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遊びは修行

哪吒に遊ぼうと連れられた泰己、有り余る体力を持つ哪吒が小さい泰己と遊ぶとしたら?

師父との散歩でも来た事がないほど遠い場所に着いた。周囲一帯が岩山なのは同じだが、ここにくるまでに山と川を何個も過ぎていた。


「ここまで来りゃいいよな。」


哪吒は俺を岩山の出っ張りに座らせた。

色褪せた岩山の中、真っ青な晴天を後ろに色彩溢れた艶やかな鎧、足元で回り続ける赤い火車、凛々しい表情の美少年。哪吒の周囲だけ色彩があふれていた。

哪吒は俺を振り向いて不敵に笑った。


「んんっ、これから特別に俺の修行を見せてやる。怪我はさせないようにするが、俺の修行は厳しく激しい物だ。その岩場から立ち上がったり降りたりするなよ。」


そう宣言した後、口元で小さく何かの呪文を唱えると俺の周囲には薄い膜のような物が張られた。

うわーー!バリア?バリア?

俺はもう期待し過ぎて体が震えていた。

目の前で何が起こっても、すぐに歓声を上げてしまいそうだった。


哪吒は服の中から一つの珠を取り出した。


「出でよ」


そういうと珠は割れ、中から煙が出てきた。

その煙の中から少年が出てくる、哪吒と同じ顔をしていた。俺はもう大興奮した。


「すごーい!すごーい!」


手が痛くなるほどの拍手しながら歓声をあげる。

二人の哪吒は俺を見てニヤニヤする。そしてすぐに正面を向き合い、まるで鏡のように構えを合わせた。二人揃って何も無い空間に手を払い槍を出す、同時に撃ち合い始めた。


ガンッ ギリッ キキッン ガガンッ ギリッキッン ガンッ


一人が槍から炎をだせば、一人が炎を薙ぎ払い斬りつける。槍を受け止め足払いの蹴りを出す、片方が受け止められた槍を起点に飛び上がり避け、また跳ね上がった体ごと斬撃を振り下ろす。

火花が飛び散るほど激しく、何合と打ち合い続ける。瞬きする間にも勝敗が決まってしまいそうで、瞬きも息も出来ない。

見続けて呼吸が止まり、息が苦しくなった頃、二人は互いに礼をして、一人が煙となって消えた。


「はぁあぁぁ」


俺はやっと息を吐き出せた。


「すごいすごいすごい!カッコいい!カッコいい!哪吒お兄ちゃんすごい!」


拍手とともに歓声をあげた。俺は目が滲んでいた、瞬きをしなかったからだ。

俺のそばまで戻ってきた哪吒は得意満面で胸を張っていた。


「まぁ今日はこんな物かな、泰己がいるし少し手加減したけどな!」

「カッコいいカッコいいカッコいい!すごい!どうしてもう一人出せたの!どうして火を出せるの!どうしてあんなに高く跳べるの!どうしてあんなに早く動けるの!」

「まぁまぁ落ち着け、答えてやる。」


哪吒はニヤニヤしながら「それは俺が仙人だから」と一言で答えた。


帰りもまた哪吒に抱かれ空を飛ぶ、足元の車輪は『風火輪』だと得意げに言っていた「他にも秘密兵器がある、また今度見せてやる」まるでいたずらっ子のように彼は笑った。

哪吒は俺を家に置くと、師父にも会わずにさっさと帰った。俺は興奮が止まずに師父を探し叫び続けた。


「師父ー!師父ー!あんね!哪吒がね!」

「楽しかったようだの、何より。哪吒は?もう帰ったのか…」


師父は俺を穏やかに迎えてくれた。


「すごかったんだよ!かっこよかったんだ!火が出てね!ビューンて飛んでね!回ってね!クルクルてしてね!哪吒兄ちゃんがね!」


俺は必死になって身振り手振りも付け加えて話す。


「そうかそうか、哪吒はすごかったか良かったの」

「師父ちゃんと聞いて!」


俺は延々話し続けた、途中で師父が「もう5回目じゃ、まだ話すのか?」と言ってた気もするが俺は寝床に入って寝入るまで話し続けた。途中から何を話していたのか覚えてない。



ここまで読んでくださりありがとうございます、泰己は哪吒が大好きになりました。特撮とかヒーローとか好きなタイプなんだと思います。


次回更新も明日の夕方予定です。少しでも楽しんでくださると嬉しいです、またよろしくお願いします。

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