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二話 賢者との再会

 俺は、久しぶりに仲間に会うためにメイド兼弟子であるマリアに賢者メイアの家に案内された。


「デッーーーーーカ!」


 俺の目の前にある建物は、家ではなく雲に隠れて頂上が見えない程高い塔だった。

 

「いやデカすぎだろう。こんなの絶対一人で管理なんて無理だろ」


「その通りですこの塔の最上階に居住スペースがあるのでそこで暮らしています。後の階層はオートマタや清掃ロボなどが担当しています」


「オートマタ、ロボ?」


「カイン様の時代で言う、ゴーレムみたいな物です」


(やっぱり、俺が封印されてから五年や十年じゃなくて相当な時間が経っている)


 カインは今まで感じていた違和感を確信に変えた。


(俺が起きた廃墟も見慣れない建物だったし、この塔もまるで大昔からあったかのような壁の汚れなどがあるが封印される前にこんな建物はなかった)


「て言うか、これどうやって最上階まで登るだよこの高さじゃ絶対時間かかるぞ」


「そうですね()()()()()()()()()最上階まで登ってくる必要があるのですが今回は客として来てもらっているので裏口にある転移扉を使います」


(そんな貴重なものまであるのか、俺の時代じゃ転移魔法は、とても魔道具に出来る物じゃないのに)


そうして、塔の裏側に行くとそこにはあまり特徴のないただの扉があった。

 そしてマリアはポケットから取り出した扉の鍵は、金色に輝きを放ち、持ち手に宝石が埋め込まれていた。


「これが転移扉?普通の扉に見えるけど?」


「普段はただの扉なのですがこの鍵を使うことでただの扉を一時的に転移扉に変えることができるのです」


 そう言って扉に鍵を差し込むと特徴のない扉は、豪華な装飾が施された立派な扉に変わった。

 彼女が扉を開くと扉の中は暗くってその先が見えなかった。


「お先にどうぞ」

 

「分かった」


 そう言って扉の中に入ると景色は一瞬で変わった。

 部屋には数多くの本や武具が保管されており、部屋の真ん中には大きな机が置いてあり、机の椅子に人が座っていた。


「久しぶりだね、カイン君あまり変わりがないようで良かったよ」


「お前は、見た目が変わりすぎだろ次はなんの実験のために変えたんだ」


「昔の子供の姿は、魔物に攻撃を当てづらくするためだったからね。今は仕事の関係上この姿が色々と楽なんだ」


 俺の目の前に立つ女性は、長い金の髪を揺らし微笑んだ。服装は、魔導士を連想させるとんがり帽子とローブを着ている。

 彼女こそが、あらゆることに知っていると言われる存在【大賢者】メイアであった。

 

「また再会が出来たんだから嬉しいよ。君が封印から目覚めたのはこちらでも感知していたからね。解呪祝いに料理を作っていたんだ三人しかいないが祝杯といこうじゃないか」


 そうして、メイアが指を鳴らすと何も置いていなかった机の上に数多く料理が並べられた。 

 正直な話、目覚めてからここに来るまで何も食べていないそろそろ限界が来ているし、知らない料理が沢山あるが匂いで絶対美味しいと分かる。


「それなら、食べながら今の状況を教えてくれないかお腹が空いているのは、確かだけどそれ以上に仲間達のその後とか世界の情勢が気になるし、『あっむ』ってこれ本当に美味しいな作ったのは、料理人系上位職の【副料理長(スー・シュフ)】の人か?」


「いや違うよこれを作ったのは、僕が制作した万能オートマタの筋肉エプロンくんだ!」

 

「コンニチハ、ワタシの料理ハ、美味シイデスカ?」


 メイアに紹介されて出て来たのは、フォルムが人のゴーレムで顔がのっぺらぼうで力強そうな大柄な体格をしているが来ている服がエプロン一枚だけと言うあまりにも珍妙な服装をしている。

 

「ぶっふ!」


 あまりの衝撃に俺は口に運んでいた料理を吹き出してしまった。


「なんでこんな格好で料理を作らせているんだ!」


「いや君が目覚めてから急ピッチで作ったから服装を用意出来なかっただよ。だから申し訳程度にエプロンだけ着せた」


「ゴーレムだから服装なんかなくてもいいだろ。逆にエプロンだけ着せてるせいですごい変態野郎に見えるぞ!」


「あははは!そうだね次回から気をつけるよ。だけどすごいでしょこれ!」

  

 服装はあれだけど確かに料理は美味しいこれをゴーレムが作っているのもまた驚いた。

 俺の時代では、DEX(器用)のステイタス高いゴーレムがいても作る製品や料理などは、職業(ジョブ)でスキルを得た人間が作った方が良品が出来るとなっていたけどこのゴーレムはその常識を壊し、更には上級職並の実力も持っている。


「これはもうゴーレムの範疇を超えてる」


「その通りさ、これは魔法だけで作っている訳じゃない魔法と科学の技術が混ざり合い生み出された物、オートマタだ」


 なるほど、これを俺に見せたのはこのゴーレムいやオートマタの技術を見せることと、この技術が確立するのに掛かった途方もない年数が経っていると知らせるためにこれを見せたんだ。


「そろそろ聞かせてくれ俺が封印されて何年経った?」


「ざっと()()()、君が目覚めるのにそれだけ時間が進んだ」


 余りにも長い年数に俺は絶句した


「ならあれから仲間はどうなったんだお前なら知っているだろ?」


「その話をする前に魔王の出現と討伐までの話をしないか」


「えっなんで今?」


「君の記憶に問題がないかのチェックと僕が話す内容にその話が重要なんだ」


「分かった。確か魔王が生まれたのは俺が生まれた国のソレイユ王国と極寒の国アイスガルド王国の戦争の時にだったな」


☆☆☆☆


 この世界には六つの大国が存在する。

 北部の極寒の大地を支配する国アイスガルド王国、西部の多く戦士を待つ騎士の国ソレイユ王国、南部の砂漠にある魔法の国マジール王国、東部の長い歴史と文化が続く芸術の国シルド王国、中央部の多くの亜人種が存在する森に囲まれた国レーネイド連邦国、島国でありながら高い技術力と多く強者が存在する侍の国ヤマト皇国。

 当時この大国の内の一つのアイスガルド王国が大規模な不作となり飢饉が起きた。 

 元々極寒の地であるため作物が育ちにくい場所だったので近く小国を支配してそこで作物を育ていたがその国で大規模な台風や豪雨のせいで作物がダメになり、飢饉が発生した。


「だからアイスガルドはこの危機を乗り越えるためにその年に豊作だった俺たちの国に侵略戦争を仕掛けて来た」


 アイスガルド王国はソレイユ王国を支配するためになんと十万以上の兵士を引き連れ攻めておりエルド王国も負けじと八万以上兵士で応戦した。

 その戦場では多くの兵士の死骸が転がるほどの激戦が繰り広げられていた。

 しかし、その戦場に突然大きな魔法陣が出現し、戦場に倒れた死体を吸収して行った。

 そして、吸収が終わった瞬間に戦場の隅々(すみずみ)まで轟く叫び声が鳴り響き、城に届くほどの巨大な単眼の怪物が生まれた。

 怪物は、生まれてすぐに戦場に巨大光線を叩き込み両軍に大きな被害を生み出した。


「だけど悪夢はまだ終わらなかった。あの怪物は食べた相手の能力を魔眼として生成することが出来る能力を持っていて、最初に食われたのが敵軍の将軍だった。将軍が持っている職業(ジョブ)は指揮者系最上位職業(マスタージョブ)【総大将】(そうだいしょう)で味方兵士の能力向上を持っていて奴はその能力で配下の魔物たちを強化し、兵士たちを蹂躙した」


 敗走する兵士たちに追いつき、容赦なく蹂躙して行く様子は、まさに地獄絵図だった


「逃げることができた兵士の一人が鑑定士で奴を鑑定していたらしい、名前に『魔王バロール』と書いてあった」


 それからアイスガルドとは、停戦となり協力して魔王に挑むことになったが第一次討伐隊は全滅となり奴の魔眼のコレクションになった。

 他の大国は、始めの頃は我関せずと沈黙していたが魔王は自分の魔眼を増やすために海を泳ぎ、各国の港から侵略して、その国で有名な強者や希少な職業(ジョブ)を食いさらに被害を広げたことで全ての国が協力して魔王を討伐することとなった。


「それから十四年後、各国で切り札とも呼べる者たちを集めた十二人で構成された討伐パーティーの俺たちによって魔王が討伐されて俺が封印された。どうだ間違えてないだろ?」

 

「そうだね僕が覚えてる内容にも乖離(かいり)が見られないようだね」


「なら次は、お前が話す番だ。その後どうなった?」


「ならいきなり結論から話そう、あの後君が封印されてから()()()()()()()()()()()()()()

ご愛読誠にありがとうございます。更新が遅れて申し訳ありませんでした。小説を書いていてプロの小説家の更新スピードには驚きました。自分も早く更新が出来る存在になりたいです。次回の更新はだいたい三週間後です頑張ります。

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