第六話 二章、エピローグ Ⅱ
更新した訳でもないのに急に日別PV数が上がってると思ったら、毎日少しずつ日別PV数が伸びていて……そして昨日、一昨日と急に戻ってる。
謎だ。
「――……これで、大体の事は話せたかな。こういうファンタジーな事は得意そうだからだいぶ端折って喋っちゃったけど、理解できた?」
「うん、だいぶ理解できたよ」
「じゃあ確認」
そう言って、私は東城君に今まで話した内容を指折り確認させた。
その一、魔物とは昔妖怪と呼ばれていた存在の事で、半分霊界の住人。
その二、そのため基本的に人間には見えず、魔物が相手に対して明確な意思――それが悪か善かは関係ない――を持った時にだけ見える。
その三、ただし霊感が強いと何時でも見ることが出来て、退魔師はその霊感が強い人しか居ない。
その四、霊界というのは一種の精神世界のような物で、人間の感情等に敏感に反応し、遥か昔から人間の憎悪の感情を吸い取って汚染されている。
その五、霊界に住んでいる聖霊が汚染された状態で現実世界に顕れると、魔物となる。
その六、その成り立ちからか、悪意に汚染された魔物は人間を襲う事を快楽としている、つまり人類が生み出した人類の敵。
その七、中には知能が高い魔物も居て、憎悪に汚染されていながらも人間と共存している魔物も居る。
その八、退魔師は逃げ出した中でもまだ汚染されていない聖霊と契約し、その能力を使って悪い魔物と戦う。
そして、退魔師でありながら魔物を探知する術が無い私の代わりに、東城君が魔物を探し、私が殺す。
細かい話も一杯有るが、大事な所だけを言えばこんな所だ。
「うん……殆ど私が又聞きした事だけど、大まかには合ってる筈。
あと契約には特別な術式が必要で、なりたいからと言ってすぐになれるものじゃないって言うのは忘れないでね」
多少は退魔師であった私の剣の師匠に聞いたことも有るが、彼女は根っからの戦闘専門退魔師で、そう言った事にあまり興味を持っていなかった。
だから、こう言った話は悪魔に聞いたことが多い。
そもそも、その七の知能の高い魔物とは悪魔の事だ。
「つまり僕が退魔師になれる訳じゃないって事でしょ? うん、念を押さなくても大丈夫だよ」
少し残念そうに、拗ねた様子で東城君がそう言う。
念を押すつもりじゃ――いや、確かに私が無意識にそう思って言っちゃったのかもしれない。
「え、えっと、MASDに行けば可能性は無くはないけど、退魔師は契約術ごと継承していく家制だから……」
これは半分本当で半分嘘、ここに私という例外が居るからだ。
当然、東城君もそれに気づく。
「あれ、家で継いでくの? でも、確か君の場合は悪魔が契約をって言ってきたんだよね? 退魔師は皆何かそういう事情があって退魔師をしているのかと思ってた」
「うん、そうなんだけど……私達みたいなのはむしろ特殊な事例で――」
契約術が無くても、意識が芽生えた聖霊相手ならば、聖霊側から契約させる事で退魔師になれる可能性はある。(勿論契約術を一から作るという方法も有るけど、あまり現実的ではない)
しかも、汚染されていない――つまり、生まれたばかりの聖霊と契約するよりも、成長し意思を持った聖霊の方が基本的に手っ取り早く契約できる上に能力的にも強い。
それなのに流行らないのは、そもそも意思を持つまでに成長した聖霊で汚染されていないなんて事が殆ど無いからだ。
人間に対し憎悪を持ち、自分の意志もある聖霊が、こんな人間に有利な――逆に言えば聖霊にとって不利な契約をしてくれる筈がない。
私と悪魔の場合は、憎みあっていながらも偶々目的が一致したから仕方なくお互いに利用しあっているだけなのだ。
「成る程ね……」
少しの間、沈黙が流れる。
結局、東城君はそれにはあまり深く触れず、そう言えばと切り出した。
「みすず……って、君の名前でいいのかな?」
「どうして?」
どうして分かったの、ということだ。
「いや、あの女の子がみすずっちって呼んでたから」
まあ、そうだよね。
みすずっち、から名前がみすずだと想像するのはたやすいよね。
「そうね、私がまだ退魔師になる前の時の名前よ」
「…………みすずって呼んじゃ駄目かな?」
「うーん……――って、いきなり呼び捨て!?」
こっちは心の中でさえずっと君付けで呼んでるというのに!
思わず立ち上がって突っ込んだ私に、東城君――いや、もう蓮でいいだろう――が目を丸くする。
「そ、そんなに駄目だった?」
「……まあ、呼び名がないのは困るかもしれないけど」
店中の好奇の視線に晒され、おずおずと座り直す。
不意打ちだったとはいえそんなに大げさな反応する事じゃ無いし、これは恥ずかしい……。
そう思って赤くなった顔を隠すように下へと向いた私の頭を、何か薄いものがパコっと叩いた。
「追われる身の割に随分と楽しそうだな、ひよっこ。店内で騒ぐのはマナーが悪いぞ」
「なっ――」
――まさか、これ程近くまで退魔師に接近されたのに全く気づかないとは!
僅かな殺気すら感じなかった、相当の手練れだ――と判断し、振り向きざまに何とか一発当てようと振り向いて、私はそのまま固まった。
長身に、美人系の顔、長い黒髪は後ろで一つに纏められ、全身から強者の雰囲気が滲み出ている。
それらを脳で認識した瞬間、私の身体に、どう足掻いても勝てない絶望感と、理不尽さとが、フラッシュバックの様に駆け抜けたのだった。
エピローグ、並びに二章終り。
なんか上手く切れなくて中途半端かな?
そろそろ設定纏めないと、自分の中でもわけわかんなくなる気がする……。
3月半ばまで忙しいのは変わらずです