表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11


「おーい、アリア。この子の治療頼めるかい?」


 金髪の青年が少女に遠くから呼びかけた。どうやら捨て猫を拾ってきたようだ。


「また、ですか。…正直こうやって助けても意味はないのではありませんか?ここら一体の街は皆魔王軍によってかなりの痛手を負っています。私達が全て助けていてもキリがありません…先に魔王を倒しに行きましょうよ」

「あはは、君はせっかちだね。確かに僕らは魔王を倒さないといけない…けれど、目の前に助けを求めている人々を見捨てる訳には行かないんだ…勇者としてね。」

「…そういうものですか」

「そういうものさ。…そうだ、リルカ嬢を見かけなかったかい?」

「あぁ、姫はあっちで優雅にお食事中ですよ…全くいいご身分です…勇者パーティの一員でありながらあんな優雅に…うぐっ」

「聞こえていましてよ、アリア。」


 いつの間にか食事を終えていたリルカが少女の後ろに立ち、頭に手を置いた。


「…貴方は確かに、最年少でありながら私と同等…いえ、それ以上の才能がありますわ。ですが、それに慢心していてはいつか足元を救われましてよ」

「はぁ、分かっていますよ。…ところでこの拾った猫はどうするのですか?このまま野に放っても二の舞になるでしょうし…」

「あぁ、それに関しては心配ない。引き取り先は目星を付けてあるんだ。…治療感謝するよ、僕が連れて行こう。あ、リルカ嬢も着いてきてくれないかい?少し話があるんだ」


 そう言い、リルカと勇者は街…パルスへと歩いていった。


ーーー


「っ──待って、くだ…、………夢、ですか……」


 魔女は久しぶりに夢を見ました。まだ日が昇ってはいませんが、再び眠れそうもありません。とりあえず朝の支度をすることにしましょう。

 しかし、何故今になってあの夢を見たのでしょう…猫を…拾ったからでしょうか。


「……」


 まだ魔女以外は寝静まっています。カナメの寝顔を見ながら…少し、過去へ思いを馳せました。


「……出来ることならば、このままずっと…」

「…ん…師匠?もう目が覚めたのですか…?」

「っ!す、すみません。起こしてしまったでしょうか…まだ寝ていて大丈夫なのですよ」


 まだ眠かったのでしょう、再びカナメは眠りに落ちました。もう眠れそうにもありませんが、とりあえず魔女も横になり朝まで過ごしました。


ーーー


「よーし!今日こそ見つけるぞー!」

「そ、そんなに引っ張らないでくださいぃ…」


 ミリアがコハクを引き摺りながら、再び街へ…換金所のあったはずの場所の前へ訪れました。


「換金したのは今から何時間前でしょうか?」

「えっと、蛇さんに捕まる前に換金したのでぇ…大体20時間前なのですよぉ」

「ふむ、ありがとうございます。…──、────」

「わ、これは…幻影魔術!」


 魔女が魔術を唱えると、換金所があった空き地が淡く輝き、過去を映し出しました。


「大きな家…最近できたばっかりみたいですね」

「本当にここにあったとは…あ、コハクさんが来ました」


 換金所と思われる建物に過去の幻影のコハクが入っていき数十分後、金貨の入った袋を持ちながら出てきました。そして、幻影のコハクが去った後…建物が忽然と姿を消しました。


「あら、これは…魔力が書き換えられたのでしょうか、幻影が消えてしまいました」


 過去を映し出す魔法…それは、魔力に刻まれた過去を再現する魔術です。この魔力はこれ以上の記録をしていない…と言うことは、誰かが意図的に他の魔力で上書きしたのでしょう。


「あ…コハクさん、金貨の入っていた袋はまだ持っていますか?」

「あ、はいぃ…一応持ってますよぉ」

「少しお借りしますね…─、──。」


 魔術を唱えると、袋が小鳥に変化しどこかへ向かって飛んで行きました。


「探知魔術をかけました。あの小鳥が換金所の場所へ連れていってくれるでしょう…皆さん、行きましょうか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ