女に手を出す奴は俺が許さん
王国を出ると辺りは緑が広がっていて、道筋を真っ直ぐ進むと次の街に到着するという。
とりあえず次の街『シタギドロ』を目指す強一行。
「皆んなで自己紹介でもしませんか?」
思い出したかのように切り出す強。
「結構です」
メイドと金の美女が声を合わせて言う。
「それじゃあメイドと金の美女。で良いの?呼び方」
と強が疑問を伝えるが。
「はい」
これもハモらせる2人。
(NPCすぎるだろ……もっと個性を主張してくれ)
モヤモヤは募るばかり。
しばらく緑広がる道筋を進むと強がメイドに尋ねる。
「これってどれくらい歩いたら到着するの?」
「3日です」
反応に困り、静まり返る強…。
「あの……それなら馬車とかそういうの、少しでも早くなる物なかったんですか…」
見兼ねた金の美女がフォローを入れる。
「わがままを言わないでください。失礼ですよ」
すると、メイドが笑顔で答える。
「もし良かったらテレポートで送りましょうか?」
(早く言ってくれ)※強+金の美女
「ぜひお願いします」と強が答えると、メイドは片腕を上げ、足元から魔法陣が現れ、強一行は光と共にその場から消え去った。
数秒後、再び目の前が明るくなる頃には、『シタギドロの街』に到着していた。
街は人々で賑わっていた。
さっそく勇者の情報を集めるため、酒場に向かう事に。
酒場は昼間っから飲んだくれて居る連中の住処になっており、辺りはお酒の臭いで充満していた。
周りをキョロキョロ見ながら、真っ先にマスターに声をかける強。
「すみません、我々はオッパイノ王国の王様の依頼で“勇者と名乗る男“を探してるんだけど、知っていますか?」
お洒落な髭を生やしたいかにも酒場のマスターぽい主人が口を開く。
「勇者を名乗る男……、知らんな。ただ最近この街では“ある盗賊団“が頻繁に街を徘徊していて、盗賊団の被害が多発している」
とマスターが言う。
「なるほど……その連中とその勇者は関わりはなさそうか?」
と強が尋ねる。
「ん〜…ないだろうな。盗賊団のボスは女性と聞く。あとメンバーもほぼ女性らしいからな。お前さんの言う勇者は男なんだろう?」
「あぁ、確かにそうだな。ありがとうマスター」と言うと、軽く会釈をしてその場を後にした。
「まぁすぐには見つからないよな〜、というか。せっかく街に来たんだし、適当にぶらぶら食べ歩きでもしようぜ」
と強が笑顔で伝える。ゴールドは王様から大量に頂いていた為、贅沢する余裕は十分にあった。
「良いですね!」
「分かりました」
メイドと金の美女も納得してくれた。
「よっしゃ!決まりだな」
心から喜ぶ強。
シタギドロの街では街中に屋台や出店が並んでおり、食欲をそそる良い匂いが漂っていた。
強一行は見た事ない食材を両手に沢山持ち、食べ歩きを満喫していた。
すると、いかにも悪そうな2人組のモブがニヤニヤしながら強に声をかける。
「おい、にいちゃん。可愛い子連れてどこへ行くんだ?俺達も仲間に入れてくれよ」
ありきたりな台詞。強が答える。
「良いよ別に。良いよな?金の美女とメイドも」
「はい、構いません」「全然気にしないです」
「と言う事で、一緒に食べ歩き満喫しようぜ!」
と笑顔で答える強に、感動するモブ2人組。
「にいちゃん良い奴だな。俺達感動しちまった。これからも仲良くしてくれ」
そういって強一行と街を散策する事に。
しかし、それはモブ達の仮面の姿で、モブ達の真の狙いは強が所持する金品だった。
何を隠そう、彼等こそシタギドロを根城にしている盗賊団のメンバーだったのだ。
強一行が裏路地の人気の少ない場所に差し掛かった瞬間だった。
モブ達が仕掛ける。
「騙されやがったな若造がぁ!」
「取り押さえろ!!」
勝負は一瞬だった———
金の美女の踵落とし、からの右ストレートにより、2人のモブはノックアウトされる。
「ぐはぁっ……化け物め…!」
強が語る。
「女に手を出す奴は俺が許さん」