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クロノブラック、アルバイトで人生初の友達をゲットです!

岳の姉、夕とたまたま同じバイト先に勤めている黒乃。

コミュ力ゼロの彼女にバイトは務まるのか・・・っ!?

某コンビニエンスストアにて


平日の昼過ぎということもあり、客のほとんどいない店内では、コンビニの制服に身を包んだ二人の少女が会話に花を咲かせていた。


「こうお客さんが少ないと、私たち現場のスタッフがイニシアチブをとって、より多くのベネフィットをクリエイトできるようにソリューションしなくちゃいけないって考えちゃうよね」


「そ、そうだな」


なんかよくわからない言葉をしゃべるのは、円城寺 夕。岳の姉だ。

その同僚であり、『賢者の会』の活動資金をかせぐためにバイトに精を出すのは『クロノブラック』こと長宗我部 黒乃。


「黒乃ちゃんって大学生?」


かれこれ二か月ほど同じバイト先で働いているが、お互いのことを全く知らないなぁと思った夕が問うた。


「あ、ああ」


黒乃は小さな声で頷いた。妹以外にはなかなかの人見知りを発揮するのだ。


「そうなんだー! 私は香里大学の英米学科に通ってるんだー」


「そ、そうか……」

 

実は、黒乃はそのことを知っていた。


「黒乃ちゃんは?」


「え、わ、私か? 私も……その……」


なぜなら自分も同じ大学の法学部に通っていたからだった。

なぜ、「実は私も一緒なんだよね! 学内で見たことあるし! 今度ランチでもしよっか」と言えないのか。

理由は三つ。


一、こちらだけ相手を知っているとかちょっとストーカーっぽくね? と引かれたくないから。

 

二、バイト先で出会ったときに同じ大学の人だとわかったのに、言わなかったのがバレるとコミュ力に問題がある人だと思われるから。

 

三、こっちだけ知ってて相手は知らないとかちょっと腹立つから。


……という自意識過剰な理由であった。


「んー? どこ大?」


夕が覗き込むようにして聞いてくる。


「う、うぅ……じ、実は、私も香里大だ。法学部」


夕のようなキラキラ系の女子に見つめられることに慣れてなく、つい本当のことを言ってしまった。


「ええ! そうだったの! 偶然じゃん! 今度ランチしよーよー!」


黒乃は、なんでこういう人たちは昼食や昼ごはんと言わず、ランチと言うのだろうかと一瞬考えたが、ほぼ条件反射で頷いていた。


「てかさ! 今日のシフト終わったら一緒にショッピング行こうよ! アーミュで新作のガウチョパンツが安売りしてるらしいよ!」


「ガウチョ……?」


「ん? ガウチョパンツ」


「あ、あぁ。ガウチョパンツか。そうだった。ガウチョパンツについて詳しすぎて逆にド忘れしていた。すまない」


妹に似て、知ったかをする癖がある。


「それと……今日は予定があるのだ。また後日ということにしれもらえないか?」


『クロノブラック』としての活動をする予定があるのだ。妹の白乃にも連絡をせねばと考える。


「そっかー。残念。じゃあ、また一緒に行こうね。あと、今度ランチもしようよ! ライン交換しよっ!」


「ラ、ライン……?」


「うん。ライン。もしかして、やってないの?」


夕が少し驚くような顔を作る。


「いや、やってるかやってないかで言えば、やってる方にだいぶ近いのだが逆にやってないともとれるかもしれないな」


意味深なことを言ってごまかそうと企む。


「もー! やってないんでしょ」


「う……そうだ。酒、たばこ、ギャンブル、ラインはやってない」


酒たばこギャンブルと並べることでやってないことに価値が生まれるかもしれない……そういう可能性にかけたのだ。


「あー、なんか黒乃ちゃんの扱い方わかってきたわ」


そう呟いてから……


「携帯かしてっ。登録してあげるから!」


ニコリとほほ笑んで夕は言った。


「あ、ああ。恩に着る」


黒乃は観念して夕に携帯を渡した。


黒乃、内心ではキラキラした可愛い女子と友達になれそうでワクワクが止まらない・・・っ!!


次回更新は10月25日の水曜日を予定しておりますが、

少々の遅れがあるかもしれません。

ご了承いただけると幸いです!


追記 いつも見てくださってありがとうございます。ブクマや評価、ご感想をいただけるととても励みになります!これからもバカバカしいお話をお届けできるよう頑張ります!

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