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愛をください 2

 おれを見下ろす形で仁王立ちしてる女の子がいた。一体何処から現れたんだこの子は。髪はサラリと長い黒髪ストレート。目鼻立ちはしっかりしている。少し近寄りがたい人智離れした美しさ。だが、彼女の鼻には、深々とおれのはしが突き刺さっており、彼女の眼には殺意の炎が燃え上がっていた。おそらく、俺はすぐに死んでしまうだろう。せっかくの美少女が型なしだ。


 ずぽっ


「誠にすみませんでした」

 彼女の鼻から箸を引き抜き、土下座した。いや、うら若き乙女の顔を不細工に歪ませてしまったのだ、これでは、たりないだろう。土下寝した。両手両足をピンと伸ばす。ぼこぼこに踏まれた。しこたま踏まれたあとに、正座させられた。


「むしろ失礼じゃない?それ。随分生意気言ってくれるじゃない。キューピッドなんてそこらじゅうにいるってのに。あなた下手したら一生彼女できなくなるわよ」

 こいつは、この現象はなんなんだ。おれのカップ麺もしかして、腐ってた?いや、暑さで頭がやられちまったのか?ぶつくさ文句を言う女の子。こうしてみると普通の女の子なんだけどな。

 スマホを取り出して、

「もしもし、蓮。家に女の子がいるんだけど、どうしたらいい?」

「お前寝ぼけてんの?アイ、お前の妹だろ?中途半端なボケは鬱陶しいだけだぞ?」

「いや、違くて」

「あたし、眠いんだ。また明日な」

「あ、おい、蓮…切りやがった。警察にでも、言うべきか?でもなぁ、キューピッドってなんだ。」

「キューピッドはキューピッドよ。恋の架け橋。キューピッドよ」

 見てわからないの。と胸を張る。

「随分和風なキューピッドだな。」

 その子は宙に浮いていたのだ。白いワンピースをきて、サンダルを履いて。ひまわり畑がまさに似合いそうなそんな姿。警察に説明しようにも、信じてもらえないだろう。ん。ひまわり畑。なにか記憶の片隅を突かれた気がしたが。


「あーはいはい。恋のキューピッド。あんたが、叫んでたキューピッドよ。どうせ記憶消すんだし、いいわよね。たぶん。」


 記憶を消す。まぁ、そう言うこともあるか。なにやらぶつくさと呟いていた。何か魔法の粉をかけるのか、はたまた呪文を唱えるのか。忘れてしまうなら、いいか。


「さてと、このくらいがちょうどいいか」

 彼女が片手で持っていたのは、親父のワインだった。あれ?

「なるほどアルコールの力で。ばか。おれは未成年だぞ!無理やり飲ますのはだめなんだぞ!」

「何言ってんのばかじゃない?分かってるわよ。ぶん殴るのよ」

「え?撲殺されんの?冗談だよね」

 ぶんと自分の頭にボトルが振られる。とっさに避ける。

「よけんな!」

「避けるわ!」

「わたしは、ねぇ、いま、せっぱ、つまってんの!あそんでる、ひま、ないの、よ」

「よせ、はなせば、わかる、って、いや、黙っとく、から、」

「おとこは、信用、できない、の!」

 ブンブンとワインのボトルを振るう自称天使。

「落ち着けっての!なんだあんた。困ってんのか!力を、貸すぞ」

「…いやよ。」

「切羽詰まってんなら、助けを求めるのも、必要だぜ。頼れるなかまはいないのか?」

「いないわよ」

「新しいアイデアが起死回生につながるかもよ。どうせ、記憶消すなら、お得なほうがいいだろ?有効ならよし。いまいちなら聞かなくていいし。な」

「あーもう、うるさいわね。はぁ、わかったわよ」

 彼女はようやくボトルを置いた。

「あんたの幼馴染ちゃん。彼女が危ないのよ」

「おい、キューピッド。詳しく話せ」

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