第六話 二章、エピローグ Ⅰ
その後、私達は東城君オススメのファミレスに入り、少し遅めの食事を食べ始めた。
私はイカスミパスタだ。
東城君は悩んだ結果、チーズハンバーグとシーフードのピザを頼んだ。
「……なんか組み合わせおかしくない?」
東城君はピザを一切れ食べて、「うん、美味しい」とつぶやいていた。
チーズハンバーグだからピザでもいい……のか?
「パスタはどう?」
まだ口をつけてなかったので一口食べる。
うん、美味しい。
「美味しいよ。やっぱり当たり」
実は魚介類は結構好きだ。
しかし美味しい刺し身とかを食べると結構お金が飛ぶので、キツイ。
その点、こういう物は安くて魚介の味で美味しい、完璧だ。
「このピザ好きなんだ、半分食べてみない?」
パスタとは合うと思うんだけど、と東城君。
もしかして……最初から半分私に渡すつもりだったのかな?
シーフードというのが少し気になったので、一切れだけ貰うことに。
「…………」
むちゃくちゃ美味しい。
何だここ、本当にファミレスなんだろうか?
「どう?」
確かに美味しい……。
けど、そう正直に言うのはなんか悔しい。
なんかよく分からないが、急に反抗心みたいなものが湧いた。
「ま、まあまあね」
「そっか。このピザよりそっちの方が好みか……」
そう言ってジーっとパスタを見る東城君。
え、何?
「…………」
「……一口食べる?」
「うん。このピザより美味しいって言われて気になっちゃって。交換だね」
何かはめられた気もしたが、ピザのお皿の開いた所に一口分乗せる。
まあピザは美味しかったし、少しぐらいパスタが減ってもいいか……と、嬉しそうにパスタを食べる東城君を不思議そうに見ていた私だったが、ふとあることに気づいて、それがそのまま口から出た。
「あぁ、間接キス……」
「ブフッ――!」
せっかくあげたパスタは無駄になった。
狙ったのかと思ったがこの反応、本気で気づいていなかったのか?
……判断に迷う所だ。
食べながら魔物のこと、今後の事を話し合っていく。
「つまり君は、目視は出来ても上手く溶けこまれていると分からないってこと?」
「そういう事。今の所居ないらしいけど、もし完全な人間型なら見ただけじゃ全然わからないの。
普通の人間には見えないから、周りの人間がそいつの存在に全く気づいていない事に気づければ……でも、中々そんなことは難しいでしょう?」
いちいち全ての人の事を気にする人は、そう居ない。
明らかにおかしい――例えば、改札を素通りしただとか、道の真中を歩いていても車が止まる気配も避ける気配もないとか――ならば分かる可能性もあるが、そんな機会はまず無いと言ってもいい。
その点、東城君ならば目視……あるいは目視すらしていなくても、ある程度の距離まで近づけば違和感を感じ取れる。
「成る程ね、そういう意味で観測者か」
「索敵は二人で一緒にやるけど、戦闘になったら出来るだけ離れてて。いつでも余裕がある訳じゃないから、守れない事のほうが多いと思うし」
「でも、男が後ろで逃げてるだけって言うのもなんか……」
「絶対に、そこだけは譲れないから。納得してもらえないなら残念だけど連れて行く訳にはいかない」
「う、うん……そこまで言うなら分かった、出来るだけ、後ろでおとなしくしてるよ」
(出来るだけ、ね)
あまり分かってる顔には見えなかったが、ここでどれだけ言っても分からないだろう。
男の子と言うのは見栄を張りたがるものだ。
しかし、一度でも実際の戦闘を見れば、そこに介入するのがどれだけ無謀な事か分かるはず。
その時は何としても死なないように私が護るしか無い。
書けたら更新ついでに言おうと思ってたら一ヶ月以上空いちゃった……ごめんなさい。
先が思いつかないとかそれ以前にテストで書いてる余裕が本当に無いので、3月半ばくらいまでは全然書けないかもです。