最終試験、終
「…私はあくまでも、彼女の複製に過ぎません。いくら姿形が同じでも、同じ記憶を持っていたとしても…所詮はただの蛇なのですから。……だから、彼女の為にも…私は存在すべきではないのです」
「…で、でも…、確かに師匠は複製かもしれない、けれどアリアさんとは違う人生を歩んできたんですから、師匠は師匠としての人生を歩んでもいいんじゃ…」
話を遮るように、魔女は透明な剣を取り出して話しはじめた。
「魔王が封印される間際に使った魔術を、この剣に込めています。…さぁ、最終試験の勝利条件…覚えていますね?」
「…っ、……決断、させるためだったんですか。何も知らない僕には…覚悟を決めることができないから…だから、ここに連れてきて…昔の話を、聞かせてくれたんですか」
「…聞かずとも、ちゃんと理解しているじゃないですか。本当に…私の弟子は、優秀ですね」
静かに、剣を受け取った。
「あぁ、そうでした。この試験が終わったら…ちゃんと宿に戻ってくださいね。予めお祝いを用意していますので」
「……」
「そんなに気負う必要はありませんよ。あなたは勇者です、世界を救う英雄です」
深呼吸をして、呼吸を整え……ちゃんと目を合わせて、涙を堪えて。
「…師匠、今までありがとうございました。約束します……僕が、必ず…この世界を平和に導くと。そして…あなたの弟を、必ず救うと」
「はい、よく出来ました。…あとは…任せましたよ」
魔女の胸に、剣を突き刺した。
魔女は最期に静かに笑みを零し…空間が崩壊すると共に消えた。
ーーー
「…あ、カナメ!大丈夫?!」
木の根元に、倒れていたようだ。
だいぶ時間が経ったのか、もう辺りは真っ暗になっていた。
「はぁ〜、びっくりしたのですよぉ…急に剣に刺されて、そのまま気を失って何時間も眠ってぇ…」
「…で、でも……大事にならなくて……良かった…」
何故か理由は分からないが、気づくと空を眺めていた。魔女を刺したことにより得た魔力が自らを満たし力を得た全能感があるのにも関わらず、大きな穴が空いたかのように喪失感で何も考えられなかった。
「…帰るか」
とりあえず、経緯を話しながら宿に帰ることにした。




