0 のろい
ここ最近悪夢に魘されている。蜘蛛のような蜥蜴のような生物が私の体を練り歩く。
足元を百足が這いずり回り、気味の悪さでいつも深夜に目覚めてしまう。
しかし、、、今日はいつもとは違う夢だ。
「我、テスカトリポカの名の元に汝に力を授けよう」
頭に低く不気味な声が響く。視覚が封じられている。何を意味のわからないことを、、、
しかしどうしてだろう。力が欲しくて仕方ない。幻覚と知っていても、その言葉に魅力を感じてしまうのだ。なにかおかしい。
「モヨコヤニティトラカワン」
知らない言葉を私が話している
どうなっているのかわからない。私に自由はないように感じられた。
異形の神が姿を現す。黒い男のような風貌のそれは満足げに頷くと、私の眼に、眼に、、、
程無くして私は半身を起こした。寝汗でびしょびしょだ。それにしても違和感がすごい。遠近感がわからない。体全部が痛くて体の芯がぐっと熱い。水を飲もうとサイドテーブルのガラスコップを手に取ろうとするが、手から滑り落ちて床に落ち、割れてしまう。ため息が落ちる。これはだめだ。もう一度寝よう。
次に目覚めたのは9時前だった。
状況は何も変わっていない。諦めて起床し化粧台に腰を掛けて鏡を見ると思わず硬直した。
「そんな、、、髪、目、髪が、、、私の眼、、、あぁ、、赤い、痛い、、、、、、うぅ、、、」
左目が、私の左目が髪の毛が、燃えるように赤く、、あ、あああああああ、、うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!
はぁ、はぁ、、、そうだ、お医者様に行こう、今日は晴れ模様。青い空に白い雲。最高の散歩日和だ。外に出れば気分も晴れるさ。
そう思って私は着の身着のまま家の外へ。医者の元へと赴くのであった。