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パチンコの改良は産業の発達に寄与するのか?

長編が煮詰まったら得意分野
内容は事実より若干脚色アリなのでフィクション扱いで。
ただし特許などは実在します。
 さて、筆者の本業は特許関係で、大学院の頃もひたすら特許の研究をしていたわけだが、仕事の面でも含めてどうしても納得できないため、ここに記そうと思う。

 別段、長編小説が煮詰まってエタったからストレス解消になんとなく得意分野を書いているわけではない。

 本題に入るが、特許上にてパチンコは遊技機という名前で登録される。
 google特許検索などで検索してもらうと早いと思う。
 だが、この遊技機について私は「特許」という存在ないし「発明」という存在ではないと思っている。

 まず1つ、特許の基本概念として重要なのは産業の発達に寄与することと、自然法則を利用した高度な発想の組み合わせだ。

 だが、遊技機の発明の内容の要約は「利用者を飽きさせないための表示システム」とか「連続した画面表示により利用者を楽しませるシステム」だとか「これのどこに産業の発達に寄与するのだ?」といわんばかりものだ。

 こういうとパチンコメーカーは「ならゲーム機器はどうなんだ」というかもしれないが、ゲーム機器で登録される特許は遊具として楽しむためのものではなく、その遊戯を構成する部品単位に発明とも言うべき高度な要素が存在しており、それらの部分だけを特許としている。

 ゲームソフトのゲーム内の演出も、3Dゲームならば映像処理など多角的な視野で見ると宇宙観察といった他の産業に大きく影響する存在なのでこれらも発明としては十分な存在だ。

 だが遊技機にはそういったものは全く見られない。
 そして何より現場から文句が出るのは、「遊技機に関する特許は手間だけかかって金にもならない」ということ。

 ちょっとした話をすると、弁理士などと呼ばれる特許関係のスペシャリスト達は、特許を出願する際に出願書類も書く場合においては、請求項という部分で基本的には料金を換算している。

 この請求項というのは「特許請求の範囲」ともいい、特許ではこの部分が保護されるわけだ。

 問題は、遊技機の請求項目というのはこれらが1つないし2つにも関わらず、その部分に関する詳細な説明、俗に言う「明細書」と呼ばれる部分の説明が、出願書類の40文字×50行の仕様で平均して500枚と、尋常な数字ではないこと。

 通常、特許関係だと請求項が1つなら多くても10枚分だが、マジでどうでもいい演出に対する信号の仕組みなどの説明から始まって延々能書きを500枚以上書かされる。

 しかもこの部分を少しでも間違うと請求項の意味合いも変わってくるので手を抜けない。
 これが手間だけかかって金にならない理由。

 たとえば、同じくやたらめったらページ数が多い航空機関係と、ファインケミカルなどの物質の精製方法などにおいては、ページ数が500だったとしても請求項も100とか200あるわけで、ぶっちゃけていえば本来は出願200回分を1つの出願でまとめたものであると解釈してもらえばいい。
 (実は旧特許法においては単項制といわれ、1つの発明は1つの請求項だったが、昭和50年に改正され、多項制といわれる1つの発明につき、その発明に関わるもの全てをまとめて出願請求できるようになった。航空機関連などは本気で300も500も出ている)

 これらはどうでもいい戯言を延々とくっちゃべるものではなく、1つの請求項に対しての説明は他の特許と変わらず、だからこそ手間を惜しんでもきちんと特許になった時の達成感はすばらしいものだ。

 航空機なら航空力学的な説明だけではなく、他の過去存在した特許からより進化していることを強調する部分などを書いたりするが、そこに新たな発見が多々あったり、当時の技術では形成できなかった形状を達成したことで理論値における最高の状態に近づけたりする様子は見ていて楽しい。

 だが、遊技機にはそういったプロセスは微塵もない。
 信号がこうなると、こういう演出になり~を延々と繰り返す。
 ようはプログラムの1行1行を口頭説明するものなのだが、これの意味が全く理解できないし、何よりも最終的に総括されて結実される内容がどれもこれも精神医学的な内容で、本当にそれが自然法則に基づいているのかといいたくなる。

 考えてもみてほしい、パチンコの玉がより不可思議で予想だにしない動きを示すことに、一体何の産業の発展と高度な発想の組み合わせがあるというのだ?

 それが自然法則的に何を意味するというのか。

 実は私がこれを書いているには理由がある。
 本来パチンコ関係の特許の仕事はやらないとウチでは決めているのに、たらい回しにされた挙句にトップの肉親と接点があった状況を利用して断れない立場に追い込み、その者を通して無理やり仕事の案件を持ってきたバカがいるのだがそいつがある特許をバカにしたことだ。

 これは私の知り合いがこの仕事を引き受けて私が興味本位で資料を集めていたのだが、彼はそれに向かって「これのどこが発明なのか」と言ったのだ。

 その案件は猪の捕獲罠の特許である。
 彼からすれば、チカチカ光る信号の集合体が精神医学的な高揚感をもたらすとかいうわけのわからないオカルトな存在よりも、猪を捕獲するためのアナログ的な構造の集合体の方が発明として劣っていると感じたらしい。

 当然激怒し、明日、そこそこの上司を呼び込んで直接やり合う気でいる上にその許諾も得たのだが、
 この発明が発明らしさをたらしめるのはそのプロセスにある。

 まずこの特許について説明すると、これは括り罠といい、いわゆる足を縄でくくって猪が動けないようにするというものだ。

 確かに素人からすれば「大したことがない」と思うかもしれない。
 だがまずこの特許自体の何がすごいかというと、これの出願人のエピソードにある。
 1つ、この方はとても高齢なのである。
 その者がどうして出願しようと思ったかという理由に私はその者の葛藤を感じ、多いに考えさせられたのだ。

 この者はかつて猟師であり、それで生計を立てていたもので、実は先祖代々そういう家系なのだという。
 そしてその者には一子相伝の猪捕獲罠が代々伝えられており、それは既存の括り罠とは比較にならないほど高性能だったのだ。

 そうなのだ。
 つまりこれは古より伝わる存在ではあるが、特許要件として重要な「新規性」という部分を満たした、公知ではない秘密として伝えられていたものなのだ。
 これがこの発明にとってとても魅力的なのだ。

 既存の括り罠の場合、猪のような巨体を捕獲するためには落とし穴が必要である。
 理由としては単純なくくり罠だと鹿などの他の動物がヒットしてしまうためだ。

 あまり知られていないことだが、狩猟罠というのは「他のものを狩猟してはならない」という条件が法律で定められており、こういった罠では細心の注意が必要となる。

 考えても見てもらえばわかるが害獣を駆除するための罠で害獣以外の天然記念物などを殺傷してはならない。

 それらを守るために仕掛けた罠がそれらを死傷させるなどということは本末転倒だからである。
 だからこそ、猪のような体重の重く巨体のものの場合、体重を計測するための仕組みなども含めて落とし穴などの大掛かりな仕掛けが既存の括り罠では必要だった。

 また、猪自体はパワーもあるため、落とし穴がなければ逃げられない。
 そして落とし穴というのも割と重要な要素で、鹿やその他の保護動物は落ちてもすぐさま逃げられるというのも猪専用としての立場を確立するに値する部分である。

 ようは、落とし穴は体重や蹄などの形状が合わない場合は、猪以外の動物を罠が発動することから守り、猪は縄で括るために逃げられないために必要なものであったのだ。

 従来のものであればである。

 それがこの秘伝の括り罠には落とし穴がない。
 にも関わらず、猪しか引っかからないような極めて高度な仕組みがなされている。
 まさに知恵の結晶であり、機械やセンサーに頼ることもなく、落とし穴といった手間がかかる要素も無いきわめてローコストで非常に優秀なものだったのだ。

 知り合いはこの仕事を引き受けた後に特許化したわけだが、登録後、すぐさまメーカーから連絡がきたという。

 メーカーの人間いわく、「噂程度に昔から囁かれた幻の存在だったが、内容を見たらすぐさまソレだと理解した。どうしてそれが世に公開されたのか?」と驚きの様子で、罠製造の専門家が思わず唾を飲み込むような代物であったらしい。

 それもそのはずで、メーカーは半世紀以上も罠を日夜研究しては進化させてきたが、その発明は頭1つ抜けていた存在だからである。

 しかしそれ自体は秘伝であり、古くからその一族で用いられたものであり、いわゆる「発明の中に潜む死角ないし盲点」を利用したものだった。

 私は罠の専門家ではないので勉強も含めてその特許を調べるために資料を集めていたが、これこそ産業の発達に寄与する発明の1つである。

 そもそも猪の括り罠というのは、今実は活躍の機会が増えているのだ。
 1つに、猟師の大幅な減少が挙げられる。
 地方で生計を立てていた者は高齢になるも若手が出てくることは無く、猟師として生計を立てている者はほとんどが60代以上である。

 そもそも素人が簡単に猟銃などを用いて害獣駆除をするなど容易ではなく、また資格取得の厳しさなどから、それらを1から教育して生み出すというのも人材もいなければ費用も高額である。

 地方では助成金もあるが、少子高齢化の現在、お手上げ状態である。
 そこで注目されているのが罠である。
 罠は、資格さえ取得すれば許可さえあれば仕掛けられるので、後は保健所などと協力して害獣を駆除すればいい。

 つまり、市区町村の地方公共団体などの職員などが十分に代行できるものなのだ。
 特に原発の問題が広がる福島などでは猪被害が深刻で、罠の売り上げはむしろ2011年を境に上昇傾向だという。

 そんな中でこの罠が突如として出てきたのだから、数少ないメーカーの者達はさぞ困惑したことだろう。

 しかも特許であるので、仮に製造権などを獲得しなくとも20年後にはそれを公然と作れるのだから、長期的な観点でみればプラスの方向性しかない。

 今後地方では害獣問題はさらに深刻化が懸念されているわけだしね。

 さてさて、話を発明から出願人に戻すが、出願人は一子相伝の罠をどうして特許化し、公にしたのか。
 ここにもエピソードがある。
 出願人は若い頃はそこそこ名の通った猟師であったらしいが、高齢になり、耳が遠くなって引退した身であるという。

 一方で後継者などはおらず、このまま亡くなると、この古より伝わる次世代型とも言うべき罠は永遠に失われる存在となるわけだ。

 出願人は先祖が守ってきた秘密を守り通すか、この優秀な罠という存在が消滅してしまう方を危惧するかで最終的に葛藤し、己の名と一族の名誉を日本という国に永久に刻み込むことにしたのだ。

 出願前に様々な方々と相談したが、きっと彼らも理解してくれると後押しされて出すことにしたようである。
 この場をもっていうが、出願人は決して家訓を否定したわけではなく、家訓には罠を恒久的に引き継ぐよう努力せよという文言もあり、そちらを優先するために一子相伝を諦めたということになる。

 その罠が高性能で失われるのもまた惜しいという複雑な思いはきっと一族の者たちも理解していたのであろうと推測される。

 出願内容にもそれらを匂わせる文言が漂っており、この者の気持ちを汲み取って書類を書くのには大変苦労を重ねたのだろうということが容易に理解できるものであった。

 その者の血縁が絶たれたとしても、一族が狩猟に用いた罠は一族の名誉と共に保護され、永久にその情報は記録される。

 確かに20年後に保護期間は切れるが、特許というのは新規性や進歩性を重要視するため、既存の技術と比較して審査が行われる関係上、出願された技術というのは永久に利用される。

 括り罠という特許を出す限り、どんなに改良したとしてもこの特許に引っかかって「新規性が無い」と判断される可能性があるわけだ。

 何よりもメーカーはこの特許に大変興味をもっており、その者が広く利用することを許諾すればこの罠は新しい存在として世に広まり、害獣を駆除するようになるだろう。

 害獣は農産物を食い荒らすだけでなく、人的被害なども出し、様々な一次産業に悪影響を与えている。
 罠によって他の生物に被害を出すことなく、害獣だけをピンポイントに駆除できるというのは産業の発展に寄与するといっても過言ではない。

 何しろこの罠は、落とし穴が不要な関係上、仕掛けられる所は現在一般的にメーカーにより流通しているものよりも場所を選ばないものなのだ。

 太い幹など、猪が踏ん張っても外れたり倒れたりするようなものであれば何でも良く、罠自体を作るのに手間はかかるが罠を仕掛けるのに手間がかからないという優れものである。

 つまり食い荒らす農産物の近くにある電柱で構わない。
 これが特許として、発明としての立場を満たしていないなどとオカルトな物ばかりを特許化する者たちには理解できないようだが、理解してもらいたくもないという部分もある。

 そもそも、何か勘違いをしているようだが、発明というのは機械が絡めばいいというものではない。
 古の特許を見てもらうと、日本家屋に関係する柱の構造や焼き物の製造方法など、多数のものが登録されている。

 これらはその当時としては最先端の技術であり、周知されていなかった存在で、かつ後の世の産業に影響を与えたものは少なくない。

 何しろ特許は1800年代後半から日本でも施行されているわけだが、その頃はというと年代的には逆刃の刀をもった男が妙な技で戦っている頃であって、機械というものがあったとしても精々蒸気船程度である。

 当然にしてこの頃の特許というのは酒の蒸留器やお茶の蒸し機など、今ではアナログ化したものではあるが、当時としては最先端であったのだ。

 一例を出すならば、私がちょっとした趣味的に書いてみた、バーテンの話に出てくる第一号特許の進化の果てともいうべき革命を起こした船体塗料は、素材も精製方法も異なるが、基礎的な発想は第一号特許で生まれたものであり、それを60年以上かけて作り上げたものである。

 詳しくは「最優のゼネラリストは今日もBARで語りあう」という作品の第2部にあたる所で書いてあるが、発明関係の雑誌には研究の始まりは第一号特許を現代で再現してみたところ、船体塗料の性能自体はきわめて優れていたとあり、そこが機転となっていることが昭和58年の発明関係の雑誌に書かれている。

 この時はまだ開発途上であったが、あちらでも記載した通り、あの塗料の問題は大型船に使えないことと、塗料の劣化が早すぎるという弱点があるだけであって、コストや製造方法、環境汚染被害が無いという部分を含め、性能に関しては十分なものであった。

 ようは、この思想でもって超大型タンカーにも使えて、3年はメンテナンスフリーのものを作ろうとして60年かけたのであって、始まりは100年以上前にあったわけであるが、産業の発達に寄与とはすなわち思想的であったとしても産業に寄与すれば良いのだ。

 例えば焼き物の製造方法が思わぬ形で真新しい技術の審査資料として登場することがある。
 高硬度セラミックの精製方法と焼き物の精製方法が被っているといって一度拒絶理由通知が出されたものがあるが、この場合は技術的に燃焼温度などが上がったが大きな視野でみてみるとやろうとしていることが同じであり、焼き物を硬く、頑丈にする基礎理論と同一であると請求項の1つが判断されたわけである。

 耐震強度を上げようとした柱の構造が日本家屋の古い特許と仕組みが同一ものであると引っかかったり、意外な所で先人はそれに気づいていることが少なくない。

 これらは当時の技術的な限界で理論は得ていても実現できなかったというものであり、現代の技術で当時の基礎理論を煮詰めたものをそうだと気づかず真新しい発見として提供して否定されているわけである。

 そんな中で今回の発明はまさに盲点の部分であり、出願人の先祖はそれに早くから気づいていながら、周囲の者たちは誰一人として気づいていなかったものなのである。
(もしかしたら同じように気づいていた者もいたが既にロストテクノロジー化しているものであるか)

 そしてそれを一族の秘密として誰にも公にしなかったことで、この発明は特許たる新規性を有し、自然法則を利用し、そして様々な方向性から産業の発達に寄与する可能性を用いているため、晴れて登録されたわけだ。

 一方、遊技機はどうかというと、遊技機は特許化した後に無効審判となり無効となることが非常に多いジャンルであり、正直な所「審査官すら長すぎる駄文にきちんと審査できていない」という状況があったりする。

 特に次回あたりがあるなら書いておきたい今の日本の特許事情に起因する部分に引っかかっているが、現状の特許事情において遊技機は、本当に「産業の発展に寄与」とか「高度なもの」とかそういうものとはかけ離れていると私は思っている。

 大昔の物は、スプリングや弾の射出機構に意外にも面白い発想があったりして、内容も「より低いパワーで鉄球を正確に20m以上も直線に近い軌道で飛ばすスプリングとその他の機構」とか、そういうものなのだが、近年の機械化されたソレのオカルト特許はどれもこれも「光がどうたら」「信号がどうたら」それが「高揚感を与える」「飽きさせない」「視聴者をより釘付けにする」といった、精神医学的すぎる怪しい存在ばかりであるのだ。

 きっと彼らはパチンコが産業であると言い、パチンコ産業を発展させるのだから発明だと言い張るのだろうし、実際に今日訪れて括り罠をバカにしたうつけ者はそう主張していたが、狭義における産業とは「人々が生活する上で必要不可欠な行為に対する提供物」であり、必要不可欠ではないものは「産業」ではない。

 マスコミが勝手に勘違いしているが、産業というのはトイレなどのように社会的にも無ければ困るといったものを製造するような行為こそが産業であり、遊具そのものは産業とは言い難いものだ。

 特許においてはもうすこし裾野を広くするため、その発展に寄与するものでも可ということになっているが、私は昨今のオカルト特許においては「何の発展性も無く産業に寄与するものもない」と公言する立場にある。


 遊技機の異常性についてはそろそろ問題提起すべき時期に入ってきてはいないだろうか。

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