最終試験、始
街から少し離れた草原で、魔女と弟子二人は向かい合うようにして立っていました。
「ルールは…特にありません。ただ私を倒すこと、それが勝利条件です。それでは…最終試験を開始します」
宣言と同時に、ミリアが自慢の脚力で魔女の眼前まで迫りました。すんでのところで回避しすると、その隙に迫っていたカナメの魔力を込めた斬撃が飛んできました。
「…っ、!剣が…すり抜けた?!」
貫いたはずの剣は魔女の身体をすり抜け、空振りとなりました。
「甘いですよ、──、────!」
魔女が軽く魔術を唱えると、姿が何重にも増えました。
先程話していた魔女は幻覚魔術の分身であり、元からここには魔女は居なかったのです。
「うぐ〜、こんなにいたら本物の先生探すの大変じゃん…カナメ!あたしが先生を探すから、分身の先生の足止めして!」
「わ、分かった!…ってことは、一人でこの数の師匠の相手を…?!」
カナメは十人の魔女がそれぞれ色んな方向からカナメへ攻撃をしかけている為、かなり不利を強いられています。
弟子入りしてまもない時に魔女から貰った剣を片手に、空いた方には杖の先端に魔法で編んだ氷刃の剣を顕現しながら魔女の猛攻をどうにか食い止めていました。
ミリアはというと、微かに残った魔女の匂いを辿り山の方へと走っています。途中分身体による邪魔が入りつつも、森の中で佇む本物の魔女を見つけました。
「…ようやく見つけた……先生!」
そういうと同時に、飛び蹴りをしてきました。魔女の頭に当たる寸前…見えない何かに腕を捕まれ、惜しくも攻撃は届きませんでした。
「うわぁっ?!って、コハク?!な…なんで?!」
「あ、言い忘れていましたが、今回の試験はコハクとディアが私の仲間として一緒に戦います。あ、ですがもちろん倒すのは私一人で十分なのでご安心を!」
「そ、そんなの聞いてない〜!」
「それでは、私は少し避難させていただきます…あとは任せました!」
魔女はそそくさと森の奥へ消えていきました。
「じゃあ〜コハクが相手ですぅ…はぁ、一応言っときますけどぉ、手は抜きませんからぁ……」
ひとまずミリアはやる気が無さそうなコハクと戦うことになりました。




