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師父の名

師父に精神の奥深く触れられ、内に飼っていた「ソレ」と自身の檻を外してもらった泰己。目覚めと記憶を取り戻す、その事に近づきつつあるはずだったが。

朝に目覚めるといつも通りだった。

師父に檻を外してもらったので、寝ている間に何か大きな変化があるかと期待していたが、眠りが深くなって寝起きが良くなった、前よりも疲れが取れている気がする、以前と比べて些細な違いしか感じない。

これだけ?

俺は少し不満だった。もっと大きな変化が現れると思っていたからだ。


「師父、俺、本当に起きたのかな?」


何日か過ぎ、やはり変化のないままの自分自身に嫌気が差して、俺は師父の椅子にもたれながら愚痴を漏らした。書類をまとめていた師父は驚いたように俺を振り返る。師父はもう老人の姿はとっていなかった。


「どうしたの?何か不満があるの?」


手を止めて向き合い俺を抱き上げる。師父は俺を子供扱いするが、元からこんな関係だったのだろうか?アメジストの瞳に俺が写り込んでいる、こんなそばにいても、わからない事だらけだ。


「もっと変わったりすると思ってた、色々思い出したり出来るようになったり…」


ありのままの不満を伝えると師父が愛おしげに目を細めた。仕草は以前の師父と変わらない。


「何を思い出したい?僕が知る事なら教えるよ?」


優しく促されて、どう伝えるべきか悩みながら言葉にする。


「え、と。師父と俺の元々の関係とか、師父や俺の元々の名前とか、俺がどんな事をしていたとか…」

「そうだね…有り体に伝えると、関係性は従兄弟違(いとこちがい)になるかな。」

「従兄弟違?」


家族や弟子、もしくは同僚や親友、そんな関係を想像してた俺は思いもよらない言葉に驚いた。微妙に遠い気がする。


「他には僕の元々の名前ね、僕も名を多く持つから。一つは清源(セイゲン)妙道真君(ミョウドウシンクン)、よく知られた名は楊戩(ヨウゼン)顕聖(ケンセイ)二郎真君(ジロウシンクン)だね。」


ヨウゼン、ケンセイジロウシンクン、漫画かゲームか、あったような無かったような。哪吒の方がまだ知っている。俺は仙人に詳しくは無いが、漫画やゲームでもしかしたら出てた?師父は有名な仙人だったりするんだろうか?俺自身も有名だったり?


「他には泰己の名前と職務か、詳しい方がいるよ。今から向かおうか?」


師父の言葉に俺は大きく頷いた。



◇◇◇◇



いつものように師父に抱っこされ雲に乗る。


「今から会う人は偉い人?」

「そうだね」

「前に会った時みたいに準備しなくていいの?」

「前の姿では準備が必要だったけど、今の僕なら大丈夫、必要ないよ」


師父が俺を覗き込む。アメジストが煌めく。


「まだ誰かに会うのは慣れない?」


俺は人見知りしがちな方だったが、師父は気がついていたらしい、俺をよく見てる。


「師父が一緒だから大丈夫」

「そう、良かった」


柔らかく微笑まれて、微妙な気持ちになる。師父を嫌いな訳では無いが、むず痒いような、気を揉むような。今の気持ちも俺が起きて思い出せば言葉になるんだろうか?



ここまで読んでくださりありがとうございます、切りの良い所で終えると、今回は少なめになってしまいました、が、やっと出せました二郎真君!ずっとお爺ちゃんの姿で出ていたんですけども。西遊記でイケメン設定があったので前回では一生懸命に美貌の形容詞を使いました。


次回更新も明日の夕方を予定しています。少しでも楽しんでくださると嬉しいです、また明日もよろしくお願いします。

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