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波乱の幕開け

第一試合、第二試合が終了し、一旦本日のコロシアムは終了となった——


ジェイク曰く、過去最高の戦いだったそう…(…それはそうだろうな)


明日のアリスと泉の女神様の最終決戦……本当に大丈夫なんだろうか…。


とりあえず今何をしてるかって言うと………。


コロシアム会場前で複数人のインタビュアーに囲まれた女神様とアリスを遠目からボーッとかれこれ3時間くらい見守っている…。

外はもう暗いし、腹も減ってるのに……試合よりこっちの方がきついんじゃ…。


他のメンバー?


愛は一緒に待機してるけど、バージン達4人は秒で消えたから分かりません。


「まぁでも、愛がアリスに試合を託すのは正直意外だったけどなぁ」


「そうですか?……彼女の中の潜在意識は人間の域を既に超えていますよ」


「え、そんなに凄い素質があるのか…」


「あります。…ただ、まだ芽が出た程度で、開花した状態とは言えません。戦いの最中でそうなれば良いんですけど…」


「ま、なんとかなるでしょ。アリスを信じてやろうぜ」


「…え?」


「ん?」


「強、ポジティブになりました?」


「あーまぁ、ちょっとは」


「それは良かった」と笑顔で愛は言った


しばらくするとアリスが解放され、困り眉毛で戻ってきた。


「お二人共すみませ〜ん!!……はぁ…はぁ…本当に、遅くなってしまい、すみません!」


「1番大変なのはアリスなんだから、気にしないでくれ。とりあえず、気を取り直して飯にしよう!」


「そうですね」


「…はいっ!」



******



ビーチクランド飲食街———


「おー!めちゃくちゃ良い匂いがしてくるなぁ」


「本当に素敵なお店が沢山ありますね」


「わーー!どれも美味しそうなお店ばかりで迷いますねっ!」


すると何やら店の亭主が大声で叫びながら走っている


「だれかー!助けてくれ〜!」


(分かりやすいな…)


「どうしましたー?」


「はぁ…はぁ……、お兄さん…、店で暴れてる客を追い出してくれねぇか…?」


とりあえず承諾し、店に到着するとドラゴンとミドリがバチバチ争っていた。


「あの〜……そういうのは外でやった方が良いと思いますよ〜」


「あぁ?貴様……みねぇツラだな…」


「…さっき試合中コメンテーターしてましたけどね……」


「まさか……貴様があの強……。ミドリにばかり目がいってて全然見てなかったぜ」


「私はこれで帰らせていただきます……失礼」その台詞と共にミドリは夜の闇に消えていく…。


「おいっミドリ、貴様!!!……ちっ逃げ足の速い奴め…」


「まぁとりあえずこれで一件落着ということで…亭主さん、安心して営業続けてください」


「ありがとうございます!」


「それじゃ俺達も……」


「待て!強」


「え?」


「さっきは無礼な発言失礼した。そして世界を二度も救ってくれた事、感謝する…」


「お……おう」


「そこで一つ頼みがしたい…!」


「な、何?どうしたの…?」


「力比べをしてくれませんか?」


「……嫌です」


「その…腕づもうで良いんだ!頼む!私達、竜族は相手の力を見てその存在を確かめる習性がある。世界を救った男をこの体で感じさせてくれ!」


「まぁ…分かったよ。じゃあ皆んなちょっとそれだけ付き合って」


「分かりました」


「はいっ!」


そそくさと台と審判が用意され(どこから?)

2人は腕づもうで力比べを何故かする事になった。


「手加減無しでお願いします…!」


「わ、分かったよ…」


「ちなみに利き手は?」


「俺は右手」


「私も右手だ」


両者が右手を握り合う——


(硬い……女性の手とは思えない…なんて力だ…)



「それでは両者力を抜いて〜〜、行きますよ?……ビーチク〜ファイトォ!!」


開始早々ドラゴンと強は全身のオーラを右手に集中させた。


だが力の差は歴然だった。圧倒的ドラゴンの優勢。


負けるギリギリの所で強があの力を使う…。


「本気出して良いんだよな…?」


究極自己満足魔法【天我】発動——


強は賢者の化身へと姿を変化させると、圧倒的な力差で押し返す事となる。


「な、なんというパワー……これが英雄の力……!!面白い!!」


ドラゴンも更にオーラを爆破させる…!そのオーラは周辺に稲妻を発生させる程の熱量となっていた。


一歩も引かない両者の押し合いが続くが、最高潮に達した瞬間、勝敗が決まった。


バコンッ!!


「……くっ……私が……負けた…」


「いてて……後で髪洗う時腕上がらない奴だ…これ」


すっきりしたドラゴンは別れ際、強と握手をして笑顔でお別れをした。


試合見てた時はでっかいドラゴンとかになってむちゃくちゃ怖いイメージだったけど、実際こうやって触れ合うと普通の女の子なんだなと思った。


……それにしても、俺の力はどうやら本物だって言うことも実感できた。愛と修行してる時は愛が化け物すぎてあまり実感湧かなかったんだよな…。


ビーチク伯爵の計らいにより、店の飲食店は全て食べ飲み放題という最高のおもてなしを受けた俺達は、この後盛大に食べ歩いた。



*******



ビーチク高級ホテル———


お腹いっぱい食べ終えた俺と愛とアリスは、高級ホテルに戻り、途中アリスと別れた俺と愛は、“2人部屋で泊まる“という関係にまで成長していた。そもそも一緒に暮らしてるしな。


「なんか昔を思い出すなぁ」


「何をです?」


「2人でオッパイノ王国に捕まった時の事」


「あれは黒歴史ですね」


「そうそう。…トイレ使いすぎて愛に怒られた事を昨日のことのように覚えてるよ。今思い出すと笑えてくる」


「あの時は本当に怒ってましたよ!」


「……今更だけど、この天我って力を手に入れてから俺の記憶を取り戻せたし、何より世界の見え方が全然変わってきたんだ…。今までの俺は何もできない無力な人間で、世界の幽霊部員みたいな立ち位置だったけど、今じゃ“英雄“とか言われてるんだぜ?」


「それは強の努力と、元々あった潜在意識の強さです。胸を張ってください」


「ありがとう、愛。少しずつ実感湧いてきたよ」


「いえ、こちらこそ、私を選んでくれた強に感謝していますよ」


「それは良かった。明日も早いし、そろそろ眠ろうか!」


「そうですね」


2人は明日に備えて仮眠する事に。

明日は泉の女神vsアリスという最終決戦の日。

今日の戦いで全壊したコロシアムは、明日行われる最終戦に向けて、1日がかりで復旧作業をするらしい。

1番問題だったのは、観客席に居た観客達の被害だ。

街のヒーラーが総出で駆けつけて観客達の回復を行なっていた。

本当にやりすぎなんだよなぁ……、ジェイクが言っていた“命を賭けた死闘“の意味がようやく理解できた気がした。

明日の試合、波乱の幕開けな気もしてきたわ…。

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