混沌に包まれた会場
会場の熱気は最高潮になっていた。
女神の頭上スイカは赤色。アリスのスイカは緑色のまま変化無し。回復魔法で体力を戻しても、一度変化したスイカの色は変わる事はなかった。
「私がここまで追い込まれるとはね…さすが決勝戦の相手ということね」
「……私は、私を信じてくれる人達のために戦います…」
「金ちゃんがあなたを選んだ意味が分かったわ。でも、私も負ける訳にはいかないの…ごめんなさいね」
会場が地鳴りを起こし、その揺れは徐々に強度な揺れに変わっていく。
「……くっ…」
少しバランスを崩すアリス、その瞬間辺りは白い霧に覆われる。
「これが私の最後の魔法………耐えたらあなたの勝ち、それが叶わなければ私の勝ちよ」
世界創造魔法【世界と一体化】
女神の姿は霧状に消えていく……。
そして晴天だった空は闇に包まれた。
その直後、アリスの足元から地面が攻撃を仕掛ける…!
すれすれで交わすが、足が切れて出血する。
急の大雨、天気は大嵐に変わる。
アリスの背後から女神の幻影が現れる。
「…落雷にご注意ください」
アリスがすかさず短剣で斬りかかると幻影は消滅し、天から無数の落雷がアリスを目掛けて降り注ぐ…!
一発、二発と落雷を交わすが、三発目の落雷はアリスの背中を直撃する…。
「……ぐっ…!」
(………このままじゃ……やられる…)
アリスの闘志の火は消えかけていた。
会場全体が息を呑んだ…。
すると珍しく強が動いた。
『アリスーーーー!!………勝ってまた美味い飯食いに行こうぜー!!』
「強…さん?」
会場の愛も檄を飛ばす…!
「アリスさん!自分の力を信じて!」
「愛さん……!」
絶体絶命の状況で、アリスは目を閉じる。
無情にもそこへ地面からの猛攻がアリスを襲う…!
だが、それをひらりと回避し、続けて天空から降り注ぐ落雷も次々に回避していく。
大雨で泥濘んだ会場は滑りやすくなっていたが、アリスはその状況に適応していた。
(実体がない相手と…どう戦えば良いの…)
再び女神の幻影が現れる。
「回避するだけで精一杯のようね……それならそろそろ終わらせてあげるわ」
アリスは生き別れた両親の言葉を思い出していた…。
******
「アリス…我々“暗殺者“は、全ての“生命の音“を頼りに戦闘を支配する……お前にもいつかそれが分かる時が来るはずだ」
「“音“……」
「そして、アリス……お前は特別な力を持って産まれてきた。その力は、自身のオーラを短剣に込める事でどんな物体も貫く刃となる…!」
******
女神は宙に浮き、両手を天に向けると、辺りは突風が吹き荒れる…!
『皆さん…!!避難してください!!巨大な竜巻が発生しましたーーー!!』
竜巻は雷を交えてアリスに襲いかかる!
「生命の音…!!」
ドクンッ
僅かに聞こえた女神の鼓動。
襲いかかる竜巻を前に、アリスは目を閉じ、短剣にオーラを込めると、オーラで生成された長身の剣に変化した。
「竜巻の中心……!それがあなたの本体……!!」
アリスは竜巻に向かって走り出した!!
秘剣【黙示の剣】
アリスの剣は竜巻の中心を切り裂いた———
「そんな……!」
巨大な竜巻は勢いが殺され、そのまま終息、そして空は一気に晴天を取り戻した。
「……はぁ……はぁ……」
「どうやら私の負けのようね…素晴らしい力だったわアリスさん」
女神の頭上スイカは消滅し、観客席へと飛ばされる。
『ついに………!!決まりましたぁぁぁぁぁ!!!チクビーナサマー祭、その死闘を勝ち抜いたのはぁぁぁぁ!!エントリーNo.5!アリス選手だぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!』
会場の熱気が再び最高潮に盛り上がる!!
『よっしゃー!!アリスが勝った!!』
アリスーーーー!!
おめでとうーーーー!!
「私が……勝った……」
だが———
再び空が闇に包まれていく……。
会場全体が静寂に包まれると、どこからともなく声が鳴り響く。
〔…楽しい大会ご苦労様……これより我々宇宙海賊団がこの世界を統治する事となった…!〕
空に空間の切れ目が現れ、超巨大な宇宙戦艦が顔を出す…!
戦艦の甲板には8枚の黒い翼を広げたシルエットが佇む。
〔我の名は冥王ルシファー、この星は我の支配下となる〕
ルシファーは左手をあげ魔法を詠唱した。
世界滅亡魔法【World End】
女神が反応し、防衛魔法を展開する…!
「間に合わない…!!」
世界の時が止まる————
天から降り注いだ激しい光がコロシアムを崩壊させていく……!
〔神剣チクビーナブレイド・神剣ネグリジエンド、そして“賢者の意思“は頂いていく………さらばだゴミ共〕
再び空に切れ目が現れ、戦艦をその切れ目へと消えていった…。
混沌に包まれた会場……何もなす術は無かった…。




