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『猫は逆さ虹の森で』  作者: 謎猫
4/4

森で

気が付けば、木の根が広がっていた所までは

コマドリの鳴き声が聞こえていたと想うのですけど

今は、耳を澄ましても鳴き声は聞こえず

ずっと続いていた森の道も

どうやらここで終わりのようです。


「あっ・・・ 綺麗な池」


その池には、流れ込む沢などの水路はなく

多分、涌き水から出来ている様です。


「深いのかな?」


あまりにも水が透明すぎて

のぞき込む自分の姿も映りませんし

池が深いのか浅いのかも

分からない程とても綺麗な池です。


「魚・・・ 居ない(泣)」


ふと、少し離れた所で水面に波紋が広がり

何か水の跳ねる音が聞こえてきました。


「うん?」


よく見ると、水辺に何か居ます。

丁度、水面と地面の境で見えにくいのですが


「アライグマ?」


池に広がる波紋は、アライグマが

何かを洗って出来たものでした。


「何を洗っているんだろう?」


気にはなりますけど・・・

不用意に近付くのは危険かもです。

見たところ、体長は私の倍以上ありますし

捕まったら絶対に敵わないと想う・・・(泣)


「あっ・・・」


少し距離を取り見て居たのですけど

多分、アライグマも私の事には気が付いていると想いますが

特に興味も無い様子で、洗い物を終えて

森の奥へと戻っていきました。


「あそこに何かあるのかな?」


アライグマの戻っていった森の方を警戒しながら

なにかを洗っていた場所に行ってみると

何個かのドングリが地面に落ちていました。


「ここで、ドングリを洗っていたのかな?」


私は、手元のドングリと水面しばらく見つめながら

無心になって居ると、唐突にある事を想い出しました。


「あっー!」


なぜ私は、この森へ来て

どうして、森の奥へと進んで来たのか。


最初は私自身も理解出来ていなかったけど

どうしてなのか、カラダは真っ直ぐと森の奥へと

歩き続けたその理由。


「願い事をしにっ!」


私の目的。

それは逆さ虹の森にある

どんぐり池に大切な願い事をする為に

ココまで来たのです。


「えっと・・・(汗)」


急に、沢山の事を想いだし

ひとつひとつ頭の中を整理しながら

まずは願い事をする時に必要な

どんぐりを準備する事に!


「何個必要なの!? 1個? 2個?でも良いのかなっ!?」


丁度、手元にはドングリが2個ありますので

池に落とさないよう慎重に拾いあげ・・・


「あとは・・・ 何だっけ(汗)」


想い出す全ては、誰かに言わせれば噂でしかない事。

逆さ虹の森なんて本当は誰も行った事もないし

そこにある池に、ドングリを投げ込んでお願い事をすると

叶うというのも、本当に誰かが叶ったのかも解りませんし

そもそも、逆さの虹なんて・・・

どれも、ただの噂です。


けどっ!

結局、最後は願うくらいしかないのです。


「あとは、池に張り出した水辺の部分から!」


この池は、それ程大きくはありませんが

1カ所だけ池の内側へ張り出した部分が有り

噂では、そこからどんぐりを池の中心に向かって

投げ入れて願い事をすると叶うと・・・


「願い事・・・」


ドングリは2つあります。

願い事も最初から決まっております。

あとは、その願いが叶う事を・・・


「えいっ!(投)」


まぁ・・・

猫ですので、幾ら力一杯投げても

それ程遠くへは飛ばないのですけど・・・


「一応、池の中心に向かっては投げ込んだのだし・・・」


後は、本当に願いが叶うかどうかです・・・

多分、私には確かめる事も出来ないのでしょうけども。


「はふっ・・・」


私に出来る事はここまで・・・

あとは池に投げ入れたドングリを眺めている位です。


「叶いますように」


投げ込んだ後も、特に池が煌々と輝きを放つ事も無ければ

女神様が現れる事もありませんが・・・


「ふにぇ?」


今、投げ入れたハズのドングリは

少しの間、水面を漂った後ゆっくりと空に向かって

昇り始めました。


「えっ!? 何でっ!?」


その速度は、ゆっくりで・・・

どこまでも真っ直ぐ空に向かって

昇っていきます。


「あっ! そうなんだ・・・」


どうして、この森の場所を誰も知らなかったのか。

どうして、この森に逆さ虹の架かるのか。

空に昇るドングリを見て解りました。


「だから、水面に自分の姿が映らないんだ・・・」


今・・・

私が居るここは水面に映った森の世界。

空へ登っていくドングリも

地上へ広がる木の根っ子も

ひっくり返ったボロボロの吊り橋も

全て、水面に映った鏡の世界。


だから、この森に架かる虹は逆さまで

池に沈むドングリは空へと昇っていく

地中に伸びて広がる根っ子は地面へと伸びて広がり

ひっくり返ったボロボロの橋は川に映った吊り橋の下側。


きっと・・・

歌が上手で歌い続けてくれたマコドリも

食いしん坊なのか私を食べようとしたヘビも?

ちょっと怖いけど洗い物好きのアライグマも

少しお人好しな所があるキツネも?

ロープを囓ろうとしたイタズラリスも

なんか私よりも吃驚していたクマも

みんな、かつて森の住民。


そして、今は・・・

私も、この逆さ虹の森に眠る住民。





----------------------------





『えっ? 私の願い事?』





ドングリ2個に詰め込んだ

私の願い事・・・


別に、他人が聞いても

何も面白い事なんて無いと想いますけど・・・

知りたいのですか?



私の願い事は

『飼い主さんの幸せがずっと続きますように』

それだけですよ?



ねっ?

普通に、ありきたりでしょ?

全く面白くも無いでしょ?


でも、私にとっては

ずっと一緒に居てくれた人だから(///)


私の最期まで、傍に居てくれた人だから

このくらいはね。(///)


にゃはは~

最後まで読んで頂きまして

ありがとうございました~♪


前回、夏のホラー企画に参加させて頂いたので

2回目の企画参加でございます(///)


ジャンルが童話・・・

童話っ!?

初のジャンル設定で書いた作品でした~(汗)


えっと・・・

ココからは言い訳です♪


今回はジャンルが童話と言う事で!

まず、動物視点で書きました。

そして、その動物は普通に人間の言葉を喋ります!

でも、他の動物は・・・

大人の事情的な意味で喋りません。

(コマドリさんはフルコーラスでしたけども(泣))


あとあと、童話要素的にっ!!

願いの泉的なっ!

鏡の世界的なっ!

死後の世界的な?


を詰めてみましたので

ギリギリ童話に入ってくれれば

良いかなぁ・・・ って(汗)


そんな、今回の企画参加作品でした~♪


まだまだ、作品受付期間もありますし

沢山の作者さんが綴った世界がありますので

ぜひぜひ、期間中にお読み頂ければっ!

とかとか想っております。


最後までお付き合い

ありがとうございました♪

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