少女と蛇
約五百年前、この世界に双子の赤子が産まれた。
姉のアリアと弟のリート。穏やかな性格に育ったふたりは兄弟仲も良く、二人揃って文武両道才色兼備…実家が貴族家と言うこともあり、街では少し有名だった。グランデリ家の双子は、二人揃って百年に一度の逸材だと。
順風満帆な人生…それは、13歳で終わりを告げた。
突如として世界に…魔力が満ち溢れた。
原因は不明。蔓延する病かのように、世界に広まったそれは…人類にかなりの影響を与え、二つに別れた。
魔力に適応できた者は、変わらず人間で居られた。
魔力に適応できなかった者は、獣の特徴が現れ…いつしか獣族と呼ばれるようになった。
(後に魔力に適応できた者が自らに魔法をかけ長寿になりエルフと呼ばれるようになったが…今回は関係ないのでそれは省略しておこう)
アリアは魔力に適応でき、人の姿のままでいられた。そして、魔力を扱う才能が開花した。
一方、弟のリートは…身体が魔力で蝕まれていた。
獣族に成れ果てる訳でもなく、人間の形を保てる訳でもなく…ただただ体内に滞る魔力に精神と身体が蝕まれ、周りからの差別的な視線に苦しむことになった。
数週間が経った頃、リートは忽然と姿を消した。
それと同時に、魔王が現れた。
アリアは…何となく、嫌な予感がした。
魔王が現れ、混乱に陥る中…一人、勇者が名乗りをあげた。必ず魔王を倒し、再び世界を平和にすると。
そして、天賦の才を買われたアリアは、勇者パーティの仲間となった。
アリアは勇者と共に、数年間旅をした。
何とか…魔王の前まで辿り着いた。
十と少しの国家と数多もの犠牲を経て、ようやく辿り着いた魔王の座に座っていたのは、弟であるリートだった。
覚悟は決めていた。何となく嫌な予感がしたあの時から。色んな可能性を考えて、決意して。もう迷わない…そう決めていたはずなのに。
勇者は魔王に…リートに、剣を突き刺した…はずだった。
リートの胸に突き刺さるはずだった勇者の剣は、アリアの胸に刺さっていた。
本来ならば…勇者は敗北ではなかった。
アリアが最期に魔王を守らなければ、確実に魔王を討つことができていたから。
逆上した魔王は、アリアの魔力を奪い、利用し…勇者を穿ち、この世界の記憶を書き換えた。
リートは、勇者の最後の足掻きで己に突き刺さった剣と共に眠りについた。いつか、再びこの世界に再臨して…世界を滅ぼす為に。
リートは最後、いつか再会するために…亡き姉の魂を複製し蛇に宿らせた。
それが…蛇の魔女だ。




