第6話 騎手のテクニック
ご主人様は馬組のJK達の調教を行なっている。
それと並行して、実際の競走馬に騎乗もしているのだ。
ご主人様の騎手としての経験に興味を持った馬美ちゃんは、競馬についてふと思った疑問を投げかける。
「面倒見のいい騎手が勝つのは分かりました。でも、どう見てもちょいワルな騎手でも勝ち続ける人もいますよね」
「ああ、あの人か。以前一緒のレースになった時、俺はヘルメットに録音機を仕掛けて会話を残した。聞きたいか、馬美?」
首を大きく縦に振る馬美ちゃん。
音声を再生する御主人様。レース真っ最中の場面である。
「御主人、前を空けろ、ぶっ頃すぞ!」
これを聞いて唖然とする馬美ちゃん。
「それで御主人様は前を空けたのですか?」
「あの程度の脅しに屈していたらこの商売やってけないよ。もちろんシカトだ」
続いてまた音声が入る。
「こら、御主人! こないだソープでおごってやったろ!」
またも驚いてドン引きの馬美ちゃん。
「それで何分でいくらだったのですか?」
ソープに行った行かない、で痴話喧嘩になる男女はたまに見聞する。しかし何分いくら、嬢の名前、サービスの詳細を問い詰めるJKは馬美ちゃんしかいない。
「安心しろ馬美。あの人の進路は譲らなかった」
「つまりやらずぼったくりをしたと?」
「俺がそんな人間に見えるのか、馬美?」
続いてまた音声が入る。
「御主人、悪かった。今度はちゃんと巨乳の娘をあてがうから……」
「往生際が悪いですね、この人」
そう言って当該のレースの結果をネットで調べる馬美ちゃん。
「『中盤までトップで騎乗していた御主人騎手は途中から謎の進路変更で馬群に埋もれ8着』とあります」
「あの場面では進路を変えないと、馬が密集して危険だった。仕方のない判断だったのだ」
「そんなにソープがいいのですか? オーストラリアからわざわざ呼ぶの? あの人ってホモセクシャルですよ!」
「そりゃあ鍛え上げた胸筋で巨乳に見えなくもないですけど……」
昔の有名水泳選手と勘違いしている馬美ちゃん。お後がよろしい様で。