人はプリキ○アみたいな」
「もしくは匂宮○妹みたいなものだな。もっとも、あの双子は片方が死ねばもう一方も死ぬがな」
「へー」
絶対運命黙示録……じゃなくて運命共同体みたいな。問おう、貴方が私のマスターか、みたいな。
それって結構不自由そうだけど。
少なくともオレは弟とそんな関係になるのはごめんだぞ。
「んー、でも今時計塔に居るのは一人だけだって話だったような……」
「まぁ、もう一人は方々ほっつき歩いているようだがな」
ほっつき歩く? どんな歩行方法ですかそれは。
「まあ、仕方のない奴でな……」
「ふーん……」
お偉いさんなのに、デュランにかかると放蕩息子扱いですか。娘かもしれんけど。
「てか、デュランにくっついてったらその美人神子さん会えたりする?」
「片方だけなら可能かもな」
「マジでっ?!」
オレ、生まれて初めてデュランと知り合いで良かったと思ってる。偶には迷惑だけじゃなくて役にたつんだな、お前でも。
「会うのか?」
「んー、遠くから覗き見るだけでも良いや。偉い人と会うマナーとか知らんし……」
「まぁ、そういったものをあれは気にしないとは思うが……お前、建築に興味があるのではないか?」
「え?」
いや、まぁ……そうなんだけど、そんな話した覚えは無いけど。
「建築っつーより……うーん、まぁ嫌いじゃないけどさ」
割と理由があれだから、あんまり喋りたくないんだけど。
オレは適当にごまかしつつ言う。
「衣食住に良い感じのが揃って楽しい生活になるじゃん。旨いもん食って、着心地良い服着て、で帰れる家があってさ。ま、そんな感じ」
「そうか」
クルクルッとうどんを上手にフォークで巻いてデュランが笑う。
「なら、ユルグシラドルもまた一つの住居だという認識はあるか?」
「ん?」
「向こうに行ったら案内してやろう。お前はきっと気に入る」
いやいや、別にアンタに行き先決められても困るし。
そう思ったけど、デュランが妙に楽しそうな、何か悪戯考えてるワルガキみたいな顔で笑ってたから、オレは断るのも気が引けて「ふーん」と適当に相槌を打つだけにしておいた。
オレってば基本、遠慮深い性格なのである。
【作者後記】
セントラルとセントラ、どっちがどっちだか偶に自分でも分からなくなります。
(ちなみにセントラルが地区名、セントラが大陸名称です)
と言う事でどうも、尋です。
ここ数日またしてもネットに接続できませんでした。
忙しいとかそれ以前に、繋いでるのに反応しませんでした。
おまけに、某登録先からのメールがどうやら一切届いてない事が分かりました。
プロバイダー変えようか……(遠視
それはさておき、ご来訪ありがとうございます。
いつのまにやらユニーク5500越え、PV24,000越え、お気に入り登録73名となりました。
ありがたい事です。
変わり映えしない拍手なのにポチポチして下さってる方もいらっしゃるようで、ありがとうございます。
その内、更新しないと飽きそうですな……。
退屈されないような話を書けるように気をつけますので、もし宜しかったら引き続きお越しくださいませ。
作者拝