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魔法トーナメント

半日ほどもかかってしまったが、ようやくジソンへ辿り着いた。確かに前の村よりは大きいようだ。人も結構いて活気があるな。


中へ入ると、早速リンゴらしき果物を売っている店があったので頂いておく。美味い。

この世界に来てからというもの、干し肉しかまともな食べ物が食えなかったからな。

おお、パンを売っている店もあるのか。

頂いておこう。


そうして、町の物を勝手に頂いていると中心部の方で人だかりで歓声が上がった。


「行けー!倒せー!」


何だ?喧嘩でもしているのか?

見に行ってみよう。


時間を止め、人だかりを押しのけながら行くと、魔法の闘技大会が開かれているのが見えた。

トーナメント形式で、今は一回戦をやっているようだ。


今の試合は青い服を着たやつが赤の服のやつを圧勝してるな、水魔法でトドメを刺そうとしている。


ふふ、いい事を思いついたぞ。

弱すぎる赤い服のやつを勝ち進めさせてやろう。


ひとまず水魔法の時間を戻してやる。水魔法が再び手に戻って行き、自分も観客に紛れ、時間停止を解除してやる。


「......なっ!なぜ俺の魔法が消えているんだ!」

「あれ?トドメを刺されたはずじゃあ」

観客がどよめく。

「これは何かの間違いだ!もう一度やってやる!」


さて、もう一度時間を止める。

赤いやつの右手を上げさせて、青いやつの体にはゴブリンの棍棒を食らわせてやる。


時間停止解除。


「死ね......ぐはあっ!げええええええ!」


青いやつは棍棒をモロに腹に食らい吹っ飛ばされ、吐いてしまった。


「ぼ、僕はどうしちゃったんだ?」


赤いやつも観客も、今何が起こったのか分かっていない。だが、赤いやつが何かをし、勝利したことは明白だった。


「この試合!レッドの勝ち!」


あいつレッドって言うのかまんまだな。





この後もレッドはトーナメントを勝ち進み、ついに決勝戦までやってきた。

レッドは見たこともない不思議な魔法を使うとされ、大いに盛り上がった。レッド本人も自分でも知らない魔法が宿っていたのだと本気で信じている様子だ。


決勝の相手は決勝戦まで無傷で圧勝してきている。特殊な魔法は何一つ使わず、自らが持つ圧倒的な魔力でねじ伏せてきたのだ。


だが、時間魔法の前では無力だ。


「さあ!魔法トーナメントはいよいよ決勝戦です!今回は今までにない程のレベルの高い決勝戦になることでしょう!」


会場の盛り上がりも最高潮になってきた。


「では選手の登場です!まずは、不思議な魔法で勝ち上がってきたレッド選手です!皆さん拍手を!」


会場に拍手の音が鳴り響く。


「続いては、圧倒的な魔力で勝ち進んできたレーン選手です!」


拍手の音が鳴り響き続ける。


「お二方準備はよろしいでしょうか?いざ、試合開始です!」


カーン、と試合開始の合図を知らせる鐘が鳴った瞬間、レッドとレーンの首が地面へと落ちた。

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