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『猫は逆さ虹の森で』  作者: 謎猫
2/4

逆さ

私が森を歩き続けていると

コマドリの声は遠くもならず

でも、それ程近くもならずに

ずっと一定の距離で聞こえてきます。


「見守ってくれているのかな???」


最初に、コマドリの声を聞いてから

しばらく歩き進めると

目の前には大きな吊り橋が現れました。


「えっ・・・」


でも、その吊り橋・・・

別に、私的には高い所なんて平気なんです。

狭い足元でも何とかなるのです。


「でも・・・ ボロボロの橋はどうにも・・・」


吊り橋は、今にも落ちそうなくらい

ボロボロになっていています。


と言うか、何本かのロープが切れて

既に、橋はひっくり返った状態で

辛うじて川に架かっております・・・


この、残りのロープを支えている柱も

私が少し爪研ぎをしただけで

倒れてしまいそうなくらいボロボロです。


「でも、大きな川だから泳げないし・・・」


小さな川なら、濡れるのはすごく嫌だけど

泳いで渡る事も出来ますが

この大きい川は無理です・・・(泣)


「あれ? コマドリ」


私が、吊り橋の前で立ち止まっていると

先程まで即かず離れずで鳴いていたコマドリは

吊り橋の向こう側で歌いながら待って居る様です。


「えぇ~ 渡るの?(泣)」


何度も、吊り橋と向こう側を交互に見つめながら

少し時間が経ち、未だ1歩も踏み出せずに居ると・・・


「あっ・・・ キツネ?」


橋の向こう側では、綺麗なしっぽをふわふわと左右に揺らし

私の方を見ております。


「えっ!? 私、食べられちゃう!?(焦)」


と、想いましたが

どうやら、キツネは私を食べる気が無さそうです。

全く殺気とかありませんし。


「えっ? あっ・・・」


キツネは、渡れずに立ち止まっている私を見かねたのか

ひっくり返ったボロボロの吊り橋を

普通に渡り始め、こちらへと歩いてきました。


「もしかして、この橋は大丈夫って事?」


そして、キツネは橋の真ん中まで来て

また、私を見ております。


「渡れって事?(怖)」


でも、私より少し大きなキツネが渡っても平気なら

一応、この橋は大丈夫なのでしょう・・・


「う、うにぃ・・・(怖)」


私が1歩踏み出すと、キツネは1歩下がり

もう1歩踏み出すと、またキツネが下がり

きっと、2匹分は危ないからなのでしょうけど

キツネに見守られながら足を進めていると


「ふ、ふにゃぁー!(恐)」


キツネが橋を戻りきった所で

突風が吹き、吊り橋は大きく揺らされ

このまま崩れ落ちるのでは!?

と想ったら、怖くて足が動かなくなってしまいました!


「う、うぅ・・・(怖)」


キツネの居る橋の向こうまでは結構な距離があります・・・

けど、キツネが橋を戻りきったのですから

私が居るのは、丁度橋の真ん中!?

戻るのも多分同じ距離・・・


「って! えぇー! や、やめてっ!!!」


ふと、吊り橋の来た方を見てみると

小さいですけど・・・

リスがっ!!!

リスが橋のロープを囓ろうとしております!


「ちょ、ちょっと!! ロープ切れちゃうっ!(泣)」


と言うかっ!

色々囓るのはネズミでしょー!?

あなたはリスでしょっ!!

とかなんとか、今はツッコミを入れて居る場合ではありません!


「にゃわわっ!!!!(泣)」


もう、こうなったら崩れる橋と共に川へ沈むか

全力で走って橋が崩れる前に渡りきるかですっ!


「も、もうっ! どうなっても知らないからっ!(泣)」


もう、余計な事を考えて居る暇はありませんっ!

本気走りですっ!

爪スパイクでスタートダッシュを決めて

続く脚力で大きな1歩を繰り出し

まるで中を飛ぶかのように駆け抜け

気が付けば自己新記録更新の勢いで

ボロボロの吊り橋を渡りきりましたっ!


「はぁ・・・ はぁ・・・(疲)」


たぶん私、チーターになれるかも・・・(泣)

なんて冗談はどうでも良いとして。


「あのリスっ!(怒)」


と、渡りきった橋から

リスの居る向こう側を見てみると・・・


「えっ???」


なんと、リスはロープを囓る真似をしていただけで

本当には囓って居ませんでした・・・


「もしかして?」


もしかして、大きく揺れた橋で足がすくみ

立ち止まって動けなくなってしまった私を助ける為

ロープを囓るフリをしたのっ!?


「・・・ふ、ふにゃぁ(疲)」


何だか、急に安心してしまい

へにゃりと力が抜けてしまいました・・・


「あっ・・・ そう言えばキツネ!?」


呼吸を整え、辺りを見回してみると

どこにもキツネの姿はなく

振り返れば、先程まで居たリスの姿も

ありませんでした。


「あっ・・・ でも、コマドリは居る」


ひっくり返ったボロボロの吊り橋も

キツネとリスに助けられ?

無事に渡りきる事が出来ましたので

再び、足を進め私は森の奥へ。


「それにしても、大きな森・・・」

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