第0話 プロローグ
11/01:未完結です。この先の更新は無いかもしれません。
あんまり深く考えず、思いついたまま息抜きに書いてます。
なんかよく分かりにくい小説かもしれません……。
主にプロローグと一話目はあらすじ見ないと理解しにくい……かも?
僕はどうやら死んだらしい。
何も見えないし、何も感じない――ただ漠然と、何もない空間を、身体を失って漂っているということは分かった。
記憶が、洗い流されていく。
脳に電気信号として残っているだけだと思っていた記憶は、どうやら魂とやらにもこびり付いているようだ。
それが、少しずつ、少しずつ剥がれ落ちていく。
まるで新たな生命へ生まれ変わる前に、まっさらになっていくように……。
最初に両親の事一切を忘れた。
多分、あまりいい記憶ではなかったのだと何となく思う。
次に、友達の事を忘れた。
そして、両親を忘れたついでに人の事を忘れろとばかりに、知り合いの一切を忘れた。
その次に、世界の歴史を忘れていった。
対して必要な知識でも無いから、なんの感慨もなかった。
生まれ変わった時に、苦手で必死になって勉強した英語の知識は忘れたくない――
と思っていたら、英語について忘れた。
もし覚えていたら、来世は勉強を楽にできると思ったのに……。
生まれた時から英語の知識があったらホラーだが。
違うことを考えたからか、次は学問ではなく、好きなホラー映画の内容を忘れた。
確か、女の人がゾンビをどんどん倒していく映画だった筈だ。
中途半端に消えたな。
抗うように、自らが死んだ原因である落下死について考えてみたが、それは中々僕の魂から剥がれない。
剥がそうとする力と、剥がれまいとする力によって、ものすごい痛みが襲った。
気が狂いそうだった。
少しずつ、本当に少しずつ全てを忘れていく感覚。
どうせなら一気に消してくれ!
そう叫ぼうとして――暗闇に囚われた。
「なんて僥倖! この空間に来訪者――それも、これ程の魂が紛れ込むとは!」
何も感じなかった今までから一転、圧倒的な存在を感じた。
危機感すら覚えるそれを魂で感じ取って、自分の身をどうにか守ろうとした。
その方法は、一切をシャットアウトすること。
前世の思い出すのも嫌な体験の中で覚えた事だった。
なんで、この記憶が消えてくれなかったんだろう。
段々、全ての感覚が薄れていく。
もう、記憶が剥がれていく事すら無い。
「一番無防備である剥き出しの魂の状態でこの力強さ――面白い。お前はこの俺が最初に手を付けた。忘れるなよ、お前は俺のものだ」
頑なな僕の魂に、痛みとともに何かが植え付けられる。
「もう、逃げられない」
聞こえない筈の声が、聞こえた気がした。