第一話 元弟子 Ⅲ
に、二ヶ月は経たなかったもん
「中立都市とは言ってませんでしたが、似たような事は」
狼の魔物が、最初に遭った時にそれに近いことを言っていた。
はっきりと覚えている。
「お互いの利益が合えば条約を結ぶこともある」
「退魔師と敵対せず、むやみに人を殺さない代わりに――街を一つ、生け贄にしたり、な」
「この街、エスニシティーは俺達魔族の物、と言う事だ」
「……奴は、どちらかと言うと、中立と言うよりは魔物の街だと言っていましたが」
「まあ、隠してもしょうがないな……そのとおりだ。そして、三年前消えたお前の故郷と同じ状況だと言ってもいい」
「私の……故郷と同じ。同じ事が、ここでも起こると?」
「そうならないために、私達が動いているんだが……ふむ、まさか魔物より先にそっちと出会うとはな。誰だ、出てこい」
突然前に出た師匠が剣を抜いて構える。
しかし、人通りの多い道路であるというのに誰も気にした様子を見せない。
特に師匠は何か魔術を使ったわけではない。
ともすると、今話していた私ですら見失いそうな薄い気配へと変わったのだ。。
師匠曰く何となくで出来てしまうらしいが、多分気を使った術の一種なのだろう。
気と魔力は本質的に同じだが、魔術と気を使う術・技は全くその成り立ちから違う。
魔術が西洋で理論的な研究の末に生まれた物だとすると、気を使った術は人間の持つ本来の力と言ってもいい。
火事場の馬鹿力や、危険を感じた時に世界がゆっくりと見える事等もその一種と言われ、一般人が無意識で使うことがある程"効率が良い"。
不思議なことに、キッチリとつかう魔力を指定して無駄なく動く様に千年もの間効率化をされてきた魔法ですら、人間が本能的に使う術には効率面では勝てないらしい。
話が逸れたが、つまり言いたいのは、気を使った術が本能的な力でしか無い以上、効果が及ぶのは主に術者自身のみで、誰かに効果を及ぼす術と言うのは基本的には存在しないと言うことだ。
回復させる事が出来る術者は稀に居るが、それ自体は回復術というわけではなく、気――魔力という活力を分け与えて、相手の自己回復を助けているだけに過ぎない。
だから気配が消えたのは師匠だけで、私達は普通に丸見え……ということだ。
「反転……」
『いいのか?』
反転と言ったらあの結界を使うという事を、悪魔はしっかり覚えていてくれたようだ。
確認が入ったのは敵の姿は疎か気配さえも無いからだろう。
そもそも師匠は敵だと明言した訳ではない。
「やって」
しかし、私の予感は敵だと告げていた。
誰も居ないことははなから考えていない。
師匠はそんな間違いをするようなレベルの人間ではない。
世界が変わる。
表から裏へ。
誰も居ない、少しだけ薄暗い世界。
そこへと招待されたのは、私と蓮、そして――
「おい、お前、いつからこんな結界を使えるようになった」
私へ剣を向ける師匠と、その後ろ、ビルの影から出たはいいものの話し出すタイミングを失った九条半十郎だった。
見ている人が居るかはともかく、一月以上掛かる時は活動報告に少しその旨を書こうかなぁ……とか、思ってたらあっと言う間に二ヶ月も経っていたわけですが。
次からは、一ヶ月経ったら大体の投稿予定を書きますね。
新年度、新しい生活にも多少慣れたものの、まだまだそれだけで精一杯になりがちで、中々書く気力が……いや、週一回3千文字近く書かされるせいでもあるんですが。
小説で調子が良い時でもそんなに書いてないのに、遅筆の私には無理ぃ……
(`・ω・´)ちなみに4、5月にあった艦これイベントはレア艦掘り含め全クリしました!(ぉぃ