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グラウンドの風と、隠したキック

こんにちは、こんばんは、はじめまして! あるいは『君と僕の届かない1メートル」3話目へようこそ! 井上拓馬は、過去のトラウマから実力を隠して「平凡」を演じる中学3年生。でも、ミステリアスな高橋麗華の存在が、彼の心とその殻を揺さぶってる。前回、図書室でちょっとだけ会話できた二人。今回は、体育祭という青春の舞台で、拓馬の「平凡」が試される!? ドキドキとしたりちょっとしたハプニングを、ライトノベルらしい軽快さと甘酸っぱさで届けます。さあ、体育祭のグラウンドで、拓馬と麗華の距離はどうなるのか、楽しみにしてください。

体育祭の日。朝から校庭は、クラスの応援団の声やら準備のドタバタで騒がしい。僕、井上拓馬、15歳。中学3年生。普段は「平凡なやつ」を演じてるけど、今日はちょっとだけ面倒な予感。だって、体育祭って、目立つチャンスがゴロゴロしてるイベントだ。実力を隠したい僕には、めっちゃ危険な日。なのに、朝の準備で高橋麗華と目が合った瞬間、心臓がバクバクして、なんかもうダメな感じ。


「拓馬、リレー走れよ! お前、足速いだろ!」


翔太が、クラスのテントでニヤニヤしながら絡んでくる。こいつ、ほんと空気読まない。確かに、昔サッカーで鍛えた足なら、リレーでそこそこやれる。でも、目立ったら終わりだ。過去に実力見せすぎて、変な期待や妬みを食らったトラウマが蘇る。


「いや、俺、足遅いって。代わりに翔太走れよ」


「は? お前、校庭でサッカーやってる時、めっちゃキレッキレじゃん!」


「うるさい! あれは遊びだろ!」


クラスメイトの何人かがクスクス笑ってる。やめてくれ、ほんと。で、つい麗華の方を見たら、彼女、テントの端で応援旗の準備しながら、こっちをチラッと見てた。え、聞いてた? やばい、なんかバレてる? 慌てて目を逸らすけど、心臓がまたバクバク。彼女の視線、なんでこんなに効くんだよ。

午後、クラス対抗リレーの出番が近づく。結局、補欠だったやつがケガしたせいで、僕が走ることになった。最悪だ。スタートラインに立つと、麗華が応援団の近くで旗持ってる。夕陽に照らされた彼女の黒髪がキラキラしてて、めっちゃ綺麗。いや、集中しろ、僕。本気出さず、ほどほどでいい。8割くらいで走れば、目立たずに済むだろ。


「よーい、ドン!」


笛の音でスタート。1走の翔太がバトンを渡してくる。よし、適当に走るぞ。……って、隣のクラスのやつ、めっちゃ速いじゃん! なんか負けたくない気持ちが湧いてきて、つい足が本気モードに。やばい、抑えろ、抑えろ! でも、身体が勝手に動く。ドリブルで鍛えた足が、グングン加速していく。観客席の歓声がうるさい。やばい、目立ってる!

バトンを次の走者に渡す瞬間、麗華と目が合う。彼女、なんか驚いた顔してる。え、気づかれた? 僕の本気、ばれた? 心臓がバクバクして、頭真っ白。走り終わってテントに戻ると、翔太がニヤニヤしながら突っ込んでくる。


「拓馬、めっちゃ速かったじゃん! なんで隠してたんだよ!」


「隠してねえよ! ただ、調子良かっただけ!」


「へー、調子ねえ。高橋もガン見してたぞ!」


うそ、マジで? 麗華の方をチラッと見ると、彼女、応援旗を手に何か考え込んでる。やばい、ほんとバレたかも。平凡な僕を守るために、こんな目立つことしちゃダメだったのに。

夕方、体育祭が終わって片付けの時間。麗華が、応援旗をたたむの手伝ってくれって僕を呼んだ。え、なんで僕? ドキドキしながら近づくと、彼女が静かに話しかけてくる。


「井上君、今日のリレー、すごかったね」


「え、いや、ただのまぐれだよ! ほんと、いつもは遅いんだって!」


慌てて否定するけど、麗華、なんか小さく笑ってる。やばい、その笑顔、反則だろ。


「ふふ、まぐれかぁ。でも、なんか井上君らしいね」


らしい? え、それどういう意味? 僕の「平凡」キャラ、崩れてる? それとも、彼女、なんか気づいてる? 頭ぐちゃぐちゃだ。麗華はスケッチブックを取り出して、なんかサラサラ書き始める。チラッと見えたページには、走ってる人の絵。……え、僕? いや、気のせいだろ。まさか。


「井上君、図書室の当番、明日も一緒だよね。よろしくね」


「あ、うん、よろしく!」


彼女はスケッチブックを閉じて、軽く会釈して去っていく。夕陽に照らされた背中が、なんかいつもより近く感じる。でも、僕と彼女の間には、まだあの「一メートル」のバリアがある。リレーで本気出しちゃったせいで、彼女に「平凡じゃない僕」を気づかれたかもしれない。それが、なんか怖いけど、ちょっとだけ、嬉しい気もする。

いかがでしたか? 体育祭の熱気の中、拓馬がうっかり本気出しちゃって、麗華との距離がまた少し動いた! 拓馬の「平凡」を守りたい葛藤と、麗華のスケッチブックに描かれた謎の絵、気になりますよね。彼女、実は拓馬のこと、ちゃんと見てたりして? 次は、図書室での更なる会話や、麗華のスケッチブックの秘密がチラッと見える展開、またはクラスメイトのライバル登場とかどうかな? 青春のドキドキと葛藤を、これからも届けていきます!

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