アニスの場合 2
私ね、前々からお姉様が普段どんな生活をしているかってすごく興味があったの。だからお父様にお姉様の住んでいるお屋敷に連れて行ってもらえるようにお願いしたの。
お父様は最初は渋っていたけれど、侯爵の奥様が療養に行く領地に、お姉様も一緒に付いていくからその時ならいいよって言ってくれた。
とりあえず行けるのなら何でもいいと思ったけど、お屋敷では私はお父様の親戚の子ってことにするからって言われたのは納得がいかなかったわ。だって私はお父様の娘でしょう?
だけどそうしないと連れて行ってくれないと言うからしょうがなく承諾したの。
お屋敷はとにかく大きくて豪華で立派だった。私の家も立派だと思っていたけど、全然そうじゃなかったって分かったわ。
私はお客様として扱われたから、お姫様みたいな生活ができてすごく満足だった。いつもこんな生活をしているなんて、お姉様本当にずるい。
ある日ね、お屋敷にお客様が来たの。どんな人だろうって覗いたらあの時のお姉様の婚約者の人だった。
私はお話してみたくてご挨拶したわ。思っていた通り、すごく優しくて紳士的な人だった。
だから私はその人にこっそり私がお姉様の妹だって教えたの。だって秘密を教えた方が仲良くなれるでしょう?
お姉様の婚約者はお名前をフレデリク様といって、お話がとても上手な人だった。もっともっと聞きたいって言ったらすごく喜んでお話してくれたわ。
私達はとっても仲良くなって、その後も何度も会うようになった。フレデリク様は色んな場所に連れて行ってくれるし、とってもとっても楽しかったわ。
フレデリク様はね、お姉様より可愛い私の方が好きだって言ってくれた。結婚したいって。
だけどね、お姉様と結婚しないと貴族でいられなくなるってことをすごく心配していたの。私も平民になるのは嫌だから一生懸命考えたわ。
それでね、私は前のお父様がしていたことを思い出して、私がメルドーク家の後継者になればいいって思いついたの。すごく簡単なことだったのよ。
お父様に何度もお願いしたら「いいよ」って言ってくれたのに、お姉様の我がままのせいで私とフレデリク様はなかなか婚約出来なかった。
本当に意地悪なお姉様よね。妹をいじめるなんて最低よ。
だからね、フレデリク様と二人で作戦を思いついたの。これならお姉様もきっと自分がどんなにひどいことをしているかって自覚してくれると思うのよ。
まあ、それでも分かってくれないなら仕方がないけれど。