虹の
歩いても歩いても森が終わる事はありません。
でも、確実に周りの風景は変わってきております。
「あっ、少し明るくなった・・・」
ボロボロの吊り橋から、随分と歩いた所に
周りよりは青空が見える程ですが
少しだけ森の開けた場所に着きました。
「ふにぇ~ すごい木の根・・・」
何の木か解りませんけど
少し開けた空間の中央に
木の根っこが沢山飛び出した所があります。
「う~ん?」
よく見れば、木の本数は多くはありませんが
周りよりは格段に大きな木々で
多分、長年の間に大雨とかで根元の土が流されて
今の様に木の根が見えてしまったのかもです。
「不思議な所・・・」
見れば見る程、不思議な木の根です。
普通、根は土の中へと潜っていくのに
ここの根は、土の中から地面へと
伸びてきております。
そんな、大きな木を真下から眺めているとっ!
「(びくっ!!)」
この森に入って、今までに感じた事の無い恐怖・・・
多分、リスやキツネとは違う
別格の動物が近くに居ます!
「・・・・・・(怖)」
でも、今居るのは木の根が沢山有る場所・・・
上手く隠れれば、見つからずに済むかもです。
「・・・・・・(静)」
辺りに警戒しながら、物音を立てず
静かに木の根の間へ身を隠す事に・・・
「どこ? 近い?」
少し、辺りの様子に警戒していると
木の根がきしむ音が・・・
こちらへゆっくりと近付いてきました。
「な、なんでこっちに来るのー(泣)」
ゆっくり近付く足音は
本当に、私の隠れている木の根の横で止まり
相手も何かを探している様子です(泣)
「な、なんでー(泣)」
兎に角、今は直ぐ横に居る動物が去るのを
じっと待つしかありません・・・
「・・・・・・(耐)」
その間、緊張の気配を相手に悟られないよう
出来る限り落ち着いて息を潜めていると・・・
「(びくっ!)」
確実に、横に居る動物よりも更に危険な
殺気に身の危険を感じた私は
隠れていた木の根を勢いよく飛び出して逃げる事にっ!
「ふにゃっ! クマっ!?」
飛び出した瞬間、横に居た動物の正体は
大きな真っ黒のクマで、相手も私が飛び出てくるとは
想って居なかったようで予想以上にクマの方が驚いてしまい
森の奥へと逃げて行きました。
「た、助かった???」
それにしても、あの凍り付くような
私を食べようとする鋭い殺気は!?
「うにゃっ!!」
先程まで自分が隠れていた部分を注意深く見ると
木の根の隙間から・・・
「ヘ、ヘビっ!!(泣)」
まるで生きている木の根のように
根の隙間をスルスルと移動するヘビ・・・
「う、うにゃぁー!(逃)」
わ、私っ!
ヘビだけは、激苦手なのですっ!
もうっ!
ヘビに食べられるくらいなら
クマに食べられた方が良いですっ!(泣)
でも、本当はどちらにも食べられたくないけどっ!!
「ふにゃーーーーーーっ!(走)」
ヘビを見た瞬間・・・
どこをどんな風に走って来たのか覚えてませんが
とりあえず、木の根からは逃げてきました・・・
「はぁー、はぁ・・・(疲)」
そして、またまた自己新記録更新の予感です・・・
絶対、吊り橋を渡ったときよりも
速かったと想う・・・
イメージで伝えるならば
肉球から白煙が登るくらいの
熱い走りでした・・・(泣)
「まぁ、煙なんて出てませんけど・・・(疲)」