泉の女神
光と共に現れたのは“泉の女神“だった。
「あらあら、そんな悲しい顔をしてどうしたの?……というのは冗談。色々ごめんなさい。私のせいであなた達にご迷惑をかけてしまったみたいね…」
反省した表情の女神。
「元に戻って良かった。やっぱり女神様はその姿が1番しっくりくるよ」
涙を拭きながら強が言うと、女神が答える。
「改めて私を復活させたって事はきっと、“あの選択“を求めてるって事かしら」
「いや、あの……」
下を向きながら少し照れた表情の強。
「ふふふ、可愛らしい男ね。きっと彼女もあなたに会いたがっているわ」
「本当に…!ぜひ会わせてほしい……名前も知らない関係だけど俺にとっては——」
「はいはいはーい。では質問します…」
““あなたが落としたのは金の美女?……それとも銀のギャル?“
「俺が落としたのは……———」
そこからの意識がほとんど無く、俺の記憶はここまでで終わっていた。
恐らく本来自分の体に存在しない未知の力を使い過ぎたせいで、負担に耐えれなくなった体が限界を迎えていたんだと思う。
後から聞いた話だが、俺は数日間もの間眠っていたらしい。
平和を取り戻した後の世界は、別世界のように変わったらしく、まずは魔界と人間界の協定が結ばれて、人間と魔族が共存しながら生活するという条約が締結されたという。
人間界の王は勇者が務め、魔族界の王はリリスが務めることになった。
2人は共に世界を救った一員ということで、世界に名を轟かせた。
そして俺は———
殆どの記憶を失い、今は施設で生活をしている。
首から下がほとんど動かず、車椅子の生活を余儀なくされた状況だ。
世界を救った英雄としてもっと存在をアピールしたいと思う反面、これで良かったとも思っている。
今はオッパイノ王国から離れた砂漠地帯を散歩していた。
たまに外に出ると、気持ちの良い風が体を横切るだけで、生きてる事を実感できる。
何よりもこの朝日を浴びるのが大好きだった。
ただ、時折ふと思い出す。自分が何者で、ここへ何をしに足を運んでいるのかと……。
わずかに残る記憶を頼りに今日も俺はこの泉を訪れていた。




