俺が落としたのは金の美女です
俺の名は『欲葉 強』
21歳の乙女座だ。
2025年7月5日、ネルネリネウスの大予言が当たり世界は滅亡した。そして異世界へと転生した。
これは俺がこの世界で何かを成し遂げる物語——
「ここは……異世界か…」
ありきたりな台詞で目を覚ます。
辺りを見渡すと、俺は海辺の砂浜で横たわっていた。
起き上がり砂をはたく。
「ステータス画面とかは無さそうだな……どういう系か確認したいんだが」
謎の考察が始まる。
とりあえず海辺を離れると辺り一面は砂漠で、ものすごい離れた所に建物らしきものが確認できたので、そこを目指して歩き出すことにした。
所持品の確認をする。が何もない。
腰掛けの鞄の中身を見ると、小さな金のコインが1枚入っていた。
「金…?これってこの世界だといくらになるんだ…?」
一瞬目を輝かせるが、とりあえずしまっておく。
しばらく歩くと徐々に建物が大きく見えてきた。
どうやら今は使われていない廃墟のようだ。
「ん〜……まずいな……」
食料も飲み物もない。絶望的な状況。
しばらく廃墟をうろうろしていると、奇跡は起こる。
自動販売機を見つけたのだ。
強はすかさず鞄の中に入れたコインを取り出すため、ゴソゴソと鞄の中に手を突っ込んだ。
しかしコインは見つからない。イライラした強は鞄を裏返しにして上下にふりだした。
すると金のコインが宙を舞う。
コインは地面に落ち、コロコロと転がり、自動販売機の下の隙間に入り込む。
「最悪……」
顔を地面につけるスレスレまで下げて自販機の下を覗き込む。すると、どうやら自販機の下にコインの姿が見えない。
立ち上がり、自販機の裏を確認すると、綺麗な泉が顔を出した。
「いやちょっと待て……まさかここへ?」
強は泉に近づいた。
すると、泉から眩い光が放たれ、光の中から羽の生えたシルエットが姿を現した。
「あなたは女神様ですか?」
と強が声をかける。
「はい。そうです。」
と女神が答え、続けて口を開いた。
「あなたが落としたのは、金の美女ですか?……それとも銀のギャルですか?」
強は迷わず答える。
「俺が落としたのは金の美女です」