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金色週間とオレ

お騒がせしました。

戻ってまいりましたので、宜しければお付き合いください。

 みんなー! ゴールデンウィークは好きかー!

 大好きだー、いえー!


 ってことで本日ゴールデンウィーク二日目。

 とっても自由です。無責任な自由……素敵だ。

 未だに「らう゛らう゛」らしいウチの両親は昨日から二人きりでデートとやらで旅行に出かけ、愚弟は部活の強化合宿とやらで存在しない。狭い我が家はオレだけのもの。使い放題。

 昨日の夜はとりあえず自由を満喫すべく、冷凍庫をあさってアイスをひっぱりだし(ダッツ抹茶味らぶ)、風呂に一番気に入ってる入浴剤を投入し(普段は風呂釜掃除が大変だからとやらせてもらえない)、ついでに一曲フルコーラスで歌い、うっかり調子にのって残り湯を手で洗濯機に移す作業に熱中したりしてみた。軽く湯冷めしたのはご愛嬌って奴。


 似非一人暮らしばんざーい。


 まぁ、親に「あんたが料理をするとは思えないから」と大量の冷凍食品の買い置きを見せられた時は若干微妙な気分になったけどさ。

 うんまぁ、ありがたく親のかねを受け取っとくよ。実際料理する気ないし。


 って事でどうもどうも、ナカバです。


 テレビのコメンテーターのおっさんが何か騒いでるのをぼーっと見るともなしに見ながら、窓辺で腹ばいになって日向ぼっこしてます。

 さっきからニマニマが止まりません。

 今オレを見た奴が居たら確実に不審者として通報するだろうな……うん、良い。どうせ今一人だし。

 ま、何でこんな状態かと言うとですねー……実は! 今日はリムりん達とのデートなのだ。

 彼女達は明日の昼から南諸島群へ出発するらしいんで、休み明け前に彼女たちに出会えるのは今日がラストチャンスなのですよ。

 ちなみにリムりんは「ナカちゃんも一緒に旅行おいでよ」とか誘ってくれたけど、オレはそれは丁重にお断りしておいた。


 何でかって?

 だって、パスポートが無いし。


 世の中誰もがパスポートを持ってると思ったら大間違い。

 ウチにパスポートなんていう高級なもんはありません。

 ってことで、リムりん達との旅行とかかなり魅力満載な提案だったけど、無理だったので断っといた。

 ……うん、別に良いんだ。

 リムりんとかヴィーたんがお土産買ってきてくれるらしいし。良い子たちだ。

 オレなんかこの前出かけた時に何も持って帰れなかったのになぁ……。

 うん、まああれは不可抗力だし、さすがにヴィーたんが刃物好きでも万能包丁プレゼントする訳にはいかないし、服は全部オレサイズであの二人には似合わないし着れないし……。

 うーん、今度何か埋め合わせせんとなー。

 貰いっぱなしってのは気分良くないし。

 何か上げると三倍返しになって戻ってくるのが難点だけどさ。

 そんなことしなくて良いのに……ホワイトデーですかっての。


 と、主な用途が目覚し(アラーム)機能なオレの携帯(現在八歳)が床の上でヴヴヴヴヴと震えだした。

 

 あっ、そろそろ着替えんと。

 時間的には余裕ありまくりなんだけど、デートの前に借りてたメディアを返してついでに新曲物色してこようと思ってるし。偶にはちょこっとぶらぶらしてみるのも悪くない。

 オレは布団の上から立ち上がって、自分の部屋に戻る。

 ……あ、ちなみにさっきまで居た場所はウチのちっさなリビングです。だって日当たり良いんだもん。

 あー、部屋戻るのやだな。寒いんだもんよ。北側だから。

 着替えだけ持って引き返そうかなー、とか考えながらドアを開ける。


「うあっ! やっぱ寒っ!」

「軟弱だな」

「うっさい」


 そんな事より服、服……うん、ジーンズにフリースパーカーで良いよな。

 またリムりんが何か言いそうだけど。

 動きやすいのに……。

 後財布でしょ? 家の鍵でしょ? あと返却期限が来たメディア……何か他に要るもんあったかな。


「てか財布何処にやったっけ……さすがにないと拙いよな」


 一昨日学校から戻って、どっかにほっぽり出したような気がするんだけどなぁ……。

 どこやったっけ? ベッドの下とかに落ち込んでないよな?


「ちょっと邪魔」

「あぁ、すまん」

「んー? 無いな……どこだっけ?」

「財布か?」

「うん。あれないとどうしようもないし……」


 リムりん達なら奢ってくれそうだけど、ちょっとそれは嫌だし。

 考えてると、オレの目の前にニュッと財布が突き出された。


「これか?」

「おお! これだよこれ! この味だよ!」

かじったのか?」

「いや、気分。さんくーデュラン」

「どういたしまして」


 よし、後はさくっと着替えて……。



「……ん?」


 何か今変じゃなかったか?

 オレは首を捻る。そんなオレを見てデュランも真似して首を捻る。


「何か、大事なこと忘れてる気が?」

「さぁ……携帯ではないか?」

「あ、そっか……また忘れる所だった」


 後で拾っとかないとなー。床の上に放置プレイしちゃったし。

 ……。

 うん? デュラン?

 

「……デュラン、質問があるんだけどさ」

「何だ」

「殴っていい?」

「何故?」

「何故? じゃねぇっ! 何勝手にオレの部屋に出現してるんだ、この阿呆がっ!! あんまりナチュラルに溶け込んでるからうっかり見逃しただろうが!」


 不法侵入をやらかした魔王デュランの頭をどついて、オレは叫んだ。




 あと、オレのベッドに勝手に座るんじゃねぇよ。変態。

 

【作者後記】

前回の不祥事より大体一週間ほどでしょうか。

ご無沙汰しております尋です。


停止中も訪れて下さっていた方がいらっしゃるようで、ただ頭が下がる思いでいっぱいです。ありがとうございます。


どうか、またナカバ達が動きまわる様子が皆様の気持ちに何らかの楽しみをもたらしますように。

とりあえず彼らは今日も無駄に元気に始まります。


作者拝

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