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シロノホワイト、ちょろかったです!

がめつい幼女からの要求の内容とはいったい・・・?


「『プリティーアイドル』の『エメラルドステッキ』買ってほしいなー」


「岳! 得意分野だろ! 『プリティーアイドル』の『エメラルドステッキ』だってさ!」


ボナペントゥーラは幼女向けアニメのグッズであると判断し、岳に話をふった。


「わ、わ、わた、私、『プリティーアイドル』とか見てないしぃ! 月曜の夕方はいっつも別の番組見てるし! 『クリスタルステッキ』も『ルビーステッキ』も『サファイアステッキ』も当然『エメラルドステッキ』も持ってないわよっ!!!」


岳はまだ自分が幼女向けアニメ大好きの変人であることを認められない。

本当の自分を認めることこそが、自分を成長させる大きな一歩になることを理解していないのだ。


「あー、そのアピールもういいから。幼女ちゃん。そこの岳お姉ちゃんが『エメラルドステッキ』くれるってさ」


「ほんと!?」


目を輝かせる幼女。


「いやよっ! お姉たんに子供の日に買ってもらったものなの! やめて!!」


岳は涙目になる。

そんな岳の左肩に手を置き、言ったのはカグヤだった。


「岳さん。『プリティーアイドル』はわたくしの母の会社がスポンサー契約をしております。グッズでしたらいくらでも差し上げますよ」


「ほ、ほんと!? じゃあ、ルンルンちゃんのサイン付きとかは!?」


「もちろん、可能です」


ニコリと笑ったカグヤの顔を見た時、岳は、「あ、天使っているんだ」と思った。

というより、カグヤがいくらでもグッズを手に入れられるのなら、カグヤが『エメラルドステッキ』をあげれば良い話なのだが……彼女らの頭ではそれは思いつかない。


「よしっ! 話はまとまったな! 幼女ちゃん! 『エメラルドステッキ』あげられるよっ!」


「わーい! 交渉成立だね!」


幼女は無邪気な笑みを浮かべる。そして、『シロノホワイト』の支配に苦しむ犯人の方を向く。


「犯人のお姉ちゃん! 私、わるいことするお姉ちゃんなんてヤッ! わるいことちゃんと止めれたら……ご褒美、あげちゃうよ」


「え!? ホント!? ご褒美!? 踏んでほしい! その可愛らしい足で踏んで欲しいわぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


犯人はそう叫んでライターを足で踏んづけてバキバキに壊した。


「あ、あぁぁぁ……わ、私の支配が、完全に……」

 

『シロノホワイト』は項垂れる。


「素晴らしい光景ね。彼女は愛する人のために、悪の支配を断ち切ったのよ」


岳はドヤ顔をさらしつつ言う。


「さぁ! 『シロノホワイト』! 観念しろっ!」


ボナペントゥーラが『シロノホワイト』に詰め寄る。


「は、はわわわわ! どうしようぅ……」


『シロノホワイト』は怯えた様子で後ずさる。

もう力を使い果たした彼女に抵抗の策はなかった。


「悪い子にはおしおきが必要ですものね……ちょうど、わたくしの家に地下牢があるのですが……」


カグヤもゆっくりと『シロノホワイト』に詰め寄る。


「お、おしおきっ……! わ、私、エロ同人みたいにされちゃうんだ……最初は魔法少女なんかに屈しないっ! とか言っときながらも2秒後にはアヘアヘ喘がされちゃうんだぁ……!!」


『賢者の会』は『性』を規制する会である。そこのツートップの一角である『シロノホワイト』がこんなエロエロな妄想をしているなどと会の人間が知ったらどうなるのだろうか。

『シロノホワイト』完堕ち直前……誰もがそう思った時、意外な人物が声を上げる。


「ちょっと待って! 二人とも……!」


怯えに怯えた『シロノホワイト』をかばったのは、岳だった。


「岳!?」


「岳さん……?」


二人は目を丸くして岳を見る。


「……わ、私を、かばってくれるんですか……?」


『シロノホワイト』は恐る恐る岳を見て言う。


「……」


沈黙する岳。


「……な、なんか言えよ」


ボナペントゥーラが言う。


「……あ、もういいのよ。追い詰められた敵をかばうって一度やってみたかっただけだから」


髪の毛をいじりながらさらりと言う岳。


「え、え、え、えぇぇえぇぇっ!! やってみたかったってだけってなんですか!? だ、だってふつうはこの後……『彼女にも理由があるのかもしれないわ……話せば分かり合えるかも』『そんなヤツ話すだけ無駄だよっ!』『そうですよ! 調教一択です! マゾ豚にしてやりましょう!』っていうやりとりとかするんでしょう!? ふつうそうでしょう!?!?」


『シロノホワイト』はおとなしい彼女からは想像できないほどの悲鳴を上げた。


「いや~、さすが岳だよ。期待させるだけ期待させて、やりたかっただけって……平常運転にもほどがあるだろっ」


ボナペントゥーラはケラケラ笑いながら言った。


「あぁっん……岳さんが鬼畜すぎて、わたくし、わたくし……」


なぜかカグヤは内ももに両手を挟み込みながらモジモジして言う。


「ふふ。安心して二人とも。私こそが山頂の頂に乱れ咲く一輪の花……期待を裏切らない女、円城寺岳よ!」


決まった! という顔で言い切った。彼女的には魔法少女の名乗りをイメージしたのだろう。


「さ、さ、『山頂』と『頂』意味かぶってますからっ!! あ、あと、乱れ咲いてるのか一輪なのかわかりませんよ!!」


ここで『シロノホワイト』のツッコミ。岳の頭の弱さが垣間見えてしまったのだ。


「……細かいことばかり言って。誰があなたを助けてあげたと思っているのかしら?」


せっかく気分よく名乗ったのを邪魔され、不機嫌になった岳。イライラする気持ちを『シロノホワイト』にぶつけた。


「た、助けて頂いてませんよぅ……」


『シロノホワイト』は今にも泣き出しそうだ。


「もういいわ。《聖なるサグラダ・ドロップ》」


岳が呪文をあまりにもさらっと唱えた。

その呪文は『シロノホワイト』に向けられたものだった。

彼女は、だんだんと尿意に頭を支配される。もう我慢できない……。


「え、え……あ、わ、私……もう高校生なのに……お外で……ンッ!」


『シロノホワイト』は我慢の限界をすぐにむかえ、股の間から少しずつ聖水を垂らした。



――しょろろろろろろろろろろろろ。



紅葉する頬、『シロノホワイト』はビクンビクンと身体を震わせて座り込んでしまう。


「や、やだぁ……み、見られてる……わ、私のおもらし見られてるぅ……!!」


どうやら彼女は、自分の醜態を見られると興奮するタイプのようだ。


「いやいや……君の姿はボクたちにしか見えてないから。それにしても岳、やっぱ容赦ないな~」


「ンッ……岳さんいいですぅ!」


やれやれとするボナペントゥーラ。絶頂するカグヤ。


「さぁ、うさみんの地下牢へ連れて行って調教しましょう! あくまで『賢者の会』の情報を吐かせる手段であって、私的な欲求を満たすためではないわよ」


岳はあからさまにウキウキしている。

今から地下牢へ行って一仕事しよう……そう一同の今後が決まりかけたとき――


「白乃……」


どこからともなく聞こえた低い声。女性の声だろう。

そして、間髪おかずにその場にテレポートしてきたのは、またも黒いフードをかぶった女性だった。


「……神の戦士。魔法少女が動いたか」


彼女は『シロノハワイト』をお姫様抱っこして言った。

その眼光は鋭く、冷徹なイメージを抱かせる。

見た目はどことなく『シロノホワイト』に似ている。姉妹だろうか。


「お、お前誰だよっ!」


ボナペントゥーラが言った。

その言葉にフードの女性は堂々と、そして、威圧感を持って応えた。


「私の名は『クロノブラック』……妹が世話になったな」


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