夏祭り1
蓮の彼氏についての情報収集をはじめた。4月ぐらいに告白されたと聞いて、その後の話はあまり本人からは聞いてない。気まずくなりたくないし、なんかもやもやするものを感じたからだ。とはいえ、
「え?滝山さんの彼氏について?なんでわたしに聞くの?」
「ひ、し、しりません。ごめんなさい」
「ぎゃああああ。失恋マスターに話しかけられた!お祓いしないと」
だよな。女子からの情報網は期待できない。なんだよ。失恋マスターって。失敗続きだっての。かといって。男どもは
「滝山のこと狙ってんのか?」
「は?俺の方が知りたいし」
「リア充死すべし!陽キャは血祭り!!ヒャッハー」
「 ははは……」
意外なほど情報がないんだよな。
「あぁでも、相手の流川ってあんまいい話を聞かねーよ」
「そうなのか?」
「顔良くて、運動神経よくて、モテはするんだけど、なぁ」
「中学の時はいろんな女の子を取っかえ引っ変え、飽きたら捨てる的な。ま、この高校になってそういう話は聞かないからな」
「滝山は怖そうだから、牽制されてるんじゃね?」
「はははそうかもな」
二年生流川傑。ひとつ上の先輩で、彼から蓮に告白したらしい。何回か断ったらしいが、4月末に付き合うことになったらしい。
ただ、どんな関係かは分からずじまいだった。
今までの悪評はどうあれ、いまとくに問題がないようなら、それでいいか。
ただ、彼が良い奴で蓮に不満がないなら、半裸でうさぴょんさせるわけにはいかないだろう。
強い想いがうんぬんかんぬん。あぁ言ってしまった手前ラブがしてくれるのは、うさぴょん天使をみつけて、うさ耳をとるための矢を借りるところまで、それ以上のことは俺の役目だ。流川先輩が、どんな思いを内面に抱いてるかによるな。
蓮 は親友だ。あいつは良い奴だ。俺が昔、事故で大ケガした時もあいつが救急車をよんでくれてたすけてくれた。命の恩人だ。しばらく疎遠になってたんだけど、中学で再会して。遊んだり、話したり、飯食ったり、あいつといると楽しいんだよ。だから、あいつかなんかとんでもないことに巻き込まれてるんなら、助けになってやりたい。
自宅に帰ってから、荷物を置いて、シャワーを浴びる。今日も暑かった。髪を洗って体を流して、湯船に入る。
「ふぅ……」
髪をかきあげて鏡を見る。額には縫い傷があった。
「なーに、物思いに浸ってんの?」
「のわ!?」
そこには、腰に手を当てた天使見習いがいた。
「おま、おま、なん、いま、風呂入ってんだぞ」
「見りゃわかるわよ。何あせってんだか。調べてきたわよ」
「おれは裸なんだぞ!」
色いろ隠しながら叫ぶ。
「見りゃわかるわよ。あんたの裸なんて見飽きてるわよ。多少でかくなっ………」
彼女の視線がしたへ向く。
「わ、わ、わ悪かったわ。あんたの部屋で待ってるから」
彼女は真っ赤になっていた。
「そうしてくれ」




